- Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101801544
作品紹介・あらすじ
ミステリ好きの貴方に捧ぐ、魔法の国の挑戦状。楽しい遊園地デートになるはずだった杏那と優。しかし二人は突如別々の世界に引き裂かれた。杏那は異世界を魔王から救う役目を担わされ、残された優は遊園地で起きた密室殺人事件の謎を解く羽目に……。現実と夢の国、二つの密室、パズルと魔法の謎を解き、二人は再会できるのか? 紙とペンを用意して読んでも必ず欺される、異色の新感覚本格ミステリ。『わたしの隣の王国』改題。
感想・レビュー・書評
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2021.6.14
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面白そうなので期待して読み始めたが、夢と魔法の国にたどり着くまでの冒頭の20ページほどがつまらなすぎてやめてしまった。
章と章の間に童話のような短い話が挟んであり、それが魔法の国の出来事なのだろうとわかっているのだが・・・。
読んでる人もたくさんいるので、読み切ればきっと面白かったという感想を持てるんだと思う。
しかし、そこにたどり着くまでに読みたいと思えなかったので投げてしまった。
残念。 -
2019年33冊目。技巧の素晴らしさに疑問の余地はないけれど、技巧の為の設定になっている気がしたのも事実。
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平成28年に新潮社から刊行された『わたしの隣の王国』が文庫化に伴い改題、改稿された作品。
高校生最後の日に、研修医の彼氏・優と巨大テーマパーク・ハッピーファンタジアにデートに来た主人公の杏那。しかし優とはぐれた杏那はひとり不思議な世界に迷い込んでしまう。そこは一見現実のテーマパークのようでいて、キャラクターたちが実際に生きている夢と魔法の国だった。どうやらその異世界には魔王の脅威が迫っており、それに対抗するために杏那は現実世界から呼ばれたらしい。
一方で現実世界に残った優は杏那を探そうとするが、パークの研究所で密室殺人事件に遭遇し、成り行きから犯人捜しを始めることになる。異世界における杏那の冒険と、現実世界における優の推理が交互に進行し、やがて一つの真実にたどり着く。
本作の魅力はまず舞台設定にあるだろう。世界各国のファンタジー作品をモチーフにしたという設定のハッピーファンタジアの中には、『ナルニア国物語』からとったケアパラベルというホテルがあったり、『ゲド戦記』の多島海をイメージしたエリアが存在する。園内を移動する鉄道も、『ハリー・ポッター』になぞらえキング・クロス駅の9と4分の3番線から発車するなど気が利いている。ファンタジー好きなら一度は行ってみたいと思えるテーマパークだ。
そして最大の魅力はやはり、作中に散りばめられたリドルだろう。杏那と優のそれぞれが遭遇した二つの密室事件が作中最大の謎となるが、それ以外にもチェスや魔方陣、アナグラムを用いたリドルが作中様々に登場する。こちらは解きやすいものもあるため、リドルに出会ったら一度立ちどまって考えながら読み進めるのもいいだろう。そして読み終わったら、他の人の感想を調べることを推奨したい。「そんなところにもリドルがあったのか!」という驚きがあるかもしれない。