- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103449027
感想・レビュー・書評
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ガンジーの足跡を追ったもの。聖人としてではなく。
いろんなものをひっくるめてインドが生んだ人なんだなと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あなたが、わたしが、できることを考える。
あのひとはこういうことをした、ということが書いてある本。それと同時にああいうことも抱えていたのだ、とも書いてある本。
あのひと?こういうこと?ああいうこと?それは読んでからのお楽しみ、ってほどでもないか。
新聞連載の小説だったからか、それとももともとそういう文章だったからなのか、文章自体にはところどころに緩さがみえる気がする。それでも読ませるのはきっと、歩いてきた、とか見てきた、とかいう経験とか体験のもつばねのような力が文章自体の力のほかに働いているからなのだろう、と思う。 -
これは何という小説なんだろう。インド建国の父として知られる「X氏」の人物像を根底から洗い直す小説的な試みと言ったらよいだろうか。あるいは、著者と「X氏」との架空の対話かもしれない。お察しのとおり、「X氏」とはマハトマ・ガンジーのことであるが、この本の中では決してその名が語られることはない。読み手が余計な先入観を持たさぬようにとの著者らしい配慮のようだ。 著者はこれまで多くの社会事象や宗教問題について、自らの体験をベースに独自のスタンスで鋭い発言を行い、また作品として発表を続け注目を浴びている。今回も世間一般の常識を疑い、多くの文献に当たった上で現地に足を運び、「X氏」の生い立ちや行動を調べあげて、良く知られている功績はもとより、その裏にある数々の矛盾や問題点を明らかにしていく。事前の予備調査で、聖人化されている「X氏」が実はそうではなかったはずとの確信を持って、数々の検証を加えていくのだ。一部のガンジー崇拝者やこれまでの聖人のような伝記を読んだことしかない者にはショックを受ける話が満載だ。労作にしてなかなかの問題作だ。