TIMELESS

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 761
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103284635

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物みんな感情に乏しすぎないか!?´º∀º`が読み終わっての1番の感想です笑

    でも、無理にドラマチックに描かれてないからこそ、ファンタジーぽいストーリーなのに落ち着く?話でした。

    登場するモノ一つ一つの固有名詞に惹かれてしまい検索の手が止まらなかった笑
    小説なのに、著者のセレクトリストって感じました。
    ドライジンとかオシャレな昔の音楽、ドレスやジュエリーブランド、香水の名前……私がそういうセンスあるものに疎すぎるだけなのですが、海外インテリア画集みたいなのを読んでいる感覚でした。

    文体も独特でしたね……今まで出会ったことの無いスタイルで、理解は全部出来ないけど、なんかちょっとワクワク感ありというか。

    事象と台詞と心情が、改行されずにつらつらっと並べられていて、最初は慣れなかったのですが。ものを見て、何か思い浮かべているうちに、目の前の人の話は進む……現実で起きてることを文字で表すと確かにそうなるよなぁと思いました。

    お話の内容は……今回はノーコメントで笑現実なのかファンタジーなのか……脳内がほわっとさせられてしまいまとまりません

    __________________
    フレーズキロク

    "私たちはなりゆきで一緒になった。なりゆきで相合傘をした。なりゆきで妊娠した。なりゆきでこよみにあって、アオを産んだ。なりゆきだった、ぜんぶ。たいせつになったなりゆきだった。

    "あれって何座だっけ?こよみがアオにたずねる。答えが知りたいんじゃなくていっしょにみあげたいからこよみはきく。

  • 現在から見た過去、過去から見た未来。あのときまだ知らなかったことを、いまの自分が思う。さまざまな時間と記憶が入り混じって紡がれる物語。
    淡々とした語り口も相まって非常に心地よかった。浮遊感を感じる文章。
    文章による表現で、こんな世界観を作り上げられるのかと感動した。

  • #姫燃やす香りたゆたう桜酔いあなたさきゆく八十八夜

  •  会話文がカギ括弧で区切られておらず、うみやアオ目線である地の文と同じ行に書かれていて、不思議な書かれ方だと思ったが、うみやアオが見たり、思い浮かべている世界を読者が体感したり、この話の幻想的な雰囲気を表現するのに役立っているように感じた。

     この話は、夫「アミ」と、恋愛感情のないまま結婚した「うみ」目線の「TIMELESS 1」と、うみとアミの子供である、17歳になった息子「アオ」目線の「TIMELESS 2」からなる。
     高校の同級生であったうみとアミは結婚し、「交配」を試んでうみは妊娠したが、アミは姿を消した。
    アミがいなくなった日に、近所に住む少女「こよみ」が親を無くしたことで、うみと、息子のアオ、こよみの3人で暮らすことになった。

     この物語を読んでいる時、私は途中までうみとアミが「互いに恋愛感情を抱いていない」同士だと思っていた。それは、アミが、死んでしまった昔の恋人のことを思っていたり、うみに公認で交際している恋人のことを思っているのではないかと考えたからだ。
     しかし、アミが姿を消した後、うみに「好きだから一緒に暮らせない」と伝えていたことが物語終盤で書かれていたり、アミがうみが精神的に負担にならない選択を(たとえ「普通の夫婦」とは違っていても)していることから、アミはうみに恋愛感情を抱いていたのだと思った。
     アミがうみに「好きだから一緒に暮らせない」と思っていたのは、アミが被ばく3世で、(自分のせいで)子どもへの健康被害があるのではないかととても恐れていたことや、(これは予測だが)うみが自分のことを「愛して」いないことが一緒にいると伝わってくることや、(交際初期に相合い傘で戸惑ううみに「ノリだよ」と伝えるなど)自分の恋愛感情でうみを困らせないようにすることがしんどかったのではないかと思った。アミについてどう思うのか、色んな人の感想を知りたいと思う。

     うみとアミの特殊な関係性も印象的だが、うみの回想や、息子のアオが奈良で体験したことなど、物語を通して幻想的な雰囲気が漂っているところがとても印象的で楽しめた。

  • う~~ん、これは久々の、とてつもないマッチングミスだ。自分と相性が最悪。ブツブツと細切れの文が延々と詰め込まれている。ストーリー性を感じないし、意図も展開もクソも無く、感情移入とかする隙間すら無い。1ページでも読んで見てからの入手を強くお薦めします。

  • 好みが分かれる小説だと思うが私はとても好き。 文章の温度感が低めなところ。ちょっと気だるい感じというか、半目を開けているような感じ。アンニュイな文章ってこんな感じ?タイトルのTIMELESSのとおり、時空が溶けてゆく感じ。現在のこと、過去のこと、歴史のこと、全て同じ時制で一息で描かれる。一文が短いのでテンポ良く、世界観にぐっと引き込まれた。戦争や震災の描写はどう関係があるのか分からない。だからこそ純文学っぽくていい。普段使わない漢字が多かったのでルビを振ってくれるともっと読みやすかったと思うto出版社。

  • 表紙と題名が好きで手に取った。
    後から、好きな服のブランドのインスピレーションになった本とわかってなんだか嬉しかった。
    時間も内容もよくわからなかったけど、どこか心地よかった。
    でも、内容は思い出せなくて、まとめることもできたないくらい薄くしか読めなかった。
    香りと植物と、知らない言葉がたくさん出て、本の情景はきっと綺麗なはずなのに、知らなくて想像することも難しかった。

  • 物語上の時間は過去や未来へ行き来しながらも読んでいて川の流れにのっているかのような感覚になった。文体が好き。

  • 久しぶりに惰性で読み終えた本。
    3回に分けて1年もかかって読了。
    回想や比喩が多過ぎてある意味ファンタジーだが、表現はスタイリッシュかつクール。
    緩急のないダラダラな内容は好みでは無い。
    きっと「」がないせいだろうか?
    好き嫌いが完全に分かれる作者だと思う。

  • 現代アートのような作品、面白かった。ジン・お茶・桜の香り、ジャカランダの色、ブラジル音楽、古典文学の言葉、様々な五感に訴える語彙の中で、「死は、自然と落ちてこない」「そういうものが落ちるとしたら、それは人間が落としている」と反戦メッセージもあり。美しかった。

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著者プロフィール

1984年、東京生れ。2009年、「流跡」でデビュー。2010年、同作でドゥマゴ文学賞を最年少受賞。2011年、「きことわ」で芥川賞を受賞。

「2022年 『細野晴臣 夢十夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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