とわの庭

著者 :
  • 新潮社
3.56
  • (155)
  • (371)
  • (399)
  • (76)
  • (19)
本棚登録 : 3809
感想 : 384
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103311935

作品紹介・あらすじ

帰って来ない母を待ち、〈とわ〉は一人で生き延びる。光に守られて、前を向く。暗い淵のなかに身を沈めて仰ぎ見る、透き通った光。「生きているって、すごいことなんだねぇ」。歌う鳥たち。草木の香り、庭に降りそそぐ陽射し。虹のように現れる、ささやかな七色の喜び。ちっぽけな私にも、未来、はあるのだ。読み終えると、あたたかな空気が流れます。本屋大賞第2位『ライオンのおやつ』に続く、待望の長編小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読んでいて、とにかく辛かった。

    どこかこの先に光が見えるのか、
    明るい未来があるのか、
    ちょうど半分読み終わる頃気になって最後の方をパラパラ捲ってしまった。

    それくらい、序盤の描写が苦しい。


    視覚障害者の少女と、その母親
    2人きりの生活は決して楽ではなく、いびつ
    なぜその親子が(というか母が)、敢えて隔離された生活を送っていたのか……読むにつれて理解出来た。

    救われたのは母に本を読み聞かせてもらった幼少期の経験と記憶が、彼女を生かせてくれた。
    庭の植物も、香りも、母が教えてくれたからこそ盲目でも知識を得ることができた。


    いろいろと考えさせられました。

    序盤苦しくて、途中までは☆3と思っていたれけど、後半の主人公が自立していく姿に、ああ最後まで読めてよかった!との思いで☆4

    視覚障害者の方々が生きていく手段、努力、そしてサポート体制が垣間見れました。
    主人公のケースはあってはならないけど、もっと生きやすい世の中であって欲しい。

  • どうなっちゃうの…と不安になるけど、読み進めるうち光が差してくるように。
    個人的には視覚障害者用のデイジーが出て来て懐かしい。

  • 前半がつらい。けど、後半からは流石この作者の小説。救われていく感じに癒される。

    表紙がかわいい

  • 小川糸さんは、「食堂かたつむり」を読んだことがありました。あまり、覚えていませんが…。

    この本は、読み出して…
    盲目の女の子とわと、お母さんが一軒家で暮らしているところから始まり…
    でも、盲学校に行かないのかな?
    お母さんが働きに行く時は、オムツをして睡眠薬を飲む?これ、大丈夫?
    途中でお母さんが蒸発して…
    盲目のとわの生活は、荒れてゴミ屋敷になっていくあたりから、読むのやめようと思いました。
    これは、芥川賞系の重い本なのか…?
    つっ辛い…辛すぎる…

    最後まで読むとハッピーエンドですね。
    施設に保護され、訓練を受けて、盲導犬を飼い、普通生活をできるようになる。そして、恋もして…
    盲目で、ほったらかされて育ったが、お母さんに物語をたくさん読んでもらっていたから、訓練で回復できる知能が発達していたのかしら?

    これ、実話がベースになっているのかな?
    オオカミに育てられた子のような…。
    軽く調べた感じですと、モデルになった実話は無さそうな…完全な創作ですかね。

    とりあえず、ハッピーエンドなので、安心して読めます。

  • 少し過酷な展開が後半には幸せになり
    小川糸作品らしい優しさでした。
    ジョイ最高!

  • 辛いだけの物語かと思ったら、光が刺すような後半でした。

  • 目が見えない十和にとって、光を与えてくれるのは母だった。
    寝る前には自分を抱きしめ、柔らかく温かい声で、自分への愛を伝える詩を読んでくれる母。
    時々母が作ってくれるパンケーキが大好き。

    花と動物に囲まれ、幸福そうに微笑む少女
    長い髪はふんわりと綺麗に編まれている
    花いっぱいで光を感じさせる黄色の表紙。

    読後に表紙を見返すと、とわの庭と少女を繋ぐのは切り取られた窓で、どこかラプンツェルを思い起こさせるのだけど。

    前情報なく読み始めたので、表紙の印象と冒頭の文章から、どんどん重く苦しくなっていく主人公の状況に、読んでいて胸が苦しくなった。
    毒母ものはメンタルにダメージが大きい
    主人公の一人称目線で物語が進むので、そちらに感情移入してしまって特に。

    でも大丈夫。
    十和はずっと、世界を美しく感じ、慈しむ心の目を持っていて、
    「わたしはつくづく、出会いに恵まれている」
    「幸せだねぇ」
    優しい人々に寄り添われていく様子に、読んでいる自分の気持ちも救われる

    「母を抱きしめたい」
    「母は、わたしを愛していたのだ」

    これからも十和は、美しい世界の美しいものを慈しみながら生きていくのだと思わせるラスト

    視覚に頼らない、とわの庭の音や匂いの描写は綺麗だし、柔らかそうな卵をのせた牛丼は本当に美味しそう
    こんな生い立ちなのに、誰かにこんな美味しそうな牛丼を作ってあげられる十和が愛おしい
    泉って自分の中から湧き上がるその人独自のもので、それは中々誰かには奪えないものなのかな、って思った
    母に傷つけられても、視覚を奪われても。

