- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103529729
作品紹介・あらすじ
クソみたいな言語が、僕を男たちの肉体から遠ざける――。待望の新作長篇に川端賞受賞の初短篇をカップリング。東京への愛惜を抱きつつ大阪に暮らし、京都で教鞭を執る哲学者。「言語は存在のクソだ!」と嘯きながら、言葉と男たちの肉体との間を往復する。年下の恋人への思慕、両親の折々の言葉、行きつけのバー……「僕」を取り巻く時間と人々を鮮やかに描く表題作。ハッテン場と新宿2丁目の移ろいを辿る川端賞受賞作「マジックミラー」を併録。
感想・レビュー・書評
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デッドラインと繋がってる。この日常を追っていくのが堪らなく好き。言語はクソと言いながら比喩と文章がとても美しい。
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デッドラインに続いて読んだ
言語は存在のクソと言いながらも、ツイートしかり、対面での恋人や家族やバーの人達との会話しかり、言語なしではいられないよな、と思う。誰でも多かれ少なかれ、言語で表現されるものに左右される
一方で、晴人との行為や付き合いの時には会話が少ない印象があって、そこも対比になっているのかな、と。
マジックミラーは、その間にあるはずのデコボコは全然知らないし、の部分がすごくいいな、と思った。 -
ちょっとエロいしエモいのが特徴的。前作のデッドラインと繋がっているのがわかる
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オーバーヒート
現実のゲイ界隈について全く知らないが、今まで読んだゲイ文学の中では一番リアルだと思った。語り手の頭の中でとめどなく生じる文字で作られた壁は、閉塞感や心許なさを生み出していた。その文字を世界に吐き出していくことで理解し得ない他者と交わるようになるラストは開放的。
マジックミラー
やっぱり暗闇ってエロを増幅させるよね。
ねっとりした暗闇描写が最高。ラストのフレーズが印象的。 -
主人公が世間に対して毒づいているのが
なかなかおもしろくて、ついクスッと笑いながら読んだ。
心の内やツイッターは露悪的だけど、
年下の彼氏に対しては弱気だったり、
リアルで会うと声に出せないあたりがなかなか良い。
読みやすい文章であることと、
全く縁のない世界であることから、そうなのか!と
ルポルタージュ的に読んでしまった部分があり、
文学的な良さを味わうところまでは、たどり着けなかったかも。
物語の本筋ではないけど、
ネットに関する意見に頷けるところが多く、
最新作の「エレクトリック」はネット黎明期の物語だという書評を見たので、
そちらを読んでみたくなった。 -
千葉さんの本はこぼしたくないと思うモノがたくさん詰まっているから、毎回読み終わってすぐ読み返す。
正直小説は期待していなかったがひっくり返った。小説でここまでこぼしたくないと思えるモノを詰めてくるのかって。
何回か挟まってくるニンゲンの身体たちの表現がすごく苦手だったけれど、それでも読みたいと思わせられた。
図書館で借りて読んだ、部屋に置きたいから買いたいと思った。 -
他者に真似できない具体性は面白かったが、主人公の内面描写としての本で終わってしまう感じもした。
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大阪にしか住んだことがないので、外から来た人視点の大阪の描写がおもしろかった。
自分の中で勝手にほぼ私小説なのかなと思って読んでいたけど主人公に名前がないところには妙な現実感のなさがあるような気がして、そのギャップに心地よさを感じた。 -
直接的な表現が多くて途中で読み進められず断念。
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2022年9月
リアルだー!っと感じ、面白く読んだ。
リアルと感じたのはほどよい露悪から?Twitterで注目されるためにあえて挑発的な言葉を使ってツイートするくせに批判するようなリプが着くと怒って根にもつところとか。そのわりに、対面では結局何も会話しないで終わるところとか。
あとリアルさ感じるポイントとしては自分が外側から見て想像していたゲイ文化が描かれているからかもしれない。と、すると、わたしの見たい世界というだけで本当のリアルというわけではないだろうけど。名前のある女性の登場人物が柏木先生となっちゃんだけで、毒にも薬にもならない妙にさっぱりしたキャラクターになっているのは、商業BL小説っぽい。でもこれゲイの人のリアルな感覚なのかな。