向田邦子の恋文

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104554010

作品紹介・あらすじ

脚本家として独立して二年、姉向田邦子はやっと探していた"なにか"をつかみかけていた。惜しみなく愛情をそそぎ、あたたかく見守られながら。急逝の直後に見つかっていた向田邦子の手紙とN氏の日記、そして妹和子の回想で綴る姉とわたしの「最後の本」。

感想・レビュー・書評

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  • タイトル通り、向田邦子の恋文とその相手N氏の日記、そして妹和子から見た向田邦子という人について

    向田邦子すげぇ

    前半は向田邦子の手紙とN氏の日記なんだけど
    「へぇ~、こんなやりとりしてたんだね」とか「かわいいとこあるじゃん」とか「やっぱり作家さんっぽい」とか思った

    そんな情報を踏まえて、後半の和子さんのところを読むと
    向田邦子は色々な顔を使い分けてたんだなぁと感服してしまった
    使い分けていたというか、強く、優しい人だったからなのかね?
    家族に対しては自分が表に出ることがない大黒柱としての役割、N氏に対しては恋人であり母であるような存在
    いや、やっぱすごいわこの人
    作家としてではなく、人間として

    ただ、そんな人もN氏の死に対しては引き出しの前で呆然と座り込むというところが、より人間的で魅力を感じる

    私が子供の頃、恩師を亡くした父が家に帰ってきてから正座して伏せて嘆きの言葉をつぶやいている姿を見たのは衝撃的だった
    大切な人を亡くすというのはそれほどの衝撃なのかと
    それでも向田邦子は周りにもほとんど気づかせなかったところがより心が締め付けられる

    何年か前にお正月のスペシャルドラマで「向田邦子の恋文」をやってたのを観た
    向田邦子を山口智子が演じてたんだけど、呆然とするシーンを今でも思い出す
    あの演技もとてもリアルだった



    基本的に私は不倫が嫌いだし、不倫モノを読んでも「で?」という感想しかないんだけど
    向田邦子の「蛇蝎のごとく」や「阿修羅のごとく」を読むと、許せるわけではないものの、人間の仕方がなさを感じる
    それは自分の実体験があったからこそなのかと思った


    あと、飛行機事故のくだりで、部屋が片付けてあったところから妹が「やはり虫の知らせが…」とか思ったところがあったけど、前に読んだエッセイでは部屋を片付けて旅行に行くと、万が一のときにそう思われるからという理由で片付けないという文章を読んだ記憶があるんだけど、間違いだったかな?
    中学の時の教科書で読んだような記憶が・・・


    向田邦子の手がけた作品を知っている人は是非読んだほうがいい本です

  • 黒柳徹子さんがこの本のこと、向田邦子さんの恋人のことについて触れていて読んだ。
    この本に載っている向田さんの写真がとても素敵で、きっとそれはN氏が撮ったものなんだと知って納得。

  • 菅野先生の『色悪作家と校正者』に出てきたので読んでみた。

    昭和38年の年末から39年2月の書簡とN氏の日記だった。突然亡くなった姉との事、その周りの整理、そしてN氏のお母様から邦子の手元に来たという日記についてを後半で妹の和子が邂逅している。
    N氏は自死されたらしい。

    私はまだ生まれていない時で、N氏の描く当時の世界が想像に難く、入り込めなかったけど、自死かぁ、13も歳の離れた妻子ある人とかぁとちょっと切なくなった。
    向田邦子は前年だったかの直木賞を受賞してなかったら台湾に行くこともなく亡くならなかった…みたいなコメントだったかを当時誰か有識者の方が言ったのを未だに覚えていて、運命ってなぁと色々思ってしまう。

  • 妹さんからみた 向田邦子さんの事が書かれており 素敵なお姉さんだったことが分かった。
    写真も とても美人
    向田邦子さんのお母様が 向田邦子さんの遺品を
    鹿児島に嫁入りさせようとぽつりと言われた言葉が良かった。

  • 一回り以上上の脳卒中で半身不随になったカメラマンと不倫、相手は自殺、相手の妻子は心中。女優さんみたいに美しい女性だけど、作品に登場する女性の毒も女の部分も愚かさも不倫が当たり前に出てくるのも、全部自分の投影だったのだろうか。

  • 向田邦子さんの著作は、長編以外ほとんど読んだ。

  • 再読910.268

  • 家庭でも優等生の長女だった邦子。9歳下の末妹が墜落事故から20年を経て、茶封筒に入っていた手紙と相手の日記を開く。そこには33歳の若き日の邦子の瑞々しい姿が書かれていた。家族のために自らの不倫の恋を成就させなかった邦子の健気さが可愛いです。しかし、読み物としてはやや物足りなさを感じました。

  • はんぶん、ヤジ馬根性みたいなもので読みました。
    だって気になるもの、向田邦子さんの恋。
    以前、山口智子さんのドラマを斜め見した記憶がちらっと蘇りました。
    誰がやってたかなあ、あのN氏のことは。

    けど、向田さんがこの恋をしていたのは、ずいぶんと昔のことだ。
    30代の前半には、N氏は亡くなってしまった。
    でも、ずっと結婚しなかった向田さん。
    「手袋を探す」には、男の人についてもないものねだりなんて書いていたけど、本当のところはどうだったんだろう。
    この本を読むと、向田さんのエッセイに書いてあることは、いくつかは表向きなのだろうと思う。(良い意味で。たしなみがあるというか)
    何でもかんでも読者にひけらかすことはないです。
    凛とした女の人には、いくつか秘密があるんだろうと思った。

  • 手書きの手紙。電報で「コンヤユケナイ」。

    ラジオ番組で迎える朝。

    ”つながり”を感じる時代だったと思う。

    家族にも話さず秘めていた献身的な愛情。

    一度決めたら心変わりをしなかった、恋愛の仕方にも邦子さんの人柄が投影されている。

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著者プロフィール

向田和子(むこうだ・かずこ)
1938年、東京生まれ。エッセイスト。向田邦子の末妹。邦子が考案した小料理屋「ままや」の経営者。おもな著書に『向田邦子の遺言』『向田邦子の恋文』など。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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