冬の朝、そっと担任を突き落とす (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101802084

作品紹介・あらすじ

校舎の窓から飛び降りた担任教師。遺書は無かったが、自殺の原因はこのクラスの全員が知っている。それぞれの思惑が渦巻き、秘密と後悔を胸の内に抱えながらも奇妙な平穏が続く理系特進クラス。ひとりの転校生の出現によって、教室の贖罪がいま始まる――。すれ違いの連続が生む悪意なき残酷さ、章を追うごとに明らかになる真実。痛みを越えて成長する高校生たちの罪と贖罪の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物の抱える秘密とか闇とか、それぞれが持つ個性を見ていくのは楽しかったかな。ただ、ラストの部分がちょっとわからなかった。私の理解不足なのかなと思って、5回ぐらい読み返したのだけれど、やっぱりわからなかったな。
     ずっとモヤモヤしているのは嫌なので、考察でも、分かる人でも、教えてください!

  • とっちらかっているなあ。
    群像劇で章ごとに人物が変わる上に、探偵役が途中で変わったりするので、どの視点で読めばいいのか視点が定まらない。それを作品側でうまくコントロールできれば、読者が翻弄される面白い作品になりえたのかもしれないが、この作品では置いてきぼりを食らう印象の方が強かった。
    中西のキャラが強すぎて、物語とうまくマッチしていない。教師の自殺と全然関係ないキャラクターの上に、彼女自身にも重たいエピソードがあって、つめこみすぎだ。彼女が結局何をしたかったのかもよくわからない。全部やりたかったといわれても腑に落ちない。
    『田嶋春にはなりたくない』のタージが登場してくるが、こちらもキャラが強すぎる上に、あまりに突然の活躍ぶりに、前作を読んでいない人だとなおさら「なんだこいつ?」と混乱させられると思う。

    文庫のオビで「私たちが、先生を殺した。」ってネタバレするのやめてください。特定の犯人がいなくて、みんなが少しずつ殺人に加担しているタイプかな?と思ったらそのまんま。この形式では視点が変わるごとに謎が少しずつ明らかになっていって、すべての話を読み終えると全体像が明らかになるということになるが、これはどんでん返しを得意とする著者には合っていない。

    章タイトルに人物名を入れるのはやめたほうがいいと思う。目次を見たときに後半の人の方が重要度が高いのかな?と思ってしまう。

    探偵役に比べて、一般のクラスメイトの頭が悪すぎる。初歩的な誘導尋問にあっさり引っかからないでほしい。探偵が自分の都合のいいようにコントロールしようとしているのだから、「何かしかけているな」くらい疑ってほしい。

    ころころ変わる生徒たちの態度に、責任範囲がうやむやなままで、結末もすっきりしなかった。

  • プロローグとエピローグも含めて7つの章それぞれ主人公が異なり、また主人公が語り部になっています。トータルとして語られるのは生徒との淫行が疑われて自殺した担任教師の死の真相。
    この本は前作の主人公田嶋春の前日譚でもあります。知らなくても読めますが、知っているとより楽しいです。

  • 中西さんの言動から「田嶋春にはなりたくない」っぽいなぁと思ったら、本人登場でビックリ。高校生ということは、前作の前日譚ということで良いのかな?

    個人的には前作にあまり思い入れが無かったので、そこはプラスの印象にもプラスの印象にもならず。気になった点があるとすれば、空気読めないところがキャラ的に中西さんとカブってる気がして、なんで最初からタージにその役割をやらせなかったのかな、という点。何かしら意図があると思うのですが、7つの大罪モチーフを成立させるための数合わせとしか思えず……

    その点も含めて本作にはわからない点が多すぎて、スッキリしない読了感が気持ち悪くて仕方ないです。特に大槻先生的に予定外だったというエピローグのラスト4ページは、一体何を意味してるのかサッパリ分からなくて、ひたすら辛い。

    他にも翼って何の隠喩なの?とか、中西さんからタージに譲られた自転車(クローナン)って何か意味あるの?とか、チエは三送会終わったら何するつもりなの?とか、モヤモヤしたまま投げっぱなしにされた感が強すぎます。

