コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店― (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 610
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801964

感想・レビュー・書評

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  • ほっこり日常系っぽいし、中高生向けのヌルい話かと敬遠気味だったが、全然そんなことなかった。設定こそ、若干現実味が薄くキャッチーさが前面に出ている感じがするが、大なり小なり何かしら闇を抱えた人たちが光を見つけていく話は、こちらも何かが浄化されていく気がする。町田そのこの話は流れが自然で読み易く、そして嫌らしさが微塵もないままにまんまと感動させられてしまう。

  • 誰もを〝とりこ〟にしてしまうフェロモン垂れ流しのイケメン店長。
    そんな店長を軸に進む、ちょっといい話の短編集。
    フェロ店長?なんだそれ?

    話しは変わりますが、かれこれ20年近くお世話なっている美容師さんがおります。出会ったころの彼は25歳で雇われ店長でしたが、そのうち独立して今は立派なオーナーさん。
    このイケメン店長が大好きで癒されたいがために20年追っかけしてます。って…あ、フェロ店長ってこゆことか笑

    人は人によって支えられ、癒され、救われたりする。

    以前、ごった返す朝のコンビニで、レジの若いお兄さんが余裕のない固い顔で接客してた。私の番になったとき、スルー覚悟で「連休明けの朝は忙しいね。」って話しかけたら、意外にもふと表情を緩め「大変です」と笑顔を見せた。
    その笑顔に私も癒された。
    誰もが気軽に立ち寄れるコンビニ。ただ通り過ぎるだけの人がほとんどなのだろうけど、きっと、ドラマも生まれてる。

    「コンビニの店員に愛想を求めても仕方ない」と言った人もいたけど、やっぱり笑顔の良い店員さんにお会計していただくと気持ちがいいのは否めない。だって、人間だもの。

    フェロ店長の周りで沸き起こる人生の機微をコミカルに描いた短編集。登場人物それぞれに個性があって、ご近所物語かと思わせるよな親近感あります。

    これからきっと、コンビニを訪れるたびにフェロ店長を思い出す。笑

    今年の18冊目
    2022.4.24

  • とっっっても面白くて!!!読み進める手が止まらなかった!!!出てくるのはそれぞれ個性があって魅力的な人ばかり。登場人物は、コンビニ店員かお客さんかどちらか。ここまでお客さんを観察してたり、ありがとうの気持ちを込められるフェロ店長はすごい!行きたいなぁ...ここのテンダネスに。毎日来るお客さんにもそれぞれの1日や悩みがあって、このテンダネスに来た少しの時間でも暖かい気持ちになれるんだろうなぁ。
    とにかく私もフェロモンをとめどなく流してみたくてみっちゃん分けてください...光莉さんや婦人会の皆さんとは絶対お友達になりたいし梓ちゃんのコンビニスイーツ食べてみたいし赤じいとは三輪車漕ぎたいしさ!!!ツギさんはギャップで、私の中でハマりそう!!はぁ〜素敵な人たちしか出てこない!!!

    私自身もコンビニ店員経験があり、常連さんを思い出した。もっとたくさんお話ししたかったなぁ。いつも大判どらやきやたい焼きをくれた宇宙のおじさん。「頂いていきます」とお上品だったマダム。(いつも真似してます)頑張りますが口癖の私に、頑張りすぎないことをがんばってねと言ってくれたオーナー。レジが打てなくなるほど一緒に爆笑したマンションのお母さん。掛け持ち先にも来てくれた派遣の大好きなお姉ちゃん。
    私はコンビニが大好きです。

  • 元々私もコンビニで働いていた経験があるが、周りが思っている以上に来店する方のことを覚えていた自信がある。

    特に常連の方ともなると、その方の一挙手一投足で今日の機嫌や体調が何となく分かるというのも、その通りだ。

    「入店する、商品を手にとる、レジに置く、お金を払う、退店する」という単調な動き且つ特に挨拶を交わすわけでもないが、感覚で推測できる。

    心温まる各エピソードももちろん良かったが、個人的にはエピローグに書かれていた内容に共感するばかりだった。

  • フェロモン店長志波がいるアットホームなコンビニ「テンダネス」を舞台にした連作短編集。
    登場人物がみんないい人なので、心穏やかに読むことができた。
    どれも良かったけど、個人的には第4話、第5話が特に気に入った。思いやりのある夫婦像が描かれていて、理想的だなと思った。



  • めちゃくちゃ面白い!
    そして裏表紙に「あなたの心、温めます。」とあったが、本当でした!!

