廃炉: 「敗北の現場」で働く誇り

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103320920

作品紹介・あらすじ

仕事とは、働くとは何か。「未曾有の戦い」を支える人たちの記録。東日本大震災から10年。福島第一原発では40年かかる廃炉作業が今日も続く。最先端技術と使命感を胸に、数多の困難を乗り越える技術者。それを裏で支える救急医や食堂スタッフ。福島を離れまいと異動を拒むキャリア官僚。「加害者」になることを厭わず、東電を選んだ新入社員――。逆境の中、しんがりを務める彼らの想いを紡ぐ。

感想・レビュー・書評

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  • <訪問>「廃炉」を書いた 稲泉連(いないずみ・れん)さん:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/sp/article/529664?rct=s_books

  • 福島原発事故の廃炉作業に関わる人々を丁寧に取材したドキュメンタリ。

  • 少しながら原子力に関わった人間である私には、過去の負債を背負わせてしまい申し訳ない、という気持ちです。
    廃炉技術は何かを生み出すことはないと思ってたけど、これが無いと未来が無い、すなわち未来を生み出しているとも言えるなと思った。
    311後に東電に入った技術者の方の話を聞くに、人柄を尊く思いました。誰かがやらねば、で火中の栗を拾える勇気と滅私の精神。ありがたいです。
    そして、技術者だけでなく、運転手さん、食堂の方なども登場し、社会が廃炉を支えてるんだなと改めて思いました。役に立たないかもしれないけど、いずれ何らかの形で手伝いができたらなと思いました。

  • 東日本大地震で事故のあった福島で働く人たちにスポットを当てた本。こんな職業があるんだ、こんな仕事があるんだとびっくりしっぱなし。事故を起こした加害企業、東京電力にここまでの人が参加しに行くのもまた面白い。

  •  福島第一原子力発電所、「イチエフ」の現場。ピーク時には7000人もの人たちが働いていた。現在は約4000人が廃炉作業に当たっている。1979年生まれ、稲泉連、ノンフィクション作家「廃炉」、敗北の現場で働く誇り、2021.2発行、253頁。人間が慣れによってリスクを感じなくなっていくのが怖い。目に見えない放射線への意識はどうしても低くなりがち。30ミリSv/hは低線量ではない。常に「注意喚起」を。現場を見ないと何も語れないことだとは思いますが、もっと「廃炉広報」が為されるべきだと感じました。

  • ふむ

  • タイトル通り、傍目には敗戦処理としか見えない現場で働く方々のルポ。
    前向きな目標を持てずに仕事を仕事としてやる、そんな思い込みを裏切るように、自らの使命感とやりがいを持って働く人々がとても素晴らしい。
    昨今は仕事が自分探しとない混ぜになっていたり、仕事にもコスパを求めるような風潮があり、自身も決して無縁ではない。しかし、そんな計算高さを乗り越えて、個々の立場で前向きに仕事に取り組む、仕事の原点が見えた気がした。

  •  「現場」の人々のことは、よく伝わってくる。
     しかし、「責任」を本来取るべき人達の言葉は、どこにあるんだ?
     

  • 廃炉という作業は、この先何年も続いていく。だが、どこか他人事で、時間と共にみんなの記憶から薄れていっている事を感じる。

    本書を通じて、あの原発事故から今日まで、どのようなら作業がどんな人達の手によって行われてきたのかの一部を知ることが出来た。
    今後もこの原発事故に興味を持ち続け、何がなされているのかを意識して生きていくことが、当事者である東電の責任意識にもつながるのではないだろうかと感じた一冊だった。

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著者プロフィール

稲泉 連(いないずみ・れん):1979年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部卒。2005年に『ぼくもいくさに征くのだけれど 竹内浩三の詩と死』(中公文庫)で大宅賞を受賞。主な著書に『「本をつくる」という仕事』(ちくま文庫)、『アナザー1964――パラリンピック序章』(小学館)、『復興の書店』(小学館文庫)、『サーカスの子』(講談社)などがある。

「2023年 『日本人宇宙飛行士』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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