- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103527312
作品紹介・あらすじ
2球団身売りと、熾烈を極めた優勝の行方……球史に残る、昭和最後の1年を追う。リーグ制覇は共に10回、日本一は3回と2回――阪急・南海という、名門球団の電撃的な身売りの裏では、取引先銀行の特命チームによる水面下の秘密交渉があった。そしてペナントレースも終盤、ロッテとのダブルヘッダーの結果如何で、近鉄の優勝が左右される事になった88年のパ・リーグ。その激動の舞台裏を、新証言と資料で綴る。
感想・レビュー・書評
-
球団の身売り!
それも2球団‼️
この内容が大半を占めており、西武、近鉄の最終戦までもつれた優勝争いなど野球の話題が乏しく、評価は星2つというのが率直な感想。
ただ、当時、阪急の上田監督が身売りを知ってからは一気に読めて、これでかろうじて星3つかな?
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1988年と聞くとやはり反応してしまう、パ・リーグ者としては。
テレビ朝日が「ニュースステーション」の中で放送を続けた伝説の10.19ロッテ対近鉄のダブルヘッダー第2試合だけでなく、阪急の身売り、そして南海の身売りと福岡への移転。なんでこんなことが同じ年に起きるのかと、興奮し、胸を痛めたことは今もよく覚えている。
本書で印象に残ったのは、伝説のダブルヘッダーではなく、二球団の身売りに関する章。周到に準備され、練りに練られた戦略で進められた買収劇。ひとつタイミングが違っていたら、福岡移転を果たしたのは別の球団かもしれなかったという事実。企業買収に関するビジネス本を読んでいるような錯覚に陥り、あれは紛れもなく昭和最後の大事件だった、という思いがよみがえる。嗚呼、それにしても阪急身売りの発表が10.19だったのはなんとも残念すぎる。 -
1988年のパリーグと言えば、10.19の川崎球場でのロッテ-近鉄のダブルヘッダーを思い起こす方が多いのではないでしょうか。しかし、南海ホークスがダイエーに買収され本拠地を福岡に移すという大きな動き、そして阪急ブレーブスがオリックスに買収されるという事態が発覚したのも実は1988年の秋だったのです。
本書のタイトルを見ると、ロッテ-近鉄のダブルヘッダーを主題とした本のように思えますが、本書の大部分は南海ホークスと阪急ブレーブスの2球団の買収がどのように水面下で進められたのかを描いています。
マスコミに絶対に知られないように極秘に交渉を進めて行く過程を、当時交渉の当事者であった多くの人への直接取材で明らにして行きます。実はダイエーが当初買収を働きかけていたのがロッテだったという事実は本書を読んで初めて知りました。
そして本書の最後はロッテ-近鉄のダブルヘッダーの舞台裏にも触れています。当時のロッテ有藤監督がなぜあの試合の勝利に執着したのか、あの試合の球審を務めた方の興味深い証言、野球中継を拡大し、ニュースステーションで急遽放映することを決定したテレビ局の舞台裏など、興味深い事実を詳細に描いています。
私は当時高校生で、あの試合はテレビに釘付けになった記憶もありますし、南海ホークス、阪急ブレーブスという関西の伝統ある2球団が一挙に消滅するというニュースに驚いた記憶がよみがえりました。 -
故近鉄ファンとして興味深く読んだ。なぜ南海、阪急が身売りをしたのか、交渉の過程を丁寧に解きほぐしている。西鉄が去った後の福岡市の官民挙げての誘致、ロッテの買収を探っていたダイエーの中内オーナー、ロッテが千葉移転を決め、関西国際空港での再開発で、大阪球場を失う南海がその話に乗ったこと、宮古島での異業種交流会で生まれた阪急からオリックスへの身売りなど。知らないエピソードが多かった。
元読売新聞記者らしく、南海の吉村オーナー宅に連日新聞記者が押しかけた様子や、身売りに当たって3条件を提示したスクープをなぜ読売新聞が書けたか、事細かに書いている。川崎球場で近鉄がロッテを相手に死力を尽くしたダブルヘッダーをしている10月19日17時、阪急の身売り会見が発表される。阪急の上田監督は「シーズンの優勝を決める試合をやっている時に、こういう球団身売りの記者会見をやらなきゃならない」と近鉄や西武、パリーグファンに謝罪し、涙したという。この本で初めて知ったが、上田は日本シリーズを戦う1972年、阪急のヘッドコーチ時代に身売り話に巻き込まれたことがあったという。西鉄が解散、東映が身売りして、パリーグの解体だという報道が出て、浮き足立った阪急が巨人に破れた。上田の涙にはそうした苦い経験があった。
近鉄とロッテの10・19については、中継したテレ朝やニュースステーションの視点から書いてあり、NS史上、歴代3位の視聴率を稼いだこと、パリーグからテレ朝に感謝状が贈られたことなどが面白かった。今よりずっと野球人気が高く、でも巨人やセリーグに偏重して、パリーグが日陰だった時代。そんな時代が変わるきっかけとなったのが、関西電鉄2球団の身売りであり、1988年という年だったのだと再確認させられた。 -
1988年、高校生だった私。近鉄の10.19はよく覚えている。
しかし、南海、阪急の身売りはあまり記憶がない。プロ野球ほど国民に根付いたスポーツはない。もしカープが身売りになったら?それは大騒ぎ、暴動が起こるかも? -
パ・リーグの暗黒時代から今の黄金期への劇的変化の1ページめを表すドキュメンタリー。
今となっては、暗黒時代も味わい深く大好きでしたがー。
パ・リーグのもっと夢のある将来への展望も楽しみ。
球団拡張、MLB加盟など、どなたか小説化してくれないかな?と、ふと思う。 -
2球団の身売りと、劇的なリーグの最終決戦とが重なった1988年のパ・リーグを追ったノンフィクション。ビジネスサイドの話と試合の話とどちらに軸足を置いているのか、たぶん前者だと思うのがいまひとつ分からないような気もするが、時代の空気のようなものが感じられたし、往年の名選手の名前がいっぱい出てきたのも面白かった。
-
パ・リーグの一番長い日と言われた10.19
そこまでに至る南海・阪急の身売りを中心に、近鉄vsロッテ伝説のダブルヘッダーまで
1988年の様々な思惑が入り乱れたドラマが書かれています。
-
若干最後の方でしりすぼみ
-
1988年、32年前、自分は中学校2年生
何かぼんやりとニュースの中でやっていた近鉄対ロッテの試合を覚えています。
それが、この年のパリーグ、またはプロ野球界で起こった激動の一つの幕だった
ということをこの本を読んで理解できました。
南海からダイエーへ
阪急からオリックスへ
ロッテの千葉への移転の動きもでき
地方にフランチャイズの目を向けたパリーグの動きは
今のセパ人気、実力ともに逆転した伏線だったようにも思いました。
色々な身売りの細かい話の積み重ねから
最後はドバっと近鉄対ロッテの手に汗握るルポ。
野球好きにはたまらない物語構成で、おもしろいです。