深夜特急 (第1便)

著者 :
  • 新潮社
4.22
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本棚登録 : 762
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103275053

作品紹介・あらすじ

デリーからロンドンまで、2万キロの道のりを乗合いバスで旅してやろう!26歳のは、ある日思い立つとあり金をかき集め、旅に出た。途中立ち寄った香港では、黄金宮殿という奇妙な宿に放り込まれ、街の熱気に酔い痴れて思わぬ長居をしてしまう。次いで訪れたマカオでは、「大小」というサイコロ博奕に取り憑かれ、あわや…

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。自由奔放だが、酒と女にはだらしなくないところが、読んでいて気持ちよかった。若かりし頃にこの本と出会っていたら、同じように流浪の旅に出てしまったかもしれない。続きが楽しみだ。

  •  27歳の若者がロンドンへ向け、途中で立ち寄る香港・マカオ・タイ・マレーシア・シンガポールの貧乏旅行。そこで出会った現地の人たち、そして同じく旅する人たちとの交流。著者の逞しい姿が印象に残るとともに、アジア各国の人情味溢れる人懐こさに感動の旅行記。香港の毎日お祭り騒ぎの描写が面白いし、マカオでは賭博場の様子見から、嵌ってしまいそうになる心理描写が秀逸だった!時は1974年だと思うが、当時の各国の世相がありありと感じられ、自分自身が正にその年3月にパリ行きの飛行機で南回りに香港、バンコクなどで空港の雰囲気を味わったことが懐かしく思い出される。
    それにしても安宿に泊まるとそれはいずれも売春宿で、そこでの会話の遣り取りが愉快。
    著者は半年かけてロンドンに行こうとしているとき、シンガポールで会った2人のニュージーランドの青年は3年で世界一周するという、まだ時間的な余裕があった時代だと思う。彼らに著者が先輩面して話した内容を下に引用する。
    【私は弟分のような彼らに、自分が東南アジアを歩いているうちに身についた、旅の仕方の知恵のようなものを伝えたいと思った。私は下手な英語を必死にあやつり、食べ物は土地の人が食べたり飲んだりしているものが安くておいしく、結局は合理的だということ、宿について困ったら中華街を探 せばいい、なぜならそこには安くて安全な宿が必ずあるものだから、といったようなことを話した。「それに旅先で出会う人を必要以上に警戒しない方がいい。その人が悪人で、君たちをだまそうと 近づいてくる可能性が全くないわけではないけれど、それを恐れて関わりを拒絶すると、新しい 世界に入ったり、経験をしたりするチャンスを失ってしまいかねない」】(p296)
    次の感覚も凄く良く分かる。経験してみたいもの。
    【旅をしているうちに、それも何カ月も旅をしているうちに、得たものと失ったものがいくつかあるとすれば、まず失った最初のものは「日にち」だったかもしれない。今日が3日であろうが17日であろうがどうでもよくなる。一日がただ同じように過ぎていくだけだからだ。しかし、それでもしばらくは「曜日」の感覚だけはあった。 今日が月曜なのか金曜なのか、そして日曜が過ぎると、ま 一週間過ぎてしまったなと思うのだ。だが、「日にち」に続き、これまで持っていたはずの「曜日」 の感覚まで失ってしまっていたらしい。やがて、「月」も、あるいは「年」までも失うことになるのだろうか・・・・・・。】(p306)

  • 花田菜々子さんいわく
    1970年代が舞台の伝説の旅行記。
    今でも多くのバックパッカーの聖書のような存在の本で、著者の熱すぎずフラットな視点が何よりも心地いい。そして元祖だけあって、どんな旅行記よりも旅の楽しさがリアルに伝わり、続きが気になって読むのがやめられなくなるような面白さがあった。

  • 眠れぬ夜を過ごした

    • yuujin815さん
      買って積読すること7年。早く読めばよかった。
      買って積読すること7年。早く読めばよかった。
      2014/02/03
  • 無人島へ持っていく1冊(3巻だけど)
    20年前に読んでから、生涯のマイフェイバリットBOOK。
    同じような旅に憧れるも、当方既に社会人で妻帯の身。
    会社を辞めて旅に出る大勝負は出来ずとも、雰囲気だけは・・・という事で、香港では重慶大厦(「恋する惑星」でも重要なロケ地でした)を探索。
    カジノの大小必勝法を実践すべく、マカオのホテル「リスボア」で勝負!(結果は内緒)
    タイ・マレーシア・シンガポール・ロンドン・パリ等々へ単発旅行。
    いつかは、ガイドブック無しで深夜特急に乗るぞ!

  • 26歳の著者は旅に出た。アパートの部屋を整理して、仕事のすべてを放擲して…。何ヶ月にも及ぶアジアの旅の記録。
    短期間の旅行ではわからないアジアの側面が生々しく書き出されています。内容はとても濃縮されており、活字を一字ずつ塗りつぶすように読みました。読み応えあり!です。費用は「宿泊に3ドル」といったように細かく書かれているところが面白く、後学にもなります。
    正直言わせていただきますと…。「旅って素晴らしい」と思いましたが、「さあ旅に出よう」という気分にはなりませんでした。『適齢期』(沢木先生曰く)を過ぎてしまっているからでしょうか。沢木先生の旅が自分の旅そのままになるわけでないことをわかっているからもしれません。沢木先生みたいに修羅場をかいくぐる自信がないしな(笑)
    でも、何度も読み返したい本だと思います。読み返す度に発見があるような気がするからです。本の旅で満足しちゃってるのかも、自分。寂しいなあ、自分。
    第1便では、インドのデリーという都市から、香港、マカオ、マレー半島、シンガポールへと向かいます。マカオではサイコロバクチに取り憑かれ、バクチの仕組みを冷静に分析したりしていますが、大金が動くハラハラドキドキなスリルは健在です。

  • 2011.1.1現在
    これまで読んだ中でいちばん好きな作品

    • yuji12さん
      一緒に旅に行きたくなった
      一緒に旅に行きたくなった
      2012/02/04
  • 学生の頃、沢木さんの「深夜特急」にすごくはまった。今でも大好きな本。
    この本を観て、それまでどちらかというと旅はヨーロッパ方面と思ってたけど、一気にアジアに興味を持った。
    本の中では一番香港の旅に憧れ、その後中国返還前に2度行った。
    「深夜特急」のようにあてもなく町を歩き市場や中国を感じさせる雰囲気の町中で、混沌としたパワフルな町を感じる旅をする事ができた。

  • 物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
    東大OPACには登録されていません。

    貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください
    返却:物性研図書室へ返却してください

  • 今でこそまぁそうだよねという感じである程度イメージして読めるものの、発売当時の約40年前は海外旅行もそれほど一般的ではなかっただろうし、バックパッカーとして世界を回るのはより珍しかっただろう。なので、この本を読んで世界に駆り立てられるのは容易に想像ができる。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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