サキの忘れ物

著者 :
  • 新潮社
3.31
  • (47)
  • (138)
  • (174)
  • (59)
  • (19)
本棚登録 : 1856
感想 : 206
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103319825

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久々津村記久子。いつも通りの淡々とした津村節で語られるちょっと冴えない一般の人々のちょっと非日常な物語。津村記久子は文章の味わいが好きやねんなぁ。ふわーッと読み出せて優しい味わいに心をゆだねてたら、なんか妖しい感じになってくる感触がくせになる。

    短編9編が収録されているが、本のタイトルとなるだけあって、表題作が一番良かった。家族含め人間関係に恵まれなかったこともあって、ただ時間を消費するだけのような味気も色もない人生を送っていた主人公が、勤め先の喫茶店でお客の忘れ物のサキの短編集を読んだことをきっかけに、次第に人生に色がついていく話。

    この作品と最後に収録された「隣のビル」の2作が個人的に好みの話。その他実験作的な話も多く、不穏な観光地ガイドの「ペチュニアフォールを知る20の名所」やゲームブックの「真夜中をさまようゲームブック」など、若干好みとは離れるが、まだまだ津村記久子は伸びようとしているんだなと期待できる。

  • なんてことのない日々の小さな物語。
    ちょっとした出来事や出会う人によって、少しだけ日常が変わったり、自分が前に踏み出すきっかけをもらったりする。

    特に好きだったのは、表題作の「サキの忘れ物」
    何がしたいのか分からず、高校を中退し喫茶店でアルバイトをしている女の子。客が忘れた本をきっかけに人生が少しずつ動き出す。

  • あまり得意ではないタイプのお話。
    自分の想像力のなさを思い知る。

  • 短編集。ちょっとしたきっかけでひとが変わっていくものがたり。「サキの忘れ物」がとても良かった。毎日いやなことがある日常で、ふとしたきっかけで、きらっとした何かが現れることを描いているんだけど、そのきらっとがとても独特。でも、分かる!って感じ。

  • 2023/4/22読了

  • 表題作がとても良かった。
    本を読むことで人生が救われることもある、本当にそう思う。

    他はトリッキーな感じがして、面白かったけどあまり好みではなかった。ゲームブック形式の話は5回くらいやってしまったけど。

  • 9つの話はどれも不思議な話の構成で、なかなか読み進められないものもあった。
    「サキの忘れ物」「隣のビル」は、とても身近に感じる話。
    一歩踏み出すと、今までとは違う景色が広がっていくよってメッセージが込められている気がした。

  • 著者ならではのご近所お仕事的な世界観で構築される短編たち。本書はいつもより少し実験的な手法がとられていて読み応えがあった。
    特に人間の嫌なところばかりが拡張されるインターネット的な現実世界のくだらなさ、やりきれなさを戯画的に描いた「行列」が秀逸。

  • バイト先でサキの本に出会う表題作がよかった。
    人生は、本当に小さな事で大きく動き出すことって確かにある。

  • 俯瞰した筆致。短編集。「行列」は皮肉が効いてる。「喫茶店の周波数」の登場人物たちも知り合いに当てはまるようなリアルさ。書評によると大学などの入試問題で採用されたらしい。

全206件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞など。他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『水車小屋のネネ』などがある。

「2023年 『うどん陣営の受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津村記久子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×