春のこわいもの

著者 :
  • 新潮社
3.18
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本棚登録 : 2801
感想 : 206
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103256267

感想・レビュー・書評

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  • この作者の小説は比較的好きだったのに本作は全然ダメだった、まずストーリーらし物がなく現象だけの羅列でこれは観念小説と言われても困る、飛ばし読みですすんません。

  • 地獄巡りってそういうことかぁ、と少しくすんだ読後感を持った。一篇目がぼんやりした印象で、この短編はどのように繋がっていくのか、あるいは独立した作品たちなのか?と思っていた。読み終わってから、伏線のようなものがあるようなないような、と全体を見返した。登場人物がはっきり明記されておらず、想像力に任せられているのだろうか、という印象。最後の話は、身近でヒリヒリしながら読んだ。

  • 『あなたの鼻がもう少し高ければ』
    コロナで半年くらいマスク生活が続いた頃、マスクの下の顔を知らない知り合いが増えてきて、もしかしたらこの先、顔の美醜は目のまわりだけで決まるようになって、鼻や口は顔のパーツでいうと耳くらいの、わりと美醜に関わらない存在になるのかもしれないと思った。
    美の判断基準さえも変わってしまいそうな、
    劇的な世界の変化。
    あのときの感覚が蘇ってきました。

    コロナ禍の先が見通せないのは今も同じだけど、
    あの頃いちいちショックを受けていた変化と諦めにはすっかり慣れてしまった。
    きっともう元には戻れないから、
    あのとき世界について考えたことも
    こうやって残されたものを読まなければきっと取り戻せない。

    何度も読んで時間をかけて考えたい作品です。

    最後の『娘について』で突然、いま川上さんが読売新聞で連載中の『黄色い家』に出てくる「シスタ」が出てきて、かなり動揺した…!
     

  • えっと…どう解せばいいの?と言うのが正直な感想。

    入院してて、色々考えちゃう話
    整形に興味のある少女がギャラ飲み面接を受けてブスと追い返される話
     →これは作者がこういった若者の世界も書けるんだぜ!っていう挑戦かな?
    深夜の学校に忍び込んで、手紙を探しつつ、一緒に忍び込んだ女の子を犯す妄想をする話
     → 自分の感情を情報に残したくない女の子。文字という情報について考えさせられる?
    死にかけの女が半生についてベッドで振り返る話
     → この女が次の話の過保護な親なのかなぁ。
    母子家庭苦労人の女小説家の卵と裕福で余裕のある女優の卵の同居から20年後の話
     → この女小説家が、自殺するのかなぁ

    あ、あとなんか第三者視点で老人徘徊を描くような短編もあった。
    短編間の繋がりを意識してしまうから、面白くないのかな。文体とかが短編ごとに主人公に合わせて変わるのは面白い。

  • 青かける青、あなたの花がもう少し高ければ、ブルーインクが好き

  • 心が疲れているときに読みました。どのお話も後ろ髪が引かれるような思いで、ただ気づけば心が追いつく前に終わってしまうような切ない気持ちが続きました。でもそれを不思議と不満に感じなくて、むしろ暴れていた心が凪ぐような気がしました。
    私の一番好きなお話は「花瓶」です。全ての情熱的な思いは過去のことで、今の自分の身体には何も残っていないからただ家政婦の彼女と重ねて記憶の中の幻想に思いを馳せることしかできなくて、でもその間は鮮明に生きることを実感できた。彼女が目の前から居なくなることを知って、最後に自分の中の光に触れたくて必死に心の内側を弾き出そうとするけれど、その願いは声にならず言葉を渡せないまま彼女が立ち去ってしまった…という主人公の心の質量と、他者や他者と共有する現実との間の大きな隔たりに切なさ、もどかしさを強く感じました。声にしたいと思うほど膨らんだ感情なのにそれすらも自分の老いた身体に邪魔されて行き場を失ってしまうことが、過去の情熱を諦めている主人公にとってどれだけ残酷なことだったかを思い、つらくなりました。ただその勇気は主人公だけが知っていることで、家政婦の彼女を含む他の全ての他者にとっては何でもない穏やかな日常の一瞬で、きっと主人公自身も明日からまた無常を難なく受け入れて口を噤むのだろうかと思い、心の儚さもまた実感する素敵なお話でした。

  • 短編小説。どれもずっと暗くて感情移入できず…これが女のリアル?Audibleだから聴けたけど、実際に読むのは無理だったかも。コロナ、整形、過保護な親、テーマはリアルなんだけど、ともかく暗い。

  • 初めて読んだ川上未映子さん。
    人の心の中のいろんな感情がこわい。
    相手への嫉妬や見栄、期待、裏切り‥

  • 夏物語を読んだことがあり手に取りました。
    半分ほどで読むのをやめようかと思いましたがなんとか読了。前編通してよく分からないな、と言う印象で、本作は私には合いませんでした。

    「あなたの鼻がもう少し高ければ」
    SNS、インフルエンサー、そのとりまき、整形、ギャラ飲み・・現代の闇を煮詰めたようなこの話が一番リアルに感じました。

    「ブルー・インク」
    彼女からもらった手紙を無くしてしまったことを打ち明け、夜の学校に忍び込む。なんとなく印象に残った話ではあったけど、翌朝学校にいくと何もかも様子が違っていた。と言う結末が全くわからな過ぎてもやもやしました。

    「娘について」
    毒親?のネコさんに縛られる見砂と、語り手のよしえのはなし。久しぶりに連絡を取ってどんな行動を取るのかと思ったら結局相手の望むことをするの、。?と言う感じでした。

  • 途中で読むのやめた。
    自分語りのような、会話がない物語がなんとも苦手。
    過去を語るだけで、進まない、どこに辿り着くのか見えない話が苦手。

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著者プロフィール

大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。2019年、長編『夏物語』で第73回毎日出版文化賞受賞。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。その作品は世界40カ国以上で刊行されている。

「2021年 『水瓶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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