東京発モスクワ秘密文書

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104054015

作品紹介・あらすじ

モスクワ市オクチャーブリ地区を定点観測地に定め、この地区党委員会で入手した秘密資料三百九点、五千頁におよぶ文書に独自の調査を加えて、激動の一九八八年から今日までを検証した。

感想・レビュー・書評

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  • この本はロシア政治の権威、中村逸郎先生の処女作である。

    ビューロー会議議事録やオクチャーブリ文書などの機密文書を基にした分析と、長年に渡るフィールドワークで積み重ねた論理の融合は見事としか言いようがない。また、オクチャーブリ地区党委員会の実態を明らかにすることで「ソ連共産党は厳しい規則に縛られた上意下達式組織である」という一般的なイメージを根底から打ち崩してくれた。『組織も政治も「そこに実際に生きている人」が動かしている』という当たり前のことを再認識した。

    まるで小説を読んでいるようだった。

    実際の会話や場所の様子が丁寧に描かれているため、その場面を容易に頭に描くことができる。当時の状況をイメージすることができるので、ソ連崩壊という激動の時代を読み解くための良い本となるだろう。

    1995年に刊行されたとはいえ、情報に裏打ちされたロシアへの先見の明は流石である。非常に読みやすい本なので、中村逸郎先生のその他の著書と合わせて読むことをお勧めしたい。

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