魔が差したパン: O・ヘンリー傑作選III (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102072066

作品紹介・あらすじ

堅実に暮らしていた女が芸術家風の客に抱いたほのかな恋心。愛した女を捜し続ける男を導く妖しげな香気。立身出世し、田舎に凱旋した男の本当の姿をみた妻。没落貴族がかつての邸宅を一晩だけ借りて開いた晩餐会にやってきた招かれざる客――。大都会ニューヨークと砂塵舞うテキサスを舞台に、普通の人々の悲喜こもごもを自在に描き尽した短編小説の名手による至高の17編を新訳!

感想・レビュー・書評

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  • 本当に古典という臭いのする短編集だった。
    高校生の時とは大きく異なり、人生の悲哀・喜怒哀楽・甘い酸っぱいも・・などという言葉が次々を頭をよぎる。

    現在と異なり、IC機器がなく、すべては人と人との直截的な触れ合いで始まり、それで終わった。

    拳銃でぶっ飛ばすことも、ナイフでぐさりと行くことも、抱擁して涙することも・・濃いといえばそれまでちょっとし行き違いがとんでもないことになったり・・O・ヘンリーが巧みに描き出す一コマ一コマが古き良き?悪き昔を感じさせる。

  • 飢えている心は、年に一度でも一かけらのパンが欲しいのだ。

    いやはや熱き心という小舟は、どれだけ浅い水にも浮かんでいられるものなのか!

  • 「魔が差したパン」「ブラック・ビルの雲隠れ」「未完の物語」「にせ医者ジェフ・ピーターズ」「アイキーの惚れ薬」「人生ぐるぐる」「使い走り」「一ドルの価値」「第三の材料」「王女とピューマ」「貸し部屋、備品あり」「マジソン・スクエアのアラビアンナイト」「都会の敗北」「荒野の王子様」「紫のドレス」「新聞の物語」「シャルルロワのルネサンス」を収録。

    訳者あとがきからは、訳者のこだわりが読み取れる。

  • 短編の名手、オー・ヘンリー。最後のひと葉や賢者の贈り物あたりは読んだことがあるけど、これは読んだことがないものが多数。タイトルにひかれたんだけど、多分「魔がさしたパン」は違うタイトルで読んだ気がする。

  • なんとも普通なんだけど、普通の中にある小さな小さなひっかかりに焦点があたってるかんじかな。結構、心に残ります。きっと再読したくなる一冊。

  • 傑作選3冊読み終えてしまった。O・ヘンリーの短編を読むと、質素で貧乏でも本当の幸せってあるんだなぁと考えさせられます。そして時代を超えてこの作品が読み継がれているこの世の中もまだまだ捨てたもんじゃないなーと思ったりします。この本では「魔が差したパン」と「第三の材料」が印象的です。過去に映像化もされている作品もあるようなので、機会をみて映像の方も観てみたいと思います。なんだかこの幸せな余韻にしばらく浸っていたい気分です。

  • 表題の「魔が差したパン」から読み始める。
    訳がうまいのか、スラスラ読み進める。
    最後にクスッと上質な笑いが沸き起こる。
    外国人が登場人物なのでカタカナ表記となるが、これが覚えにくい。
    中には、よくわからない短編もある。
    なので総合点で3にした。

  • なかなか良かったです。O・ヘンリー短編の中でも傑作選3冊のうちの3冊目。
    東工大名誉教授の小川氏による傑作選・翻訳。

    ・・・
    O・ヘンリーは久しぶりです。もう20年以上ぶりかも。この短編集のうち数編は何だか読んだ気がします。

    洒脱な雰囲気を漂わせつつ、労働者階級の悲哀や小さな喜びを描くところがいいですね。最後にくすっと笑顔をさせてくれます。

    ニューヨークはマンハッタンに生きる賃借人、あるいはテキサスなど南部のメキシコ国境沿いで生活にあえぐ労働者など。偶然というスパイスを取り混ぜることで、ちょっとした幸せを彼らに運ぶ、というハッピーエンド系のお話が多い気がします。いわゆる感動ポルノ的な大がかりなものではなく、本当にクスっとしたやつ。

    読むとちょっと元気になれるかも。

    ・・・
    その中でも好きだったのを幾つか挙げておきます。

    「魔が差したパン」・・・表題作。オチが少しずつ見えてきますが、よかれと思った行いが逆の行為を生んだという構図。恋心+お節介=ありがた迷惑、という悲しい結末。

    「都会の敗北」・・・埃っぽい農場出身のロバートは、出世し、ニューヨーク社交界で大成功。とうとう高嶺の花、アリシア・ヴァン・デア・プールとの結婚に成功。隠していた母親からの手紙を妻が発見し、赴くことになった生まれ故郷。場違い感が半端ない妻から語れる言葉は・・・。

    「シャルルロワのルネサンス」・・・フランス出身の没落貴族のシャルルが催す一代一世の浪費ディナー会。誰にも信用されず客がこないなか寂しいディナー会がはじまるも、神様は彼を見捨てなかった! 南部のマルディグラを思わせる雰囲気のある作品。

    もちろんですが、それ以外にも「クスっ」系のユーモア交じりの作品が多かった印象。

    ・・・
    ということでO・ヘンリーの短編集でした。

    訳者の小川氏が頑張って訳出した旨をあとがきに書いていましたが、それを読むにつけ原書でも読んでみたいなあと思った次第です。たぶん版権は切れていると思いますので、廉価で売っているのでは、と思います。まあ私はほんとうに安くないと買わないシブチンですが。

  • 大好きな作家のO・ヘンリー
    特にこの人の恋愛の物語が好きだ。
    一話が短いながらも、確かにストーリーが詰まっていて甘酸っぱい気持ちになる。ドラマや映画など映像のストーリーとはまた異なり、文字の物語を楽しめる。この本を気に入った人には『恋人たちがいる風景』も是非お勧めしたい。

  • 理不尽にさらされる度に、表題作を思い出す。
    誰も悪くなくたって、最悪の結末が訪れることはある。それが人生。

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著者プロフィール

1862年、ノースキャロライナ州に生まれる。20歳のときにテキサス州のオースティンに移り、銀行に勤めるが、まもなく横領の容疑がかかり退職。後に起訴されると、中米のホンジュラスに逃亡。妻が病気に倒れたと聞いて戻り、服役する。模範囚として過ごし、小説を書きはじめる。ニューヨークにやってきたのは1902年。翌年から短編作家として人気を博す。1910年没。 

「2022年 『O・ヘンリー ニューヨーク小説集 街の夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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