キャリー (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102193044

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めてすぐ、最終的に何か災厄が起きて、それを起こすのが念動力を持ったキャリーという少女だということはわかる。 そこへ至るまでの背景と経緯が、登場人物たちの視点から語られてゆく。 事件の経過と、後から事件をまとめた著作などからの引用が並行する形の構成。

  • 1974年発表、キングの実質的デビュー作。自身の創作術を述べた「書くことについて」(2000年)の中で、「キャリー」以前にバックマン名義の長編を上梓していたことを明かしているが、本作から〝モダンホラーの帝王〟の快進撃が始まったことは間違いない。売れない兼業作家だったキングは、ブライアン・デ・パルマによる映画化の大ヒットという幸運にも恵まれ、以降は次々と話題作/ベストセラーを連発。今も第一線で旺盛な創作活動を続け、質量ともに凡百の作家を凌駕している。
    内容については改めて紹介するまでもないのだが、常人を超えた能力「念動力」を持つ女子高生キャリーが、狂信者である母親の虐待と同級生らの陰湿な苛めによって限界を超え、一夜にしてすべてを破壊し尽くす物語だ。
    事件の検証委員会、ルポ、警察の調書、関係者の証言などの記録を随所に挟み、隔世遺伝による「超能力」継承など科学的要素も組み込んでいる。日常の中に突如現れる恐怖を、より俯瞰的に伝えるべく趣向を凝らしており、キングの意気込みを感じる。デティールを積み重ねた圧倒的な筆力で分厚い物語に仕上げる手法は流石で、やはり物語作家としての才があったということだろう。理不尽な身体的/精神的暴力といった今日的テーマも、本作が些かも古びていないことを再認させる。
    「キャリー」は言うまでもなくキングの原点であり、モダンホラーの幕開けを告げた記念碑的作品である。

  • 2019.09.16 読了。

    スティーブン・キングの作品って個人的には訳の問題なのか、読みにくいと思っていたんだけど、本作は割と読みやすかった。
    が、この作品の味でもある手記パートであったり物語パートであったりといったパートの変化がはじめはよく分からず、読みにくいかも。
    中盤以降はすいすい読めるので、一気読みできる時間を確保したいところ。

    最後まで報われないキャリー、かわいそう。
    あと解説で他に作品のネタバレやめてくれ、読む予定のやつあるのに。

  • たしかキング処女作。ちょっと実験的な書かれ方をしてたよな。デ・パルマ監督の映画も面白かった。

  •  キングをいろいろ読んでみようといわけでこれ。処女作。こちらは念力物で女子高生が主役。ほとんどストーリーはなく、物語そのものの進行と報道やインタビューからの事件の再構成とを交互に綴りながら、じわじわと悲劇的カタストロフィへ向かう恐ろしさを紡ぎだす。いじめられっ子キャリー、鼻持ちならないクリス父娘、同情的なスー、難を言えば素材的というかもっと肉付けして小説的にすることもできただろうが、これはこういうものとして読むべきものだろう。

  • ホラー好きなら、映画を見ていなくても原作を読んでいなくても、あらすじはすでに知っているだろう「キャリー」。読んでみました。

    検証委員会の議事録や、関係者の告白本、研究者の抜粋記事を、要所に挟むことにより、「テレキネシス能力少女が起こした事件」を、読者にまるで本当にあったかのように錯覚させる。すごく効果的。

    キャリーの家事情(特に母親との)やスー・スネルの内面(特に最後)、ここらへんは本の方がいいな。表現によっては、B級映画になる定番ストーリーですが、スティーブン・キングが花開く才能を感じます。タバサ奥様はすごいね。

  • 三度も映画化された巨匠の長編デビュー作。日本の作家さんの作品ばかり読んでいるので
    たまに翻訳作品を読むとカタカナの名前が頭に入ってこず、宗教云々に戸惑う事も多い。
    わたしが生まれる前に書かれたものですが、いじめ、毒母の支配、今の時代とほぼ同じだ。
    数十年どころかもっと昔から人間の根っこは変わっていないのだろうと思わせられます。
    圧倒され一気読みでしたが、読後かなり気持ちが落ち込みました。再読は無理だな…。

  • キャリー、それでもママが好きなのね。せつない…。

    この読みやすさで、このメッセージ。
    すごく久々だったけど、やっぱベースが児童虐待。
    キングすごいわ。

    .

  • 途中で挫折。話が暗い。

  • 初めて読んだスティーヴン・キング作品。
    書かれたのが随分昔だからなのか少し読みづらく感じる部分もあったけど、面白かった。
    作品内に登場する本(『あばかれる影』など)の引用がつぎつぎに出てきて、キャリーの目線からではなく事件について語られているのに興味を惹かれた。
    キャリーがTKの能力に目覚めたきっかけにはいじめや、母の狂信的なキリスト教への信仰心などがあり、読んでいて楽しい小説ではなかったが、ただ圧倒された。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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