妻を看取る日 国立がんセンター名誉総長の喪失と再生の記録

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103212218

作品紹介・あらすじ

定年を迎え、妻とのんびり過ごしていこうと思っていた矢先の出来事だった。わずか六ミリの影が、妻を襲った。一年半にわたる闘病生活、自宅での看取り、妻亡き後に押し寄せてきた絶望感、そして、人生の底から立ち直るまでの道のり-。日本のがん医療の最高峰に立ち続ける著者が、自らの体験を赤裸々に綴った。

感想・レビュー・書評

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  • 癌で最愛の人を亡くした人は確かに多いだろうし、その意味で普遍的な面も(プロローグに記されているように)あるだろう[more]が、それでも個別のエピソードはあくまで唯一無二の内容であると思う。そして快復の道のりもこのご夫婦だからこそであったろう。同じことをしても誰でもが快復(と言って良いのか判らないが)するわけではない。それでもなお、喪失だけではなく再生(快復)の記録もあわせて記されている意味は大きいと思う。
    エピローグに「逆でなくて、本当によかった」と記すことができるのが印象的である。

  • 20230207

  • 1941年生まれ、東大空手部、医学部卒、垣添忠生 著「妻を看取る日 国立がんセンター名誉総長の喪失と再生の記録」、2009.12発行。自伝風でスタートし、妻との出会い、駆け落ち、妻の病、妻との対話と続いてます。国立がんセンター、私も一度だけ再診で訪れたことがあります。この本は、垣添氏の12歳年上の妻に対する思いと、凛とした奥様の姿が描かれています。「家で死にたい」との願いが叶い、2007年12月28日から1月6日の間、一時帰宅。その4日目、大晦日に亡くなったそうです。「家の布団で寝ると、気持ちがいいわね」「私がいなくなったら、寂しくなるわよ」「ありがとう」と。

  • 何の予備知識もなく読み始めて、年齢差にはびっくりしたけども、それ以外はとても普通の夫婦で。こんなに奥さんのことが大好きで大切にしている旦那さんがいることに、心が温かくなった。

  • 916

  • 共同図書 916/Ka26

  • 駆け落ちまでした恋女房と40年、やっとのんびりできると思った定年間近。リンゴの種ほどの影が妻を襲う。がんは猛烈な勢いで命を奪っていった。がんの専門医でありながら最愛の人を救えなかった無力感と喪失感――著者は酒に溺れ、うつ状態に陥り、ついには自死まで考えるようになる。その絶望の淵から医師はいかにして立ち直ったのか、心の軌跡を赤裸々に綴った慟哭の体験記。

  • がん治療にかかわってきた医師がその妻をがんで失うというやりきれない話。自分自身の喪失感を事実関係と共にできるだけ客観的に記述しようという姿勢に心を打たれる。わが身に同じことが起きたとしたらこのように冷静でいられるだろうか。

  • 2012-01-20

  • 国立がんセンター名誉総長という要職にあった垣添忠生さんが退任し、
    名誉総長になって間もなく、奥様昭子さんのがんが再発
    短期入院も含む化学療法による治療をするが効無く、
    9月に一緒にカヌー旅行にいった後入院、
    一時帰宅した2007年年末に亡くなられている

    昭子さんとの出会い、親の反対を押し切っての結婚
    医師として忙しかった家庭を支えた昭子さん
    こどもは授からなかったが、
    ずっと「波長があった」という二人の関係
    闘病の経過、喪失感の日々、そこからの再生が語られる

    私にとっては少し年上だが同世代を生きた方のひとつの家庭の歴史でもあった
    文章からは率直、真面目、謙虚な人柄が忍ばれる
    また昭子さんとの穏やかな関係、お互いの信頼関係がうかがわれ、素晴らしい

    この本は新潮社から2009年12月に出されている

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著者プロフィール

1941年生まれ。東京大学医学部卒業。同大学医学部泌尿器科文部教官助手をつとめながら、がんの基礎研究に携わる。75年、国立がんセンター勤務。病院手術部長、病院長、中央病院長などを経て、2002年、国立がんセンター総長、07年、同センター名誉総長となる。現在、日本対がん協会会長。著書に、『前立腺がんで死なないために』(読売新聞社)、『妻を看取る日 国立がんセンター名誉総長の喪失と再生の記録』『悲しみの中にいる、あなたへの処方箋』(新潮社)他多数。

「2019年 『亡き妻と歩いた四国巡礼日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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