日本語八ツ当り

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103032045

作品紹介・あらすじ

新聞記事、広告コピー、お役人の文章、若者の物言い、法律判決文、変体文字。そんな日本語、勘弁してよ。野暮を承知で苦言を呈する話題の辛口随筆。

感想・レビュー・書評

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  • ●=引用

    マレーシアに赴任していた時に南薗さんから借りて読んだような記憶はあるが、覚えている内容は無かった。

    おじん、実年、ネバカ、マル文字(変体少女文字)、コピー食品 →死語

    分相応に正しい、普通の日本語を話すこと。怪しい日本語をあおるコピーライター

    ●<簡約日本語/外国人のため”発明”します/国立国語研3年がかりで>(略)外国人に日本語をやさしく教えるという基本理念に反対する理由は、何もない。反対するどころか、大賛成である。だからといって、外国人のためなら日本語をぶちこわしてもいい、ということにはならない。
    →「いつもの言葉を哲学する」下記参照。
    ●しっくりくる言葉を探し類似した言葉の間で迷いつつ選び取ることは、それ自体が、思考というものの重要な要素を成している。逆にいえば、語彙が減少し選択できる言葉の範囲が狭まれば、その分だけ「人を熟考へ誘う力も弱まる」ことになり、限られた語彙のうちに示される限られた世界観や価値観へと人々は流れやすくなる。ニュースピークとはまさに、その事態を意図した言語なのである。
    ●私たちが言語を用いて行うことのうち、(A)特定の相手の言わんとすることを最大限に汲み取ろうしたり、その相手に合わせて噛み砕いた言葉を発したりする言語実践と、それから(B)突き詰めた精密な思考や豊かな表現を目指して行なわれる言語実践、この二種類のものの間には原理的に緊張関係があるということ、そして、この緊張関係は解くべきではない、ということだ。(中略)たとえば、<やさしい日本語>と<精密コードとしての日本語>のいずれかを、あらゆる言語実践の規範とすべきではない。そうやって二種類の言語実践の間の緊張を解いてしまえば、いずれの言語実践の実質が致命的に損なわれ、私たのち社会から多くの重要なものが失われてしまうことになる。それゆえ、<やさしい日本語>の推進に際しては、それが文字通りの意味であまねく行き渡るべきものではなく、あくまでも初期の日本語教育にかかわるものであり、また、地域に住む多様な人々が
    そこに自らの「居場所」をつくるためのものである、という位置づけが堅持され、その認識が広く一般に共有される必要がある。

  • (1990.01.02読了)(拝借)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    新聞記事や広告コピー、役人の文章や若者の言葉…。意味不明な言語、大人になりきれない幼児化した物言い、思い上がった低劣卑俗な造語を次々に槍玉にあげ、乱れきった日本語を一刀両断する痛快エッセイ。

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著者プロフィール

江國滋
一九三四年東京生まれ。演芸評論家、エッセイスト、俳人。慶應義塾大学法学部卒業。新潮社勤務を経て、独立。六一年に『落語手帖』を刊行し、以後、随筆、紀行、評論の分野で活躍する。九七年没。主な著書に『日本語八ツ当り』『俳句とあそぶ法』『落語美学』『旅はパレット』『スペイン絵日記』。句集に『神の御意――滋酔郎句集』『癌め』など。

「2023年 『俳句とあそぶ法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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