    事の真相が明らかになっていく流れや、学校生活を円滑に送るため作り上げられた各生徒たちの仮初の姿が暴かれていく様は良かったので、私みたいな読解力・理解力が低い人でも分かるような内容にしてもらえたら楽しめたのかもと思ったりしました。

  • 視点が変わっても時系列が戻ることなく話しが進んでいって面白かった。
    中西さんと母親のところが読んでて少ししんどかった

  • 高校の担任とクラスの生徒が肉体関係を持ったことがばれて、担任が自殺、生徒が不登校になる。そのクラスの生徒たちの視点で描かれる贖罪の物語。

    なんか、色々読みにくい小説だった。伏線の意味(翼、自転車、途中退場の中西さんとか)が汲み切れず、どこかおいてきぼりをくらったような印象。

    それにしても、最近の子供たちって生きづらい高校生活を送ってるもんやねぇ。俺らの青春の辛さってもっと浮世離れしたもんやったと思うけど、生々しいわ。

  • 私の理解力や想像力がないのかもしれないけど最後の部分がよくわからず、モヤモヤしています。
    今平智恵は結局何を考えていたのかな…。

  • ほんとに面白くなかった
    色んな人の目線から書かれてるけど、そのせいもあるのか、全然一人一人に感情移入ができない
    退屈だった 何度もやめようと思った

  • タージ誕生の物語。タージがいなかったら単に胸くそ悪い話。

  • 校舎の窓から飛び降りた担任教師。原因は、生徒との恋愛が発覚したことによるもの。果たして、それだけが原因なのか?クラスメートの証言から見えてくる真相。高校生達の贖罪が、一歩一歩成長させていきます。

    全5章+αからなる青春ミステリーで、各章ごとに一人のクラスメートにスポットを当てます。その人視点で独白するかのように語っていき、段々と自殺事件の全体像が見えていきます。最初から核心に迫っていく訳ではないので、個人的に前半部分は、蛇足っぽい感覚がありました。
    中盤になると、「命」や「罪」に対する事が高校生ならではの解釈で語られるのですが、グイグイ引き込まれました。真っ正面から事実と向き合い攻めてくる転校生、それに引き込まれるクラスメートの人たちなど、未成年の主張が、共感するところもあれば、ムカつくところもあり、一風変わった青春ミステリーで、面白かったです。

    高校生達の「正義」といいましょうか、自分自身を正当化する志が垣間見れて、大人から見ればそれは、未熟な部分が多くあります。でも同時に大人になると、欠けていく部分でもあるので、読む人によっては色々な感想を持つのかなと思いました。どうしても大人になると、他と調和していかなければならなくなるので、読んでいてイラッとした気持ちにはなりましたが、忘れかけていた情熱を呼び覚ました感覚にもなりました。

    段々とわかってくる担任教師の自殺の真相。後半になるにつれて、気持ちとしては胸糞悪い気分でした。高校生達の憎悪や嫉妬が渦巻いていて、陰湿な雰囲気を醸しています。
    担任教師があまりにも不憫だなとも思いました。
    最後の合唱シーンは、一見感動を誘う場面ですが、裏側を知ってしまうと、ある意味恐怖に似た感覚があり、素直に楽しめない自分がいました。

    高校生達が、今後どのように大人への階段を上がっていくのか。贖罪とどう向き合っていくのか。きちんと向き合った大人になってほしいと切に思いました。

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著者プロフィール

2009年『プールの底に眠る』で第42回メフィスト賞を受賞しデビュー。『私を知らないで』が「本の雑誌」増刊『おすすめ文庫王国2013』にてオリジナル文庫大賞BEST1に選ばれ、ベストセラーに。他の著書に『ふたえ』(祥伝社文庫)『ケシゴムは嘘を消せない』『もしもし、還る。』『小人の巣』『田嶋春にはなりたくない』『十五歳の課外授業』『計画結婚』『無事に返してほしければ』などがある。

「2020年 『他に好きな人がいるから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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