大地(三) (新潮文庫)

  • 新潮社
3.84
  • (52)
  • (49)
  • (66)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 579
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102099032

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 小さな村の一角から始まった物語は、海沿いの租界地へと移り、主人公も王虎(ワンフー)からその子王淵(ワンユアン)に変わる。古い世代と新しい考え方との板挟みで悩む。いつの時代も子どもは親の思い通りには決してならないものだと王虎は自分の若い頃を振り返って思わないのか、不思議だ。王虎が王龍の言うことを聞かなかったように、王淵も王虎の言うことを聞かない。しかし!この本の最後で劇的に場面は展開する。

  • やっと読み終わった

    最初ほど勢いよく進まないけど、続きが気になるので4巻に進みます。

  • 淵の逃亡劇の巻。
    土地に縛られない生き方に憧れた人々だが、結局、裏切らないのは土地だけだった。
    最終巻へ

  • 2代目の壊れ具合が好きなので、3代目にはややイライラ

  • 徳田秋声の『あらくれ』と巴金の『家』を足して二で割ったような内容かな。少し違うか。
    王淵のころころ変わりやすい考えはみていて一貫性がないだけにイライラするが、この年齢の青少年の移ろいやすさというか、芯がないというか、そういう思考パターンをうまく描いていると思う。それにしても王淵の芯のなさは天下一級。うちの弟そっくりでこれまたイライラする。勝手に熱をあげて、期待がはずれて一転憎悪の念にかわるパターンなんかまさにうちの弟そのもの。いや、自分自身も意識していないかっただけでそうなのかも。そうゆうイライラするところが『あらくれ』っぽいというか、とにかく同作品を思い出させる(褒めている)。
    また、清朝崩壊後の混乱期を描いた一巻は生存を賭けた必死の物語だったが、時代が進み、共産党の中国統一に近づくにつれ、次第に思想闘争の色が増してきた。しかもそれに熱をあげるのが年端も行かない青少年(王龍に対する王虎から、王虎に対する王淵)なので、これがまたイライラさせる。封建制度との闘いは起こるべくして起こったもので、その主役が青少年や女性であったことも因果。そのあたりも細かに描きだせていると思う。
    ただ、やはり一巻の波瀾万丈さから巻を追うごとに退屈になってくるのは否めない。しかも王淵は好男子でお金持ちの家系の生まれなので、陳腐さも否応なしに増してしまう。

  • 良かれと思って息子を後継ぎとして育てる王虎、その事が嫌でたまらない息子。そして親元を飛び出した王虎同様、息子・王淵も父から離れてゆく―歴史は繰り返す、父が農民から地主へと成り上がったように王虎も一兵卒から将軍になった。王淵も一角の人物となるのだろうか?

  • 王龍の三男王虎とその息子淵の話が殆どである。
    王虎は籠城する匪賊を破り、肥沃な地の実質知事も兼ねた軍閥の将軍として大陸統一の野望を抱く。兄の薦めにより二人の女性と結婚しそれぞれ男と女の子を産む、息子の淵を後継にすべく帝王教育を施し士官学校に入れる。軍政では民衆救済の大義のもと規律徹底で、淵の前で直訴の六人を銃殺する厳格処分で後悔の種を作る。淵は生真面目で戦いよりは土を耕すことを好み父の管理から逃れて王家の故郷「土の家」に脱出する。そこでの生活に心からの平安と満足を得るが父の病気を理由に引き戻されるも、また衝突し異母と妹の住む海岸の大都会(上海)に行き、大学に入って新しい生活を始める。革命軍活動に関わり逮捕され死刑を宣告されるも父や親戚の尽力で救出される。
    前半の王虎の晩年期に至る記述は内容や表現が雑で冗長さが目につく。物語の主人公が初代の王龍と阿蘭から王虎を経由して王淵に替わる、そのための繋ぎという位置付けなのであろう。概して二代目の三人に対しては冷淡である。それに比べて淵の描写は成長過程や心の描写も含めてかなり丁寧で作者の思いが十分に醸されている。
    「淵にとっては学問が一番楽しかった。‥‥一番興味を持って研究したのは植物の根とか葉とかの内部構造に関する学問だった。」上海の大学でのことである。
    背景も中国大陸における清の支配が崩れ、跋扈する匪賊や軍閥への国民党の北伐戦争、そして共産党による統一へと激しく動いている。社会の激動がそこで生きる個人に人間であるが故の苦悩や喜びの物語を産みどこまでも人間の尊厳を追求するという建て付けは明確である。
    親子や家族の在り方も様々な登場人物を通して何度も問いかけられる。リアルである。

  • 四でどうなるー⁈

  • この巻で メインは王虎(わんふー)の息子である王淵(わんゆぁん)に変わる。
    王虎のサクセスストーリーをもっと期待していたけど、息子を溺愛し過ぎて、スン と止まってしまったのが残念。
    梨花(りほあ)も良い展開があるのではと期待していたけど、スン と収まるところに収まり残念だった。
    しかし、登場する女性ほとんどが性格が悪いというか、協調性に欠けるというか、謙遜をしないのは時代のせいか?国民性ゆえか?

  • 金持ちの厳格な父に育てられた息子が都会に出て快楽を知り堕落していく。。わけでもなく、なんだかんだと上手くやってるわけですよ。
    農民のように土とともに自由に生きたい、とか言いながらも、この無教養な間抜けどもめ、と言ってしまったりやら、乞食どもは目に入れるのも嫌だとか、実に金持ちらしいムカつく感じが、でも逆に清々しくもある。
    でも一番上手くやってるのは王大さんで、基本的には働くこともなくなのに、親の財産で好き勝手やりおってからに、ともかくおじいちゃんが頑張って土地を集めたお陰で皆金持ちなんだから、やっぱ不動産業って儲かるのは今も昔も変わらんということやね。

全39件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

(Pearl Sydenstricker Buck)
1892-1973。アメリカの作家。ウェスト・ヴァージニアに生まれる。生後まもなく宣教師の両親に連れられて中国に渡り、アメリカの大学で教育を受けるため一時帰国したほかは長く中国に滞在し、その体験を通して、女性あるいは母親としての目から人々と生活に深い理解をもって多くの作品を発表した。1932年に『大地』でピュリッツァー賞を、38年にはノーベル文学賞を受賞。また1941年に東西協会設立、48年にウェルカム・ハウスの開設と運営に尽力するなど、人類はみな同胞と願う博愛にみちた平和運動家としても活躍した。

「2013年 『母よ嘆くなかれ 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

パール・バックの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヘルマン ヘッセ
宮部 みゆき
パール・バック
谷崎潤一郎
遠藤 周作
宮部みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×