- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102045039
感想・レビュー・書評
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青山繁晴氏が大切にしている本のひとつということを知り、今更の年齢で読んでみる。ジェロームでもアリサでもないもう1人の主人公に心を寄せると味わいを増す。
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ジッドは『田園交響曲』以来だったけど、あの牧師に対するのと同じ種類の苛立ちを、アリサに覚える。
自分が良かれと思っていることで、却って相手を傷つけているという。
それを悲劇ととれるかどうかで好き嫌いがわかれると思う。
私には、現実に生きて、かなわぬ恋にも前をむいて決別し、地に足をつけたジュリエットの生きかたのほうがずっと好ましい。
ただ、ジェロームが最後にジュリエットに語ったアリサへの愛は、確かに美しくて、切なかった。 -
アリサの日記に辿り着くまでに相当な日数と労力を費やしてしまった…。
地上的な愛ではなく天上の愛を求め苦悩する姿。
そのような形容で語られれば理性的にはすんなり頭で理解はできる。
しかし簡単に手に入れてしまっては、手に入れてしまった後の辛さの方も想像してしまうアリサの『徳』と言うものも、人間としてどうしても譲れない想いを現しているのだと思う。
現にジットは個人思想を守りたい作家だったわけで、そういった意味では現代の作家に通ずる部分がある。 -
狭き門より入れ
信仰と愛はよく似ているが、過ぎた信仰は破滅を導く。のかな。
信仰を理由に愛を拒むアリサの行為は、なんだか試し行為のような気がして。
本当のところでジェロームを信じることが怖かったのかななんて。それが幼年期の母親の不倫というトラウマティックエピソードに基づくものだとしても。
愛とは身近な人の中に神を見出すことであって、神に身近な人を通して愛を向けることではないと思うの私は。 -
中学生の時に読んで以来の再読。私の恋愛観を決定づけた本。母親のことや前半の妹のエピソードなど家庭環境のことは全く覚えてなかった。延々恋愛と宗教とジェロームを理想化して悩む話だと思ってた。背景がなければそういう考えには至らないわけで、中学生の時の読書力の弱さだったのか。加えて宗教面の理解はできてなかったと思う。それでもこのアリサのジェロームを思うが故に追求しようとする純粋な愛の形ー狭き門をくぐることーが私に与えている影響は未だに大きいと思う。それが故に恋愛に失敗してきてもいるけど。