バウハウスと茶の湯

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 27
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104042012

作品紹介・あらすじ

茶の湯の世界に生まれた二十歳の日本人女性が太平洋と大西洋を渡航してモダンデザインの源流をなす造形大学バウハウスに入学。カンディンスキーやアルバースから親身な指導を受け、クレーの前で日舞を踊り、ミース・ファン・デル・ローエとすき焼きパーティー…。黄金のモダニズム期を痛快に生きた「おしゃまな」モダンガールの回顧録。

感想・レビュー・書評

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  • 内容は、日本人女性で唯一バウハウスに留学した女性の手記(日本人留学生は彼女含めて3人)。

    クレーが辞めた年に入学し、当時急速に力を増してきたナチス勢力によってバウハウスのデッサウ校が強制閉校させられるまでの2年間、彼女は在籍していた。クレーの授業を受けられなかったことはご本人も悔やんでおられるが、それでもキラ星のような教師陣から直接教えを受けている様子は素晴らしいの一言。時代が時代で、親しく接してくれた教員の1人がアウシュビッツでなくなったことを、戦後グロピウスから聴いたことなんかにも触れている。

    そして、興味深いのは豊かな感性で表現される授業やデッサウでの日常生活。下宿状況が下宿先の家族模様とあわせて表記されていたり、バウハウスの学食の様子やメニューと値段まで、自宅でイタリア産の細長い米でチーズ+ハム+海苔でお茶漬けを作った話、カンディンスキーに醤油と砂糖で味付けしたすき焼きを食べさせた話など等々。第二次大戦前のドイツの様子を日本人が描いてるのだから、それだけをとっても興味深い。

    詳細はコチラから↓
    バウハウスの見せ方上手なミサワホームの博物館とバウハウスデザインの面白本 / 『バウハウスと茶の湯』山脇 道子著を読む
    https://jtaniguchi.com/%e3%80%8c%e3%83%90%e3%82%a6%e3%83%8f%e3%82%a6%e3%82%b9%e3%81%ae%e6%95%99%e5%ae%a4%e3%80%8d%e5%b1%95-%e3%80%8e%e3%83%90%e3%82%a6%e3%83%8f%e3%82%a6%e3%82%b9%e3%81%a8%e8%8c%b6%e3%81%ae%e6%b9%af/

  • 2021年現在、中古市場でもプレミア価格がついており、とてもじゃないが手が出ないので近所の図書館でリクエストした。
    内容は大きく三つのセクションがあり、生い立ちから渡独まで、バウハウスでの体験、そして帰国後、と分けられていて時系列でわかりやすく書かれている。
    なんといっても笑えるのが、実家がどれだけお金持ちだったかを書いた前半のエピソードで、戦前の東京のセレブがどんな暮らしをしていたか、ほんの少し垣間見ることができる。
    一番ページを割いているのが、やはりバウハウスで実際に山脇さんが体験したあれこれであるが、何にも知らないハタチの箱入り娘がわずか2年半のドイツ留学で人生がひっくり返るほどのインパクトがあったことは容易に想像ができる。バウハウス原体験の話はリアリティがあってとても興味深く、ご主人の巌さんが撮影した写真もたくさん掲載されていて見応えもある。

  • 弱冠20歳にして夫と共にバウハウスへ留学した著者の回顧録。内容はバウハウスの学生生活についての貴重な証言ではある。その点で4.0。

    が、超大金持ちの家に生まれ、父親に甘やかされて贅沢に暮らしてきたお嬢様ぶりが途方もなく、クラクラする。女は金持ちの父親に甘やかされて育つことが何よりの幸せというか幸運だと思う。バウハウスを含めた何不自由ない贅沢な暮らしは本人の希望、努力、意志の賜物ではなく生まれたらそこにあったものなのだ。そして対偶もまた然りだろう。人生とはそういう残酷なものなのだと改めて思った。

  • 著者は、夫の山脇巌とともにバウハウスで実際に学んだ数少ない日本人です。
    名高いバウハウスでの学生生活、授業の進め方などが、著者の手元に残った記録などをもとに伺い知ることのできる貴重な本です。日本では(大都市の富裕階級の娘とはいえ)普通の若い女性だった著者が、あっという間にモダンガールに変貌する様も興味深いところです。
    それにしても、カンディンスキー等々に直接教えを受けたというのは何とも羨ましい限りです!

  • 恐ろしい程のお嬢様な山脇道子さんが、ご主人の留学と共に自身もバウハウスで学ぶ体験記。

    羨ましいような話がてんこもりです。
    バウハウスで学べたことも、その財力が潤沢であったこともね・・・。
    ちらっと写る山脇さんは今見てもとってもオシャレです。

  • 日本人として2,3人目にバウハウスの授業に参加した山脇巌の奥さんがひょうんなことから自分も聴講生のような身分で参加することになった体験記。

  • 図:ホンモノのお嬢様がいたというコト。

  • ミースとすき焼きを食らう?!

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