- Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102009017
感想・レビュー・書評
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高級娼婦である美しいマルグリットは馬車や宝石などの高級なものに囲まれた生活を送っていたが、それらは虚栄のもので、本当の愛情を前にしたら価値がないということを理解していた。
自分の本当の幸福が何で構成されているのかということを知り、その他のものは迷いなく手放すことができる勇気がかっこいい。
聡明な女性とは、愛情深く、勇気をもって優しさを体現することができる人かもしれない。
一方で、女性の心の素直さや優しさを信じきれなかった男が悲しい。男には到底想像のつかないような、何層も深い愛情を理解するのは難しく、結局は保身に走ったように見えた。
今と異なる時代背景、身分差などはあるけれど、愛や死というものは時代が変わっても永遠に私たちを悩ませる。時には幸福を与え、時には絶望に突き落とすけれど、人と生きていきたいのならば避けることができないテーマだなと改めて思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
仏文3作め
相手を想って身をひく系恋愛ドラマの元祖は、「椿姫」だったんですね
アルマンが20を過ぎても未熟で短絡的な盲目キャラなのでちょっとイラッとしますが
うちひしがれた彼をプロローグでみせられるので、あんまり責められないのがこのお話の巧いところでしょうかね
アルマン父にはモヤモヤしましたが、自分の息子がキャバ嬢に溺れていると知ったら…
わたしも同じことをしたかもしれない
そんななかでマルグリットが選んだ愛は、崇高で、罪深くて…
かなしく、愛しい -
ほかの本、天国の本屋 恋火
という本で気になって読みました
読んだ当時は幼かったけれど、今こうして身を切られるようにどうか幸せを願って別れた人がいると、このマルグリットのようにアルマンに祈りと願いを一身にそそげるか
マルグリットは身を滅ぼしながらも、アルマンの幸せだけを望んでいる
どうか幸あれと願ってきえた人
崇高な想いが昔もあったんだなぁとじんわりします -
想像以上に魅力的な女性だった!
気高く賢い魅力的な女性だった!
可愛さ余って憎さ百倍なんてくそくらえだね
アルマンの幼稚で執拗な傷つけ方にしっかり怒りを覚えてしまったーーー -
背景にある社会問題と絡めて読まなくとも、十分に恋愛小説として楽しめる一冊ではないでしようか。
もちろん、背景を探ることで深みが増すのは間違いありませんが。
生涯遊び人であった父親の息子が書いた小説と聞くと、納得もできますね。父親が「説教が多い」と言ったのも頷けます。
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アルマンの直向きなアプローチが叶ってついに街1番の美女と恋仲に。
しだいにアルマンからの愛情によって奔放な暮らしを改め療養のためにも質素な2人の生活を望むようになるマルグリットの心の移り変わりもおもしろかった。
後に手紙の内容で明かされることになる、堅実なアルマンの父とマルグリットの掛け合いのシーンは涙が止まらなかった。
オペラ椿姫よりもずっと濃い内容でよりマルグリットという女性を知り、感情移入できたので原作を読めてよかった。 -
なーんだ、いつの時代もみんな恋愛に振り回されているのか。ほっ。
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娼婦の遺品競売シーンで幕を開ける本作は冒頭でヒロインの不幸な結末を明示しており、読者の関心はその過程へと注がれます。
堅実な家庭に育った若いアルマンはパリの街で、高級娼婦として夜ごと放蕩に明け暮れる絶世の美女である椿姫ことマルグリットに出会い、彼女を強く欲するようになります。パトロンに囲われ優雅に暮らすマルグリットは、はじめ若いアルマンの情熱を問題にしませんが、彼の強い気持ちはやがて贅沢に倦みきっていた椿姫の無垢な一面を動かします。
周囲を巻き込み、または翻弄されながらも恋に身をやつし次第に彼らの置かれた状況を見失う若い二人を通し、それにともなう多幸感や嫉妬を含む振れ幅の大きい悲喜こもごもの感情を巧みに表現する本作は、ややもすると「ベタ」だと両断されかねない、ストレートに「愛と死」を描ききる高純度な恋愛・悲恋の物語です。
通読してマルグリットの終盤の心境と振る舞いには、フランスの恋愛小説とは不似合いなはずの、演歌の世界観が重なって見えました。 -
何度読んでも泣ける、悲劇的純愛小説。
愛する人の幸せだけを祈って身を引く。
私には出来ないけど。
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読書会をきっかけに読んでみました。タイトルしか知らなかったし、あまり興味もなかったのですが、読んでよかった一冊です。恋愛について忘れていたものを思い出しながら読んだり、時代背景を想像しながら読むのはとても楽しかったです。後から後からじわーっとくるものがあります。
お話の展開もすごくよいです。マルグリットの最初の登場はとても印象的でした。
読書会では、いろんな人の感想もまた面白くて、この読書がとても充実されたものとなりました。
また、「椿姫」のつながりで読みたい本が続々と出てきました。読んでいこうと思います。