魔王の愛

著者 :
  • 新潮社
4.00
  • (7)
  • (4)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 50
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103449027

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ガンジーの足跡を追ったもの。聖人としてではなく。
    いろんなものをひっくるめてインドが生んだ人なんだなと思った。

  • あなたが、わたしが、できることを考える。
    あのひとはこういうことをした、ということが書いてある本。それと同時にああいうことも抱えていたのだ、とも書いてある本。
    あのひと?こういうこと?ああいうこと?それは読んでからのお楽しみ、ってほどでもないか。
    新聞連載の小説だったからか、それとももともとそういう文章だったからなのか、文章自体にはところどころに緩さがみえる気がする。それでも読ませるのはきっと、歩いてきた、とか見てきた、とかいう経験とか体験のもつばねのような力が文章自体の力のほかに働いているからなのだろう、と思う。

  • これは何という小説なんだろう。インド建国の父として知られる「X氏」の人物像を根底から洗い直す小説的な試みと言ったらよいだろうか。あるいは、著者と「X氏」との架空の対話かもしれない。お察しのとおり、「X氏」とはマハトマ・ガンジーのことであるが、この本の中では決してその名が語られることはない。読み手が余計な先入観を持たさぬようにとの著者らしい配慮のようだ。 著者はこれまで多くの社会事象や宗教問題について、自らの体験をベースに独自のスタンスで鋭い発言を行い、また作品として発表を続け注目を浴びている。今回も世間一般の常識を疑い、多くの文献に当たった上で現地に足を運び、「X氏」の生い立ちや行動を調べあげて、良く知られている功績はもとより、その裏にある数々の矛盾や問題点を明らかにしていく。事前の予備調査で、聖人化されている「X氏」が実はそうではなかったはずとの確信を持って、数々の検証を加えていくのだ。一部のガンジー崇拝者やこれまでの聖人のような伝記を読んだことしかない者にはショックを受ける話が満載だ。労作にしてなかなかの問題作だ。

著者プロフィール

1944年ハルピン生まれ。鹿児島県立甲南高校校卒業後、アメリカへ渡る。ニューヨークで通算13年暮らし、世界60数カ国を歩いた。
早稲田大学客員教授、大阪芸術大学教授などを歴任。
著書『南風』(文藝賞)、『金色の象』(野間文芸新人賞)、『焼身』(読売文学賞 芸術選奨文部科学大臣賞)、『魔王の愛』(伊藤整文学賞)。ほかに『グリニッジの光りを離れて』、『ぼくは始祖鳥になりたい』『金色の虎』、『永遠の道は曲りくねる』など多数。

「2019年 『南風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮内勝典の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×