かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102065037

感想・レビュー・書評

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  • 「あなたや、あなたのお母さんや、あなたのおばあちゃまが、なんにもしないとすると、それはつまり、だれかほかの人間があなた方の代りに働いているということなんだ。あなた方はだれかほかの人間の生活を奪っていることになる。これが清潔なことですか、汚らわしくないことですか」

    上手い。
    どの短編も皮肉満載でシビア、けれど読後感は暗くない。
    作者は人々を突き放して見下ろしているのではなく、温かさを持って見つめているのが伝わる。
    これから何度も読み返すだろう作品。

  • 谷間。もう少し救われないかと思う。少しずつ、少しずつ、さみしくて辛い。どんより、どんより初冬の小道をテコテコ行く感じ。なんにも変らない、ありそうな範囲でしか事は起こらない。なのにちょっとの温もりが、しんみり迫ってくるようで。

  • リアリズム文学で知られるチェーホフの短編編集。
    どうしようもない現実や残酷な運命に翻弄される人間は、しかし、そんな厳しい世の中で、不幸と比べてあまりにも小さな希望を見つけ、それを糧に生きていく。

    チェーホフの物語は、どうしようもなく救いがなく、だからこそ私たちが共感できる部分を含んでいる話が多い。

  • おもしろいと評判のチェーホフの短篇。やっぱり、おもしろかったです。
    切なくて苦くて、(優しくないのかもしれないけど)優しく感じる所がいいです。

著者プロフィール

一八六〇年、ロシア生まれ。モスクワ大学医学部を卒業し医師となる。一九〇四年、療養中のドイツで死去するまで、四四年の短い生涯に、数多くの名作を残す。若い頃、ユーモア短篇「ユモレスカ」を多く手がけた。代表作に、戯曲『かもめ』、『三人姉妹』、『ワーニャ伯父さん』、『桜の園』、小説『退屈な話』『六号病棟』『かわいい女』『犬を連れた奥さん』、ノンフィクション『サハリン島』など。

「2022年 『狩場の悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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