    第三話メランコリックナないちごパフェと第四話偏屈じじいのやわらか玉子雑炊を読んで、この本はすごい、やられる!図書館の本だけど、手元に置きたい本だと感じた。

    梓ちゃんの気持ちの葛藤が自分の中学生時代を思い出して、心がグリグリされた。
    美月に立ち向かえて本当に本当に格好良かった。
    クラスの中心女子に立ち向かう恐怖と、自分の心の葛藤。
    学校だけが全ての世界と言ってもいい中学生にとって、どんなにしんどいことか。
    梓は内側に隠していた本当の強さや優しさを表現できていて尊敬する。

    この本は「コンビニ兄弟」というタイトルを突き抜けていると思う。
    フェロ店長となんでも野郎が際立っているが、それ以外の人物も個性的で、誰が主役なのか分からないくらい。

    門司港に1度だけ旅行したことがあり、それだけの理由で手に取った本。
    変わり者の店長のお仕事小説かと思ったらイヤイヤイヤ、コンビニを共通点(処)とした温かくて笑えてほろりとできる群像劇。

    もう一度門司港に行ってテンダネスを探したい!
    続編を強く希望します!
    梓と桐山が再会どう再会するのか、気になります!

  • これからの高齢化社会のコンビニの理想型?こんなコンビニ近所に欲しい。イケメンで性格もいいなんて神ですね。私はツギさん派かな。

  • デビュー作「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」の次に読んだせいか、物語のノリのギャップにこれまたおののく。なんすかこの、物語の幅の広さは…!!
    「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」で生きるしんどさ、せつなさを書ききったかと思えば、「コンビニ兄弟」みたいな人情あふれるドタバタ劇も書ける…
    すげえよ…町田そのこさん、すげぇよ…(オマエはナニサマ目線!)

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    本作は、九州のみにチェーン展開するコンビニ「テンダネス」門司港こがね村店を舞台にしたお話。
    店長・志波は純粋なるコンビニ愛にあふれた男…なのだが、意図せずしていつの間にか老若男女(一部例外はアリ)を骨抜きにしてしまう謎のフェロモンを放つ人物だった!
    そんなわけで門司港こがね村がそ店の店員は、そんな店長のフェロモンに1ミリもやられない稀有な人のみ。
    さらにはそこで長年働く光莉は、フェロ店長をモデルにしたウェブ漫画(※店長の承諾済)の作者でもある。

    そんな世界観で繰り広げられる人情物語たち。
    ライトさもあるのにあったかいし笑えるし、分厚さも何のその、読み始めてみればサクサク最後まできてしまったのだった。

    ナンバーは振られていなかったが、こちらはコンビニ兄弟シリーズ第1作にあたり、続編も出ている模様。
    コンビニ“兄弟”なのだから、誰かが兄で誰かが弟なわけだが、それは本編を読んでのおたのしみ♪である。

  • 第1話と第2話を読み終わった時点では、まぁ普通かなという印象だったが、第3話で感動。あぁ、すごく好きだなぁと思った。

    九州のあるコンビニを中心とした短編集。色気を振りまく"フェロ店長" パートの主婦をメインにさまざまな人間模様が書かれている。

    登場する人物はみんなとても素直な心を持っていて、自分が今やっていること、自分の生き方が本当に好きなんだなと感じた


    日本中どこを探してもこんなコンビニはないだろうと思うけど、行ってみたいな…。

  • 今まで読んだ町田そのこ作品はもう本当に重いものばかりだったので、何も考えず楽しめました!
    そしてまた新しい世界に入り込めました。フェロモンを振りまくコンビニ店長という設定が面白いですよね。そしてその後コンビニを中心とした人間模様が色々ありました。第4話はやはり世代なので泣けました。やはりハッピーエンドはいいですね〜。

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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