さよなら世界の終わり (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 890
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801902

作品紹介・あらすじ

僕は、死にかけると未来を見ることができる。校内放送のCreepを聴きながら、屋上のドアノブで首を吊ってナンバーズの数字を見ようとしていた昼休み、親友の天ヶ瀬が世界を壊す未来を見た。彼の顔を見ると、僕は胸が苦しい。だから、どうしても助けたいと思った──。いじめ、虐待、愛する人の喪失……。死にたいけれども死ねない僕らが、痛みと悲しみを乗り越えて「青春」を終わらせる物語。生きづらさを抱えるすべての人へ。

感想・レビュー・書評

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  • 痛くても、怖くても、つらくても生きて愛することを選んだ──。
    物語の始まりはややダークな雰囲気。作中も生きづらさを抱えた若者たちが足掻きもがく様子が生々しく語られていきます。暗い世の中でも上を向こう…そんなメッセージを感じました。

  • 特殊能力をもった高校生らの3人が世界に対する絶望、生きたくない、終わらせたい、といった感情に対峙しながら行き着くところまでいく、というストーリー。
    主人公は死にかけると未来が見える。
    天ヶ瀬は死にかけると洗脳できるようになる。
    青木は死にかけると幽霊が見える。

    現実と想像が交互に入り乱れてくるのでだんだん時空が歪む感覚になった。
    他人も自分自身も傷つける行為が多用されていて不快に感じる人もいるかも。

    以下は印象に残った部分の引用。

    世界が終わると思って、改めて日常の景色を見回すと、複雑な気持ちになった。あるときは、視界がキラキラして見えた。例えば台所のシンクに跳ねた水滴が日の光に反射しているのすら神秘的に見えた。でもそれは別の瞬間には、終わって当然の醜い影に満ちた映像に見えた。
    酷い出来事はいつまで経ってもなくならないし、こんな世界は終わって当然。そう思う日もあれば、こんなに素晴らしい世界が失われてしまうのか、と思うときもあった。そんな気持ちが波のように反復されては消えていった。

  • ほんっとに面白かったです。
    佐野徹夜さんの小説は「君は月夜に光り輝く」を読んだのが最初で、それからしばらく経って先日図書館に行った時に本作品を見つけて、借りて、今日全部読み終わりました。

    いつも頭の片隅にあった死にたい気持ちが、この小説を読んだことで少し和らぎました。この小説は、読んでてつらくなるような描写もあるけど、作者の書き方が関係しているのか、すごくつらい気持ちにはならずに「ちょっとここ過激で心に残るな」ってくらいで、最後まで読むのを邪魔するような感じじゃなかったのでよかったです。「状況が落ち着いたかなと思ったら、急展開」みたいに読んでて飽きない構成になってたのが新鮮でした。

    小説でありがちな、真っ暗闇のなかで、無理に光を差し込んだというストーリーわけではなく、真っ暗闇で、本当に死ぬか死なないかの瀬戸際で歩き続けて、どこか落ち着くところを見つけた。という感じの終わり方で、自分の心も落ち着きました。

    どんなにどん底を生きてても、最後はみんなで笑えてんのかなって思える小説でした。

  • 破滅の感じがした

  • 登場人物に自分の苗字も名前も出ることがあるのか。
    ましてやリストカットに首絞めなんて。

    今の私には運命を信じられるのかもしれない。

    生きて、愛することってそれだけで凄いんだと思う。

  • いじめ、虐待、世間の目などが生々しく事細かく描写されています。友を救いたい自分は本当の自分なのか、世間を批判し冷めた目で見つつも現実から目を逸らす自分。終始暗い話になっています。最後は救いのある終わり方をした様に書かれていますが、私には救いがある様には思えませんでした。
    グロテスクな描写や性的な描写が平気な人は大丈夫かもしれません。夜に読むと鬱になってしまうので、お昼に読んだ方がいいと思います。

  • 18の僕には刺激的な作品でした。生々しい作品です。読みやすいけど読み進めるのが怖くなるような作品でございました。精神が安定している時から精神がぶっ壊れた時にお読みください。

  • 作者にとって、「この小説を書いたことで僕は小説家になれたのだと思う」作品。

    読んでいると、いろんな意味でボリュームが大きくて、そのことについていけなかった。
    生きることへのしんどさや、彼等に対する暴力や、そんな理不尽に対する力が、強すぎて、圧倒的すぎて、だからこそ、私にとっては引力にはならず、距離を感じてしまった。

  • 異色の青春小説でした。
    ある出来事がきっかけで、3人には、ある能力が備わりました。死にそうになったとき未来が見える間中、手首を切り死にそうなとき幽霊が見える青木、死にかけると人を洗脳できる天ヶ瀬。
    この3人が、辛い絶望の状況ながらも生きる姿を描いています。
    終始、いじめや虐待、殺人などありとあらゆる負の要素が満載で、ずーっと暗闇の中を歩いているようで、暗く苦しい気持ちばかりでした。
    苦しみもがいている描写は、作者の心の中を映しているようで、文章を通して、伝わった感じがしました。
    また、▶️(再生ボタン)や⏸(一時停止ボタン)など記号を使って、時系列を巧みに誘っていて、一風変わっていましいた。

    生と死の狭間を彷徨い、見つけた先には、長い時間だった分、結末は説得力がありました。絶望から見えた先の答えは、是非生きづらさを抱える方に届いて欲しいなと思いました。ただ、それまでの状況の回収がされていない印象でした。様々な事件を起こし、突散らかしたは良かったのですが、片付けされないまま無理やり終わった感がありました。

    「君は月夜に光り輝く」とは違った青春ならではの苦しみや悲しみ、絶望がありました。それでも生きる登場人物にもしかしたら自分の状況は大したことはないかもしれません。でも、死んだらおしまいです。殺しても元には戻りません。
    その状況下で、自分は何ができるのか考えさせられる作品でした。

  • 自分には良くわからなかったです。

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著者プロフィール

『君は月夜に光り輝く』で第23回電撃小説大賞≪大賞≫を受賞し、デビュー。

「2019年 『君は月夜に光り輝く (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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