さとり世代探偵のゆるやかな日常 (新潮文庫 く 49-1 nex)

著者 :
  • 新潮社
3.06
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800325

作品紹介・あらすじ

大学生になった僕はやりたいことが特にない。幼馴染の灯影院に流されてうっかり「探偵同好会」を始めたら、ヤツのもっともらしい無茶推理に振り回される日々がやってきた。しょせん「休講の真相」程度の素人探偵の僕らは、やがて孤島の殺人にまで巻き込まれ――。軽やかなタッチで紡がれる会話芸の中から、現代の空気感があふれ出す新鮮ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • さとり世代な大学生が主人公のミステリー。アヤタと灯影院の関係性や二人のだらだらしたゆるい会話は結構好き。ほんのりと苦味の残るラストでしたが、明かされた灯影院に関する事実にすっかり驚かされてしまいました。

  • やりたいことも特にない大学生が幼馴染と二人で「探偵同好会」を始めるお話
    初っ端の推理から「バカミステリか?」と思ったけど、部分的には当たってるあたりが探偵小説としての解せないところ
    普通はそんな展開ないだろ……

    全6話の連作ミステリだけれども、4話までは前座で5話が分量の半分くらいを占める
    そして最後の6話で探偵の意義の回収

    ・前向きに
    ・車は急に
    ・買ったばかりの弁当を捨てる女
    ・七夕伝説と、坂本先輩の推理
    ・流霊島事件
    ・郵便受け

    二人の会話とか坂本先輩による言葉の意味確認とかはとてもラノベチック
    なのに、描かれている事件の真相は結構な人間の闇だったりとアンバランスなんだよな
    まぁ、灯影院が探偵を始めた意義がアレだから、そんな答えを望んだという事なのか?

  • 2019/09/06

  • 大学入学早々に幼馴染と作った「探偵同好会」
    日常のちょっとした謎を大袈裟に推理する自称イケメン名探偵の幼馴染に振り回される日々だったが、やがて本物の事件に巻き込まれる。

    さとり世代というのがなんとも現代らしい。
    ゆるーく適当な展開ですが、伏線やらミスリードがちらほらと。
    軽く読めるなと思っていたら、読後感は思ってたより重かったです。

  • ゆるい!ゆるゆるしてて心地よい!でも終わり方がしっくり来なかった…

  • 幼馴染の灯影院に流されて始めた大学の探偵同好会の会話劇が若さを感じさせつつも微笑ましい。買ったばかりの弁当を捨てるコンビニ客の話が印象的。短い話が軽快で孤島の殺人事件は冗長に感じた。空っぽな自分描写が青くて辛く短くて良かった。性別は思わせ振り描写過多で驚けなかった。承認欲求同士という陰りは個性かも。

  •  6話からなる連作短編ですが、第5話だけ長いしシリアスだから、この話がメインで、他のは後付けというか、余談なのかなぁ、と。
     他の話でも、ときどきシリアスぽい空気を出してるけど、どうせなら本気で最後までユルい感じでもよかったかな。

     第4話の3人のやりとりが好き。

  • 大学生になったばかりというのに、やりたい事が特に…な
    無気力主人公。
    彼の幼馴染に流されて、探偵同好会、をする事に。

    休講になった理由、自動車学校に乗っている女の人
    捨てられるお弁当、七夕につるされた白紙の短冊。
    という短編ばかり、と思ったら、次が先輩の故郷たる
    島の中、での話。

    ここまでがキャラを色濃く覚えさせるための準備、と
    言われても納得しそうな長さでした。
    最後には、事件の真相も吹き飛びそうな、驚きの真実。
    確かに思い返せば、そんな表現も何もなかったです。
    それが普通、と思っている人と、始めた見た人の態度。
    ここで気が付くべきだった、というほど
    注意力はないので。

    さらなる驚きの真実は、最後の6話目。
    守れさえすれば後はどうでも、な心理は分かりますが
    何かあったらどうしてくれるのか、聞きたいです。

    主人公と幼馴染のいびつな関係、と言いますが
    あまりに恰好をつけていると、確かに辛い。
    しかし誰しも友人を尊敬する、という場所はあるので
    ナルシストを突き進まない限り、大丈夫?

  • 大学生になった僕はやりたいことが特にない。
    幼馴染の灯影院に流されてうっかり「探偵同好会」を始めたら、ヤツのもっともらしい無茶推理に振り回される日々がやってきた。
    しょせん「休講の真相」程度の素人探偵の僕らは、やがて孤島の殺人にまで巻き込まれ――。
    軽やかなタッチで紡がれる会話芸の中から、現代の空気感があふれ出す新鮮ミステリ。



  • ゆとり世代の下の世代、さとり世代の大学生が織りなす、ゆるーい探偵ごっこ物語。
    作者が平成に近い昭和の為なのか、さとり世代の描写が非常に巧い。
    世に生まれ落ちた時には、既に不況で格差社会の枠組に組み込まれ、夢も希望も取り立ててなく、かと言って紛争地区のゲットー程貧しくない日本で、多くを望まず現状維持に努めるという、さとり世代の空気感が何とも言えない。

    作中、人は死ぬし、政略結婚、諸々の場面がハードボイルドであれば、濃厚な見せ場になる所を、非常にドライに淡々とサラッと表現していて、面白くもあるが、ある種の恐怖も抱く。

    タイトル通り、全編を通してはゆるやかな日常ではあるが、最後が...
    いや、この最後だからこそ、全体を覆う空気がこうなるんだな、と。

    なんともジャンル分けのしづらい一冊だったが、とても新鮮でした。

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