    十和が幸せな気持ちでいられて良かったなとは思うけどでも、やっぱり私は読後もずっと重苦しい感情が残ったままだった。
    感想が長くなったのはそのせいかな
    たまたま十和は女の子だったから命は救われたけど、母の手で存在を消された兄2人には最後までそれ以上の救いも回収もなくて、その上に広がる愛や美しさの話には怖さもある

    母の愛を求める子どもの気持ちは切ない
    (図書本)

  • ちょっと痛く苦しかったかな前半。
    でも優しい

  • ************************************************
    盲目の女の子、とわ。大好きな母と二人暮らし。
    母が読んでくれる本の物語。教えてくれる言葉。
    水曜日のオットさん。黒歌鳥合唱団の朝の歌声。
    庭の植物達との会話。それがとわの世界の全て。
    母がいてくれるだけで良かった。
    お留守番もおむつも我慢出来た。
    でも、母はいなくなった。

    どれだけ時間が経ったのかさえ分からない中で、
    壮絶な孤独の闇を抜け、とわは自分で歩き出す。
    とわの新しい人生が始まる。
    ************************************************
    可愛らしい装丁に騙されました。笑
    読み始めてすぐに違和感を覚え、予感は的中、
    出来ればそうなって欲しくない方向へと進み、
    事態は最悪の展開を迎え、気付けば闇の中ー。

    あまりにも辛く陰惨な状況に、心臓は早くなり、
    祈るように、早く救われるようにと願いながら、
    前半は物凄い勢いで一気に読み進めてしまった。

    どこまでも純粋なとわに胸が痛み、苦しかった。
    愛する母の呪縛から抜け出せず、動けないとわ。
    だがその純粋さ故の母への愛の強さが命を繋ぎ、
    小さな世界での繋がりによって助けられ(それは
    草木だったり鳥だったり誰かのピアノだったり)、
    何より生命力の強さが、とわを生かしたのだった。
    地震によって、今在る現実を見据えたとわの心が、
    悲しくて痛々しくて仕方なかった。

    でも、そうしてようやく第二章、新しい人生。

    そこからはもう、安心して見守ることが出来た。
    母の真相、数多き謎、全てが解き明かされて、
    スズちゃんとの交流、魔女のマリちゃんとの友情、
    そして何よりジョイ!愛し過ぎるジョイ!
    白杖には薄情な(え)人達も、犬には関心を示す、
    何気に確かになるほど、と考えさせられた。
    そしてまさかの一夏の恋、点字の習得、
    新しい趣味、それは仕事になり、自立への道へ。
    母との家へ戻り、生活を、人生を始める十和子。
    写真館を再び訪れたところで、涙が溢れた。

    あまりにも流暢に社会生活を送るとわに、
    流石に少しばかり不自然さを抱きつつも、笑
    それでも、十和が幸せで良かったと、
    思わずにいられなかった。笑顔が嬉しかった。

    母親は、あまりにも身勝手で、冷酷で残酷で、
    常軌を逸した事実はもちろん赦されはしない。
    許さなくていいし、憎んだって構わない。
    だが、とわはきっと、母を憎んだりしない。
    確実に愛されていた。その記憶がとわを強くする。
    いびつでもとわに愛を教えてくれたのは母だった。
    愛を教えてくれて良かった。せめてもの救いだ。
    二度と会わなくて良いと思う。忘れて良いと思う。
    でもとわは愛されて育てられてきたんだよ、
    生まれて良かったね、生きるって幸せだね、
    「生きているって、すごいことなんだねぇ」
    何度でも何度でも、十和に言ってあげたい。

    草木や匂いや、色や形や光を感じる十和の心は、
    きっとこれからもずっと、カラフルなのだろう。
    -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------
    ちなみに、
    マリちゃんの、母の介護が終わっての告白は、
    とにかく泣けた。気持ちが十二分に分かった。
    私も介護の末、親を早くに亡くした身なので、
    共感してしまった。牛丼が食べたくなった。

    リヒトとの恋はスムーズに行き過ぎていたので、
    確かに最初から終わりを感じさせたし、
    身体を重ねる意味をどこで学んだんだ十和子は!
    リヒトは結局いい奴だめな奴どっちだったんだ!
    そして十和のこの感じ…めちゃくちゃモテそう!
    と、思ってしまったよ。笑
    -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------




  • 目の見えない家の中で母親と2人で過ごしていたとわそれまでずっと外に出たこともなく靴を履いたこともなくて10歳の誕生日に初めて写真を撮りに外に出たくらい

    そして生きていくため仕事を始めた母

    いつの日か帰ってこなくなりずっと帰りを家の中で待っていたけど決別を決めて外に出た

    そしたら自分の本当の歳を知っていろんな人や物に触れることに

    自分で立ち上がりいろんな人に触れものを知り逞しく生きていく視覚障害がある十和子

    人はどんな過去があっても自分の意思と足で強く生きていける

全384件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。その他に、『喋々喃々』『にじいろガーデン』『サーカスの夜に』『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ミ・ト・ン』『ライオンのおやつ』『とわの庭』など著書多数。

「2023年 『昨日のパスタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川糸の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×