ポー詩集 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (110ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102028032

感想・レビュー・書評

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  • 個人的には「大鴉」「死美人」
    「ヘレンに贈る」が好き。

  •  詩集は数えるほどしか読んでいないので感想を書くのは難しいが、この本は昭和10年に最初に出たものらしくそういう意味では古いある部分では古典的な香りの強い訳になっているともいえそう。
     輝かしい美しさや高揚と共に一転して死の影の襲わるというコントラストが印象に残る。幻想的でスケールの大きいイメージの詩も多い。以下雑感。有名な「大鴉」は最後去っていかないのが少々意外だった。「ユウラリイ」は美しさへの賛美と高揚感が中心の幸福感のある詩である。悲劇的な死をとげたポーの最後の作品が「黄金郷」であることに胸をうたれる。放蕩の面が語られがちなポーだが希望を捨てていなかったのだ。「鈴の歌」はリズミカルで音が聴こえてくるよう。

  • 阿部保訳のエドガー・アラン・ポー。
    日夏耿之介訳よりも平易な訳であるが、かといって現代に即した口語で読みやすいという訳でもない。
    (1956年発行だそうである)

    死んだ妻への哀惜が込められた詩が多く、「大鴉」はまさに絶唱であるが、一方でポーの詩における美少女達は容姿も画一的で人格も希薄であり、ただロリータ・コンプレックス的に若いということが強調され、単なる「恋愛詩のための道具」「ポーの中の美少女のイデア」に貶められているきらいがないでもない。
    ポーが十三歳年下の妻を早くに亡くしたということを踏まえると不適切な言葉ではあるが、私の眼には、純愛に名を借りた物言わぬ死せる美少女に対する一種偏執狂的な愛のようなものが詩の中に揺曳しているようにさえ感じられる。

    前述の「大鴉」
    幻想的な風景が美しい「海中の都市」
    人の生死を象徴的にうたった「勝利の蛆虫」
    ポー自身の人生である「黄金郷」
    などが個人的に印象に残った詩である。
    また、大江健三郎が「﨟たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ」を書いた「アナベル・リイ」もぜひチェックしておきたい。

  • ふと読みたくなって手に取りました。重厚かつ暗鬱な作風は格調高い訳も相俟って荘厳ですらある。著名な「大鴉」はゴシック映画を見ているよう。またリズムも良く、音読したくなる。「ヘレンに」「アナベル・リイ」は哀しくも美しい作品。詩は哀しみの文学であると深く感じ入った。ポーの作品は他にも読みたい。

  • 以前、映画でポーが亡くなる前の数日間を画いた作品を観た。そのときからポーの謎の残る死と、ポーの心を現しているだろう詩に興味を持っていた。

    今回はポーの詩の中でも特に読んでみたかった、「大鴉」「アナベル・リイ」の含まれた本書を読んでみた。
    18篇の詩と、「詩の真の目的」という短い文章の載った一冊。

    全体として、暗く絶望を感じる作品が多かった。
    それでも美しい言葉の響きは見事で、暗くさみしい、閉塞感のある世界ではあるけれど、またひとつと読み進んでしまう。

    多くの詩の中では、特に「アナベル・リイ」が印象に残る。
    ポーが亡くした妻への思いを籠めたとされているだけに、今は亡き愛しい妻への思いに溢れている。
    静かでやさしく美しい詩だった。

    ポーの遺した多くの推理小説と併せ、自身の死までが謎の多い作家だった。そこがまたポーの魅力がいつになっても衰えない理由のひとつなのかもしれない。
    ひとは誰でも、明かされない謎には興味と魅力を感じるものだ。
    人生の最期に決して真相の明かされない謎を遺していったポー。天国のポーは、してやったりと笑っているのだろうか。

  • 大別してふたつ。
    死んだ恋人への哀惜。
    死と退廃。

    大鴉
    夢の夢
    ヘレンに
    海中の都市
    死美人
    レノア
    不安の谷間
    円形戯場
    ヅァンテ島の歌
    幽鬼の宮
    勝利のうじ虫
    幻の郷
    ユウラリイ
    ユラリウム
    ヘレンに贈る
    黄金郷
    アナベル・リイ
    鈴の歌
    詩の真の目的

  • (内容)
    詩人として、小説家として、19世紀アメリカ文学の中で特異な光を放つエドガー・アラン・ポー。彼の詩は悲哀と憂愁と幻想に彩られ、ボードレールのフランス語訳によってフランス象徴主義の詩人たちに深い影響を与えたことはよく知られている。本書には、ポー自身が『詩の原理』の中で創作過程を明かしたことで著名な「大鴉」のほか「ヘレンに」「アナベル・リイ」などの代表作を収める。

  • 名探偵デュパンが活躍する"モルグ街の殺人"やゴシック小説を代表する"アッシャー家の崩壊"で知られるEdgar Allan Poeは詩人としても有名です。本書には、"大鴉"、"幽霊宮殿"や"アナベル・リー"など代表的な詩作を収録しています。けっこう難解なのですが、ゴシックな雰囲気を味わいたいのであれば、ポーの詩は最適です。詩集"悪の華"を書いたボードレールらフランスの詩人にも大きな影響を与えたといいます。できれば、"構成の原理"などの詩論と一緒に読むと理解が深くなるかと思います。

  • 詩を読むのはおそらく初めてくらい読んだことがないので、一回読んでみただけではほぼ理解できませんでした。とはいえいろいろと気になった繰り返しの部分が読み終わっても残ります。

  •  図書館から借りました


     表紙は「ポー」で中表紙は「ポオ」。
     すごく読みにくかった。旧漢字オンパレード。

     「大鴉」を読みたさに借りたが、昔、別ので読んだような気がしたのに、読書記録に見つからない。

     そもそもが難解なのに、漢字がスムースに読めないので、入り込みにくかった。注釈が気になって、途中で見に行くと、余韻散るなー。

    「またとない」
     そして
    「またとない」

     幻の大きな鴉はいらえるのだった。






    とはいえ、同じ本かな?訳者も出版元同じなんだが、借りたのは「194円+税」だったようで。
     図書館らしき、古い版だったのか。

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