どんぐり姉妹

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103834090

作品紹介・あらすじ

姉の名はどん子、妹の名はぐり子。突然の事故で奪われた、大好きだった両親の笑顔。気むずかしいおじいさんの世話をしながら、学んだ大切なこと。苦しい時間を姉妹は手をとりあって、生きてきた。とめどなく広がる人生で、自分を見失わないように。気持ちが少し楽になる居場所、それが「どんぐり姉妹」。「私たちはサイトの中にしか、存在しない姉妹です。私たちにいつでもメールをください。時間はかかっても、お返事をします。」-メールは祈りをのせて。ネットが癒やす物語。

感想・レビュー・書評

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  • よしもとばななさんの作品をはじめてよんだ
    大人になるまでの経験によりどこか不安定な姉妹
    妹の目線で語られていく話は、現実なのか想像なのか読者も迷うような話
    生きていく上で後悔含めていろいろな思いを抱えることもあるが、それがあるから今の自分があるわけで
    疲れてしまったら一度やすんで、生きることをゆっくり咀嚼しながら過ごしていきたいな、て思った

  • 『どんぐり姉妹』
    よしもとばなな(吉本ばなな)
    2010年 新潮社

    吉本ばななさんの本と出会ったのはもう30年近く前かな。
    進学で上京してすぐの頃に読んだ『キッチン』が始まり。
    今まで読んだことのない、というか体感したことのない世界観が衝撃的でした。
    それからはほぼ全作買っているかな。今も。
    『なんくるない』や『まぼろしハワイ』もおもしろくて大好きかな。

    『どんぐり姉妹』もばななワールド万歳。
    休日に1日で読み切ってしまいました。
    ばななさんの世界って、読了後にもつづく独特の浮遊感みたいなものが心地よくって。
    明確な答えというものとは違うけど、その浮遊感が結末に彩りと独自性、独特の世界を作っているというか。
    本作もおもしろかったです。

    #吉本ばなな
    #よしもとばなな
    #どんぐり姉妹

  • よしもとばなな、初めて読んだのがこれでよかったと思った。
    おじいちゃんに、
    「家に人がうろうろしてるの嫌じゃないですか」
    と聞く場面がすき。

    こういう"柔らかい愛"を見つけるために生きたいと思えた。

  • 海の色や葉っぱの緑の色、おじいさんと暮らした家のにおいがしてきた。
    どんさんとぐりさんは今とても幸せそうで、先のことはわからない、色んなものを積み重ねて今幸せにしているんだなと思ったら救われるような、沁み渡るような気持ちになった。
    何かを分け合うような、寄り添うような暮らしがそういう風に感じさせるんだろうなと思った。

    誰かを亡くしてその存在がエネルギーのようなものになることを考えると、もう2度と会えない訳ではなくて次に自分がそういう存在になった時はまた会えるし、もっともっと自由だからずっと一緒にいることもあり得るのかな、とこの本を読んだ後でぼんやり考えたりしました。

  • 2人だけの家族がいろんなことを考えながら生きていることが伝わってきた。家族とは、生きるとは、を考えられる作品。

  • 両親を早くに亡くした、姉と妹の話。
    妹は奔放な姉の姿を見ながら、愛のある目線で冷静に見つめる。これまでのことと向き合いながら、自分の内面・生活を整理し、初恋の人とも気持ちを通わす。

    ぐり子の内面は、今の私には呑まれてしまいそうなくらい、危うかった。

    私はどん子の恋愛観に共感してしまう。
    彼女のようなしなやかさは持ち合わせていないけれど。

  • 本の終わりの文章そのままだけど、旅をしてる時もしてない時も、旅をするように生きたいなあ、としみじみ思った。

    どんぐり姉妹のメール業の話かと思うけど、本当にそれが彼女たちの人生の一部であるだけで、話の中でも、重要ではあるけど中心ではない。サバサバして、男を切らさず恋愛体質だけど結婚できないお姉さん、すごく好きだなあと思った。

    日常のさりげなさと儚さと美しさが、いつも通り一番きれいで押し付けがましくない形で表現されている。なんでこんなに優しい話を、優しい言葉で紡げるんだろう。本当に吉本ばななの作品を読むことで、生きるのが少し楽になるし、生きることがすごく希望のあるものだと思える。高校生の時も、30を越えた今も変わらず、純粋にそういう前向きさをもらえるので、本当に一生読んでいたいなと思うんだよね。


  • 幼い頃に事故により両親を亡くした姉妹が、ふたりで共に頑張って生きていくお話。

    そんなふたりがネットで「どんぐり姉妹」として相談事などを匿名でメールを送れて、だれかに話したいけれど知っている人には話したくない時にちょうどいい、というサイトを運営する。

    ぐり子ちゃんが返信の内容を考え、どん子ちゃんがその内容を上手くまとめて返信する。

    妹のぐり子ちゃんの考え方にものすごく共感した。あまりにも共感しすぎてちょっとびっくりしたくらい。

    ある一通のメールが来た後、ぐり子ちゃんの初恋の人である麦くんが亡くなったという夢を見て、ぐり子ちゃんは麦くんの現在が気になり始める...。

    そのぐり子ちゃんの初恋の話に泣いてしまった。

    私の初恋の人は名前も顔も覚えてないし、今どこにいるかもわからないけれど、この世界のどこかで元気に暮らしてたらいいな。


  • 姉と二人で知らない人から来るメールに1度だけ他愛もない話などで返信する姉妹の話。
    幼い頃に事故で両親をなくしてから、いくつかの家を回って育ってきたからこその葛藤(そこまで大きなものはないけど。)や幸せ。
    私は最初のおじさんおばさんとの畑しごとしながら穏やかに暮らす時間と最後のおじいちゃんとの介護も含む暮らしが好きだったかな。

    お姉ちゃんとの関係性も好き

  • 現実と夢と思い出が混ざった、不思議なストーリーだった。
    「だれかにメールしたいけれど、知っている人にはしたくないというときにちょうどいい存在」という理念で、お悩み相談室のようなサイトを経営している、どん子ちゃんとぐり子ちゃんの「どんぐり姉妹」。
    どうやって収入を得てるんだろう?という野暮な疑問もありつつ、自分にも「だれかに聞いてほしいけど、知り合いには話したくない」みたいなことはあるので、コンセプトはすごくいいな〜、と思った。どんぐり姉妹からのお返事も、悩みが解決するようなズバッとした回答ではなく、相手への共感に満ちているのがよかった。私もどんぐり姉妹にメールで聞いてほしいこともあるし、自分もどんぐり姉妹のように誰かの話を聞いてお返事するのもいいな、と思った。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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