人生論 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102060179

感想・レビュー・書評

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  • 2023.11.28読了

  • 大人ならこういのもちゃんと読んどかなきゃなと思い、チャレンジしましたが、やはり撃沈しました。しかし、思ったよりそこまで難解ではなかったです。


  • 非常に難解な文章だった。人生論とあるが、幸福論としたほうが相応しいような気がする。

     人間は動物的自我によって自分個人の為の生き方に疾走ろうとし、それこそが幸福であり生活の凡てだと思い込む。しかし、あらゆる人間が自分個人の為に生きると考えると、その為には他人を排除しようとする者が出てくる。とすると、自分個人の幸福とは容易に手に入るものではない。ましてや病気、衰え、死などが刻々と近づいているわけである。それを避けることはできないし、そうなると自分個人の幸福はまやかしのようなものであることに気づき、人生の矛盾にぶち当たる。
     したがってほんとうの幸福の為には自らの動物的自我を理性的意識に従わせる必要がある。そこから発生するのが愛である。愛とは自分個人の幸福よりも他者への善、自己犠牲を伴う行為である。真の愛の為には死をも恐れなくなるのだ。

     拙い要約としてはこういう内容であった。おしまい。
     
     

  • トルストイだもの、覚悟はしてたが、予想以上に難解だった。解説にあるとおり、表題は『人生論』より、『生命について』の方が相応しい。一文一文、噛みしめるように読み進め、なんとか最後まで読了。

    「人間の生命は幸福への志向である。人間の志向するものは与えられている。死となりえない生命と、悪となりえない幸福がそれである。(p247)」

    結びのフレーズは、読了した者だけが味わえる高揚感がある。

  • 自分の理性
    「理性は人を幸福に導く」自分を信じて、理性が意識するがまま生きることによって幸福を得ることができる。過去信仰がその理性を左右したが判断するのはあくまで自分自身であると。現代、「理性」とは道理によって物事を判断する心の働き、とある。人は様々なヒト・コト・モノによって心が動かされるが、より多くのヒト・コト・モノに遭遇できることはトルストイの生きた時代とは違い幸運だと思う。よって判断できる材料をできる限り集め、自分に快適、且つ心地よい道が許され、自信を持って前に進むべきなのだ。

  • 【感想】
    人間が生きる意味はまさに、他者に尽くすことであるという一言に尽きる。
    理屈では分かるものの、これが中々難しい。生命の法則が相互奉仕にあることも理解できる。だが、現実世界を生きるには絶えず闘争に打ち勝たねばならないという意識もある。ゲーム理論的には、お互いに協力し合うことが両者にとって最善なのだろうが、出し抜いた側はより一層恩恵を受けられる(欲を充足できる)。ここに、一人一人の人間が陥りがちな個人の幸福を願う動物的個我の問題点が発露する。

    頭でまずは理性を自覚する、生命の至上命題を理解することが、社会が幸せになるための大きな一歩なのであろう。その方策として考えられるSDGsや社会起業家の出現等に鑑みれば、理性に従属する動物的個我の発現は今後大いに期待できるのではないだろうか。

    【メモ】
    何物も個人の幸福を追求するならば、それは死への絶え間ない接近にすぎない。故に真の意味での幸福はありえない(その場合、死によって全てが無に期すためである)。

    この個人の幸福を追求する動物的個我を理性へと従属させること(生命活動そのものである愛の認知※愛とは特定の人に向けられるものではなく、自己の動物的個我よりも他の存在を好ましく思う感情)で①幸福を実現することができると同時に、②死の恐怖を克服する(死が存在しなくなる)ことにつながる。

    ①生命の法則は闘争ではなく、存在同士の相互奉仕。
    ②動物的個我による生存を重視する人は、生命とは身体と結び付いていると考えるため、身体の消失は生命の死であると感ずる。しかし、人の自我や世界との関係性は肉体の消失によって発生するものではないため、理性における生命に死は存在しない。(例:亡くなった方々の思い出や記憶が連綿と現在に引き継がれていること、生前よりも一層影響力をもつこと等)

  • 他の作品もよみたくなった

  • これまでずっと新しい定義に出会うたびに納得した風にして、でもどこか矛盾を感じていた疑問に対する答えを見つけられた一冊。これまで読んできた本の中で最も有益で有効で善良な一冊だと感じた。
    生命とは何か、なぜ生きるのは苦しいのか、幸福とはないかというあまりに捉え難い抽象的だけど当事者であり過ぎるあらゆる生への答えを、どこまでもロジカルに教えてくれた。

  • 第1回(テーマフリー)

  • 他のために自身を捧げることで生命は永遠となる、ととりあえず理解。
    後半少しだれたけど、動物的自我と理性の対比は勢いがあってよかった。

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著者プロフィール

一八二八年生まれ。一九一〇年没。一九世紀ロシア文学を代表する作家。「戦争と平和」「アンナ=カレーニナ」等の長編小説を発表。道徳的人道主義を説き、日本文学にも武者小路実らを通して多大な影響を与える。

「2004年 『新版 人生論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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