泥人魚

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (153ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103055037

感想・レビュー・書評

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  • 2日前に唐十郎さんが亡くなった。大学時代に演劇をやっていた頃、アングラ演劇ブームの洗礼を受け、仲間たちと紅テントor黒テント談義で盛り上がった。紅テントを率いたのが唐十郎さんで、黒テントで佐藤 信さんらが座付き作者、演出家として活躍していた。別役実さんも面白かった! あの頃から雨が好きだったのだろう。別役実の戯曲の中に「雨が空から降れば」の台詞が出て来て、S大演劇部が演じていたのが今も心に刻まれている。脚本や舞台に憧れ熱く語りあった青春時代ー、唐十郎さんの訃報を知り、一緒に演劇をやった彼らも同じ思いに浸っているにちがいない。
    黒テントは機会があって観には行けたが、残念ながら紅テントを観るチャンスはなかった。今回唐十郎さんの訃報で調べている中に、本作の『泥人形』を見つけた。当地の諫早湾干拓地を背景に唐十郎さんが創作していた。宮沢りえさん主演で舞台上で再演されていたらしいが、すでに終わっていた。磯村勇斗、愛希れいか、風間杜夫さんらが共演していて、ファンタジックな世界観と現実を絶妙に組み合わせた作品とあり、DVDがないか探している。
    テントで観たかったなぁ!

    泥人形あらすじ

    港の町を去って、今は都会の片隅にあるブリキ店で暮らす蛍一(磯村勇斗)。店主の静雄(風間杜夫)は 、 まだらボケの詩人だ。陽が落ちると急にダンディな夜の詩人と化す。ある時店に現れたのは、詩人を「先生」と呼ぶ男、しらない二郎(岡田義徳)。二郎は詩人静雄の元門下生であり、蛍一とは、長崎の諫早漁港で共に働いた仲だった。干拓事業の賛否に揺れる漁港では、湾を分断する「ギロチン堤防」が内側の調整池の水を腐らせ不漁が続き、池の埋め立てに反対だった仲間の漁師が、次々と土建屋に鞍替えしていく。そんな現実に絶望した蛍一は、港の町を去ったのだ。一方の二郎は、実は港に派遣された「さぐり屋」だった。依頼主は、月の裏側を熟知しているとのたまう女、月影小夜子(愛希れいか)。二郎の裏切りを蛍一がなじっていると、蛍一を探して、やすみ(宮沢りえ)という女が現れる。少女時代 、ガンさんという漁師に海で助けられ、その養女となった娘だ。「ヒトか魚か分からぬコ」と呼ばれるやすみは、ある約束を果たしに来たと言う。「人の海の貯水池で、言ったとおりの人魚になれ」と。蛍一の前で見せた片方の足には、一条のきらめくものがはりついていて・・・

  • 唐十郎の戯曲初めて読みました。
    クセがあるよと聞いてたんですが、唐十郎は小説が既にカオスやけん意外とだいじょうぶやった(?)でも小説以上にリズミカルで叙情的。

  • 彼女は、ギロチン堤防によって締め切られた泥の海からやってきた人魚なのか?夢と現実、幻想と救済が入りまじる詩のような戯曲。

  • 舞台をみて、戯曲読みました。
    言葉なのに、生々しく躍動感があり、言葉の波に溺れました。
    テントで見たい!

  • 神秘的で美しい表紙と本文のギャップが…

  • 観たかった芝居です。

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著者プロフィール

劇作家・演出家・俳優・小説家。1940年東京生まれ。明治大学文学部演劇学科卒。62年劇団状況劇場を結成。67年に新宿花園神社境内に紅テントを立てて上演し、以後、唐の存在は60年代に開始されたアングラ・小劇場演劇を牽引する旗手となった。88年に状況劇場を解散、唐組を結成。横浜国大(1997~2005年)、近畿大学(2005~10年)でも教授を勤め、後続の若い世代にも強烈な影響を及ぼした。 

「2017年 『唐十郎 特別講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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