やけたトタン屋根の猫 (新潮文庫 ウ 5-6)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102109083

作品紹介・あらすじ

舞台はアメリカ南部の大富豪の家。一家の主は、癌で余命いくばくもない。この家の次男ブリックの妻マギーは、同性愛の愛人を失ってから酒びたりの生活を送る夫の愛を取り戻そうと必死だった。また、長男グーパー夫婦は、父の病状を知って、遺産相続を有利に運ぼうとしていた。-父の誕生日に集まった二組の夫婦、母親らの赤裸な性と愛と欲を描くウィリアムズの傑作戯曲。

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は米国南部の大農園の邸宅。
    時代は1950年代後半頃か(ブリックが〝テレビのスポーツ・アナウンサー”であることから)。

    主役的な登場人物はブリックとマーガレット。
    (映画化作品ではP・ニューマンとE・テイラーが演じたらしい。)
    ブリックとマーガレットの夫婦関係は冷めている。マーガレットはブリックの愛を取り戻そうと願っている。だが、そもそもブリックは同性愛者。以前「親友の」男性を失っており、その傷心で酒浸りでもある。

    大農園主であるおじいちゃん(ブリックの父 )はガンで余命いくばくもない。その遺産相続への思惑からブリックの兄グーパーとメイの夫婦がおじいちゃんにアピールする。一方、ブリックはアル中で、そのうえ夫婦に子供は居ない。(遺産相続には不利な状況)。

    第二幕、ブリックとおじいちゃんの対峙はおよそ70頁に及ぶボリューム。ちょっとした緊迫感がある。

    おじいちゃん
    「なんに対してむかつくんだ? /ただむかつくだけじゃあ意味をなさんぞ!」
    「 それは生きるってことじゃない、人生から逃げるってことだ 」

    ブリック
    「 人間は「 欺瞞 」というシステムの中で生きていかなきゃならないんだ。そこからのがれる道は二つに一つ、酒か、死だ… 」

    世界の現実と向き合い生き抜いて来た父。虚無に陥いる息子。その二人が切り結ぶ。

  • 村上春樹『風の歌を聴け』から。期せずして私の永遠のテーマの一つであるアル中本だった。「酒飲みっていうのは、自分がもう若くないし信じることもできなくなったという事実を忘れたがっている人間なんだよ」よくわかる。けれども、頭の中でカチッと音がするまで飲んだことはない。

  • 『十二神将変』で引用されていたので読んでみた。すごく面白い!映画版ではヘイズ・コードの介入によって同性愛要素が限りなく薄くぼやかされてしまっているそうだけど、エリザベス・テイラーもポール・ニューマンも本当にぴったりの配役だと思うのでぜひ観てみたい。

  •  
    ── ウィリアムズ/小田島 雄志・訳《やけたトタン屋根の猫 199904‥ 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4102109080
     
    ── 《熱いトタン屋根の猫 19580918 America 19590407 Japan》Taylor, Elizabeth 主演
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%C7%AE%A4%A4%A5%C8%A5%BF%A5%F3%B2%B0%BA%AC%A4%CE%C7%AD
     
    ── ウィリアムズ/田島 博&山下修・訳《欲望という名の電車 195608‥ 新潮文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4102109013
     
     Williams, Tennessee 19110326 America 19830225 71 /窒息死
     
     退場の美学
     
    …… 華麗な退場は粗末な芝居に先行され、簡素な退場は豪華な芝居に
    裏打ちされている、それが T. ウィリアムズの二つの劇に見られる退場
    の美学の妙である。── 依田 義丸《退場の美学 :
    Tennessee Williamsの二つの劇の場合 201102‥ 京都大学》
    http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/138546/1/ebk00083_073.pdf#search='%E9%80%80%E5%A0%B4%E3%81%AE%E7%BE%8E%E5%AD%A6'
     
    (20160703)
     

  • 全3幕から成る劇だが、2つの異なった第3幕が残されている。本書にはそのオリジナル版と、演出家エリア・カザン(映画『エデンの東』などで名高い)の提言を入れたニューヨーク初演版の両方が収録されている。舞台で見るとまた違った印象を受けるかもしれないが、戯曲で読む限りではオリジナル版のマーガレット、ブリックの方が、より彼らの人間性の本質を深く表現していると思う。また、作品全体の底流に流れるミシシッピデルタの風土感は、その茫漠たる広大さと共に、倦怠と行き詰まりの感覚を内包しながら、舞台の全幕を覆っているかのようだ。

  • 焼けたトタン屋根の上でじっと愛を待って、愛をもとめてとびかかるヒロインを描いた戯曲です。

    より詳しくは http://d.hatena.ne.jp/ha3kaijohon/20120519/1337433748

  • 88006

    26 人間の生と死、欲望を赤裸々に表現してみせるショッキングな戯曲。

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著者プロフィール

1911-1983。アメリカ合衆国ミシシッピ州生まれの劇作家。約60の戯曲と2冊の詩集を出版している。1944年に『ガラスの動物園』がブロードウェイで大成功を収め、1948年には『欲望という名の電車』で、1955年には『熱いトタン屋根の猫』でピューリツァー賞を受賞している。

「2019年 『西洋能 男が死ぬ日 他2篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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