- Amazon.co.jp ・本 (548ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102167014
作品紹介・あらすじ
1月12日の日曜日、スーパー・ボウルが行われる競技場を、大統領と8万人の観客もろとも爆破する-米政府の対イスラエル武器供与に報復するため、パレスチナ・ゲリラ『黒い九月』は想像を絶する方法による無差別テロを計画した。情報をキャッチしたイスラエル秘密諜報機関とFBIは、全力を挙げてこれに立ち向う。恐るべき迫力と現実感で読者に迫る、超大型のスパイ小説。
感想・レビュー・書評
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パレスチナのテロリストと社会に恨みを持つアメリカ人が、アメリカのスーパーボウルの会場で爆弾テロを計画する話。1975年にはショッキングな話だったかもしれないけど、今となっては古すぎるし格調高い翻訳もこのスリラーには合ってない気がする。ただ人格的に難のある男が、ベトナムで捕虜として虐待され、戻ってきても社会にも家庭にもなじめず憎悪をつのらせていく過程が真に迫っていて読みごたえがあった。
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2019.5.4読了
頭の中にその世界やストーリーが、しっかりとある。と感じるくらい描写の細かく、流石と感じましたが、中々先に進まない… ページが重く感じた一冊。
40年以上前の作品だけど、ここ最近騒がれている事がテーマだったりと、色々凄い。と感じる部分はあるんだけど…
好みのせいなのか、とても読みづらかった…
途中から結末もある程度見えてきてしまったし…
羊たちが、よかったから期待しすぎたかも… -
映画はぬるい、ハードな本作、堪能すべし!
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「羊たちの沈黙」で有名なトマス・ハリスのデビュー作。
911の起きる前、ベトナム戦争の終わったあとのテロリストとそれをおう諜報機関とのいわゆるアクションサスペンスだ。
しかし、普通はテロを防ぐ側が主人公となり、理不尽な暴力から市民を守ろうと悪戦苦闘するのがよくある構成だと思う。また、テロリストが主軸であれば、テロリストがテロを起こさざるを得ない理由を描き、それを防ぐ側との対立をもってテロの無益さを示す構成が多いのではないか(テロ礼賛の小説は読んだことがない気がする)。
さて、では本作はどうなのかというと、テロを実施しようとする男とそれを防ごうとする男の視点切り替えで語られるのだが……なんというか、スタイリッシュじゃない。だいたいどちら側も上手く行かない。それを気合いと根性で何とかしようとする泥仕合だ。そこが面白い。
また、男性側は背景を含めふんだんに描写があるが、女性側はそれに比べるとほとんどない。あれか、女性はミステリアスな方が魅力的ということであろうか。確かにこれ以上個人の設定を掘り下げると冗長になるので、そうするしかないと思うのだが。女性の扱いがトロフィーワイフなのはいろんな意味での皮肉だと思いたい。
911以前の、まだソビエト連邦とアメリカが冷戦状態である時代の小説を読むと、当たり前と思う常識はほんの少し前までは違っていたのだなと感じる。 -
処女作だけあってどうにもだらけてしまうのは否めない。後のハンニバルシリーズにおける変態の美学の片鱗がうかがわれるところは微笑ましい。アイデア一発をデータや取材をもとにリアルに描くあたりはマイクルクライトンにも通じるが、こちらのほうは雑に思えてしまう。翻訳も読みづらい。
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トマス・ハリス1975年デビュー作。以降は長期的にヒットしたサイコ・サスペンスのみ散発的に発表しているが、確実に売上の見込める〝ハンニバル・シリーズ〟に固執していることに拝金主義を感じてしまう。少なくとも「ブラック・サンデー」には、エンターテイメント小説に懸けるハリスの意気込みが溢れている。元ジャーナリストならではの綿密な取材を基に、新たなテロリズムの到来を予見したドキュメントタッチの構成は、濃密な国際スリラーとして仕上がっており、今でも充分に読み応えがある秀作だ。
米国開催の「スーパー・ボウル」の競技場に、爆弾を積み込んだ飛行船で突っ込むテロ計画。観客は8万人、大統領も観戦予定であり、成功すれば壊滅的な打撃を与えることができる。その立案者とは、ベトナム戦争で精神と肉体を病み、母国政府への復讐を誓うアメリカ人の飛行船パイロット。男はパレスチナ・ゲリラを巻き込んで、準備段階へと移るが、一方でイスラエル諜報機関モサドがテロリストの不穏な動きを察知し、特殊部隊の精鋭を送り込む。
トマス・ハリスの筆致は硬質で重厚。特に、主犯となる飛行船パイロットがベトナムの戦場で体験した地獄の如き有り様には、後の作品に繋がる「狂気」を読み解くことができる。 -
再読。高校?大学?以来か。才能枯渇した某作家の作品映画化で、何かこの設定記憶あるなぁと思い出して再読。パクリとはいかないが、オマージュか(笑)。呆れるほどの緊張感とリアリズム。結末を途中で思い出したけれど、それでもページめくるドキドキ感は衰えず。これこそエンターテインメント! また映画化されないかなぁ。
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黒い9月と言えば、ミュンヘンオリンピックのテロ事件で有名なパレスチナの過激派組織である。イスラエル当局の徹底的な報復で組織が弱体化していき、解散に至った歴史を持つ。本書は、ベトナム戦争の折、捕虜になり不名誉な除隊を強いられた国家に恨みを持つ元軍人のアイデアに黒い9月がサポートする形で起死回生のテロを企てる。一方、イスラエル当局の追及も執拗であり、追いつ追われつの展開が読者をひきつける。