- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103519829
作品紹介・あらすじ
期待もせんと絶望もせんと、それでも人は生きていける――。予期せぬ展開に心揺さぶられる、著者史上最長編の感動作! マスク生活2度目の春を過ごす、32歳・漫画家志望のナツコ。社会の不平等にモヤモヤし、誰かの何気ない一言で考えをめぐらせ、ナツコは「いま」を漫画に描く。描くことで、世界と、誰かと、自分と向き合えるから。“わかり合える”って、どうしてこんなに嬉しいんだろう――。自分の「好き」を大切に生きる、「あなた」に贈る物語。
感想・レビュー・書評
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主人公のナツコは、漫画家で昼間はドーナツ屋でバイトをしている。
コロナ禍でマスク生活の日常を描いているが、父親との暮らしものんびりしたものでありながら、何気ないワクチンどうだった⁇とか夜は巻き寿司買うたで、などほのぼのとした感じである。
バイト仲間だった松本さんと道路を挟んで、呼びかけるナツコ。
わたしーっ マスクとったらこんな顔やからーって言うのが、コロナ禍あるあるだなぁと。
漫画家であるナツコが描いた漫画も登場するので、それもまた楽しめる。
14話で、人生で大切なことって 帰りたいとこに帰れることや と呟いていたのが妙に心に染みてきた。
32歳のナツコ、タイトルが「ツユクサナツコの一生」なので気にはなってたが、最後にそうだったのかとちょっと切なくなった。
一生にしては短かすぎるでしょ。
ツユクサ(露草)‥‥小さな青い花弁。朝咲いて昼にはしぼんでしまう、はかない花。
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ツユクサナツコは漫画を描いている。
ツユクサナツコはドーナツ屋でバイトをしている。
ツユクサナツコはお父さんとふたり暮らしである。
本書はそのツユクサナツコの日常と、彼女の描く『おはぎ屋春子』が入れ子構造になっている。
『おはぎ屋春子』は、コロナウイルスが蔓延したナツコの日常と違う世界線で、そこでは人々はコロナ以前の日常を生きている。
ナツコの日常と春子の日常は密接に関係し、影響しあっていく。
ナツコの考えることも、春子の考えることも、やさしくて広がりがあって好き。
舞台は大阪で、関西弁のつっけんどんだけど柔らかい響きも良かった。
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益田ミリさんの"いつもの"感じのエッセイ風コミックかと思いきや…予想外の展開に頭を殴られたような感じがした。
彼女とは同世代で、エッセイもわりと共感できる部分が多いので、今回もつい自分に置き換えて読んでしまう部分もあり…涙をこらえて外で読んでしまったのを後悔した。
"一生"について考えさせられる一冊だ。 -
益田ミリさんの作品はゆるりとした気持ちで読める。でも感傷的になってしまうものが多い。静かに時間を味わいたい時にいい。この作品もそう。日常って尊いものだ。
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コロナ中のお話なんですね。
「マリコ、うまくいくよ」から益田さんの世界観にハマり、毎月1冊は読んでいるような。。。
図書館で予約していて(漫画にしては高いので買うのが怖かった)、やっと借りれたので読んでみました。
読んでみて思ったのは、今までの益田さんの作品とちょっと違う。
言葉の一つひとつに重みがあります。
何の気なしにつぶやくナツコの一言が動きを止めるんです。
例えば、こんなのとか。
”いつか自分が死ぬときって、どんな感じなんやろ
いつか絶対に死ぬってわかってて生きてるのって
よう考えたら凄まじいよな
人間、つよっ”(抜粋)
ものごとにはいつか終わりが来ることを、人は無意識に理解して生きているのだと思います。
このフレーズを読んだとき、私って毎日やり切っているだろうか?と、思わず振り返ってしましました。
後悔のない日々を送りたいものです。
そして、もう一つ。
”「好き」って 説明できん”(抜粋)
本能(誰かに止められてもやりたいこと)でやっていること、やってしまうことほど、言語化するのって難しくないですか?
言語化すればするほど、自分の感情から離れていく気がするというか。安っぽくなるというか。
言語化できないものほど、実は大切なものなのかもしれません。心の中で温めて持っておきたいです。
ラストがあまりにあっけない展開で、前後を読み返してしまいました。
(こんなのアリ??)
ラストとタイトルを紐づけると、本当に切なくなります。
こちらの本はハードカバーで、A5サイズ。結構な重量感があります。(そしてお値段も比較的お高め。)
漫画で、この重量感は一体、、、と思いましたが、読んでみると何となくその理由が分かりました。
本の重さがストーリーの重さであり、時間の重さ、命の重さを表しているんじゃないかな、と個人的に思いました。
静かな場所で、一人でじっくり向き合いながら読みたい本です。
図書館で借りてきて読んだけど、買って家に置いておいてもいいかも。好きな時に読み返したい。 -
ナツコの日常。
漫画を描きながらドーナツ屋でバイトをし、父と二人暮らし。そしてコロナ禍。
作品紹介の「予期せぬ展開」に本当にビックリしてしまった。
「胡桃」は泣いてまうわなぁ。 -
感染症が広まり、マスク生活2度目の春。
日常生活の中でのさり気ない気づきをキリトリ、漫画にするナツコ。
ナツコの生活も、生活の中で気づいたことをナツコが漫画にした内容も読んでいてハッとさせられる。
ミリさんらしい漫画だなとおもいながら読んでいたら、衝撃が走る。
さり気ない気づきや穏やかさだけではなくて、ざわざわしたものが含まれている気がして、自分の未来を、自分を見つめ直すのに、くり返し手に取ってしまう作品になった。 -
えーっ!?
そんな!!
いえ、変なタイトルだとは思っていたけど
そんなことになるなんて。
心の整理ができないです。