モーニングサービス

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103318316

作品紹介・あらすじ

喫茶「カサブランカ」の名物は、茹で卵と厚切りトーストがついたモーニングサービス。溶けたバターの匂いと店主夫妻の人柄に惹かれ、今日もまた、風変わりな客たちがやってくる。藝者の大姐さん、吉原の泡姫、秘密を抱えた医大生…それぞれの複雑な事情も、コーヒーと一緒に飲み干せば不思議と力が湧いてくる。じんわり温もる人情連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 浅草にあるカフェ「カラブランカ」で起きる毎日のこと。

    カラブランカを営む富子と士郎。
    常連の藝者で人間国宝になった澄江とお弟子さんの菊江。
    すき焼き屋を営む文造。
    医大生になったヒカル。

    富子が若く藝者だった頃に出会い、逃げた男との子をお腹に宿し、全てを知りながらも生真面目で寡黙な前科持ちの士郎と結婚したこと。

    自分の性別に違和感を覚えながらも、母に理解されない歯痒さと医師になるべく授業をこなすヒカル。

    贔屓にしてくれていた旦那さんに捨てらた澄江の過去、借金に悩む文造さんとの今も続く友情。

    高校教師との恋愛の末に子供を故郷に残し、藝者として再出発を誓った菊江の迷い。

    さまざまな事情を抱える登場人物たち。
    どうしようもできない過去も、全部受け止めて、思い出と一緒に生きていく、浅草で暮らす人たち。

    浅草っていいよねえ、数回しか行ったことないけど、海外の人だけじゃなく、立派なお寺があってお店がひしめき合って賑わっている様子っていうのには、日本人だって惹かれるよね。

  • 喫茶店と呼べる空間から足が遠のき、いつの間にか喫茶店自体が姿を消しつつある。そうした現状を鑑みると、この連作集はまるでおとぎ話のようだ。登場人物や情景の描写はしっかりしてるのに、残念ながらこのおとぎ話は最後まで深みや広がりを見せず、まるで絵のない劇画を読まされたように感じた。

  • 三田完先生(@hi_go_chisui)、三省堂書店有楽町店(@yrakch_sanseido)さんに感謝。
    波乱万丈を飲み込んで、やり過ごした後の平穏。
    みんな何か背負ってるのに、穏やかだ。
    それがとっても下町浅草らしくて、粋だなぁ。
    浅草は年に一度、野暮用で出かける。なんか『カサブランカ』探してしまいそうだ。
    それよりも先に近所で小岩井バター探してるか(笑)。

    こういう話がいいなって思える歳になったのかなって、ちょっと思った。
    浅井リョウ君なんかも読むけどね。

  • 浅草に行ってみたくなる作品
    カサブランカを探したくなるね

  • 下町・浅草にある喫茶店を舞台に、店主と奥さん、常連の方々と繰り広げられる日々が描かれている。
    特に、ヒカルくんが夢中になったモーニングサービスの描写が丁寧で食欲そそられます笑

  • 目を瞑れば扉のカウベルの乾いた音、香り高いマンデリンコーヒーの香り、熱々のトーストに小岩井のバターが溶け出す。古き良き昭和の純喫茶。ナポレオンも絶対美味しい。この生きにくい世界に、ひとときの癒やしを味わいにカサブランカに行きたい。

  • 2018/7
    タイトルに惹かれて。食べ物が好きなんだな笑
    久しぶりに小説を読んだ。浅草の祭りのことなんて知らなくて、知識が増えた。出てくる人それぞれがつながっていておもしろかった。

  • 浅草にある喫茶店、カサブランカ。
    運営する夫婦と常連客の、どこか悲しい人生交錯。

  • 浅草に、昭和時代の様な喫茶店「カサブランカ」。
    そこに現れる人たち、、、、
    ほんのりと、コーヒーのかおりを漂わせながら、時間がゆっくり過ぎるような話と違って、風変りな客たちが、歩んでいる人生。
    花柳界の澄江さん、性同一性のヒカル君、元看護士のソープ嬢、達筆な字を書くベトナム人、、、皆、一人ずつ、ドラマの様な人生を送っている事が書かれていて、ほんわかした本の内容では無かったが、いろんな昔の事が、書かれてあったりして、興味深かった。

  • 浅草の喫茶店での日々。はじめから終わりまで切ない。縁のもたらす悲喜。人間の欲深さ。

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著者プロフィール

1956年埼玉県生まれ、小説家。慶應義塾大学文学部卒業。NHKに勤務、ディレクター、プロデューサーとして主に歌謡番組を担当。退職後、テレビ番組、音楽プロデュース等に携わる。2000年、「櫻川イワンの恋」で第80回オール讀物新人賞を受賞。『俳風三麗花』で第137回直木三十五賞候補。

「2018年 『鵺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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