惑う星

  • 新潮社
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本棚登録 : 353
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105058777

作品紹介・あらすじ

地球を憂う少年の心を、亡き母の愛が解き放つ。科学と情感が融合する傑作。パパ、この惑星に僕の居場所はないの? 地球外生命の可能性を探る研究者の男、その幼い息子は絶滅に瀕する動物たちの悲惨に寄り添い苦しんでいた。男は彼をある実験に参加させる。MRIの中で亡き母の面影に出会った少年は、驚くほどの聡明さを発揮し始め――現代科学の最前線から描かれる、21世紀の「アルジャーノン」。

感想・レビュー・書評

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  • 文学ラジオ第108回https://open.spotify.com/episode/6VoTFJnVfCY0ETkpU2zxfN?si=eda9484991a346b5
    リチャード・パワーズは、おそらく、結構読みにくいという印象を持っている人がいると思うが、それに比べたら驚くほど読みやすい。かつ、テーマや要素が濃厚なので、ハードルが低いのに、めちゃくちゃ良いものが読めるという素晴らしい作品だと思う。
    人間って何、地球って何、って考えさせられる小説なので、多くの人にとっておすすめ。

  • リチャードパワーズ「惑う星」
    https://www.shinchosha.co.jp/book/505877/
    ラストが美しくて読後の余韻がとんでもなかった。圧倒的なストーリーの力。性格や能力の特性、団体行動とルール、家族や職業の型、研究者の社会貢献vsエゴ/名声欲、メディアの暴力とかとかの社会問題が詰め込まれて絡み合ってネガティブなスパイラルを進む。キラキラと明るい場面の不穏さが印象的だった。一年最初にこれを読めて良かった

  • すごく美しい小説だった

  • 精神的に問題を抱える息子を持つ、寡夫の宇宙生物学者の物語。息子はfMRIを用いた実験の中で、他の被験者の脳のスキャンデータ、特に亡き母の残したデータを基に精神的安定を得るが…

    自然や宇宙、特に主人公が息子に語る数々の惑星の描写が興味深い。ただ現代社会問題、政治的問題が随所に色濃く反映されており、独善的なきらいもあるので現実逃避したい人にはあまりお勧めはしない。

  • どうすればよかった、どこでとまれば失わずにすんだのか。惑う父親の話。悲しすぎて苦しすぎる。失うために生まれたのなら、酷すぎる。楽になれたのならいいのだけど。それでもまた読みたいと思う美しい話

  • 私の初リチャード・パワーズとなったのは本作、2021年に発表された『惑う星(原題:Bewilderment)』。

    地球外生命体の存在を探る研究者(=宇宙生物学者)であるシーオは、動物の保護活動を行うNGOで活動していた妻アリッサを亡くす。母親を喪ったことによって情緒不安定となった幼い息子のロビンは、学校で友人に暴力を振るって怪我をさせてしまう。このままでは息子が学校を追い出されてしまうと危機感を募らせるシーオ。だが、息子に向精神薬を飲ませたくはない。
    そんな時、シーオは妻の知人であった神経科学者カリアーが進める、「fMRI(機能的磁気共鳴機能画像法)」を用いた神経フィードバック治療を思い出し、一縷の望みを賭け、ロビンを被験者として欲しいと願い出る。亡き母の脳パターンと同期させるセッションを重ねるロビンは、精神の安定と聡明さを獲得、そして母が生涯をかけて取り組んだ動物保護への意識を深めていくが―――。

    「大自然、大宇宙の"生命"に思いを馳せる、幻想的な筆致で描かれる、父と子の切ない物語。」

    父が子に聞かせる様々な惑星の幻想的な光景、脳パターンを同期させることで亡き母を内で感じる幼い子、直面する厳しい現実に"惑う"父子―――物悲しい幻想的な雰囲気を味わうことが出来る作品だった。ただ、シナリオ自体の面白味はそこまで。自分が「動物保護運動」というものにあまり良いイメージを持っていないことが大きな要因かもしれないが・・・。

  • 人物の設定、ストーリーが共に素晴らしい。作品が少ない事が残念です。

  • 21世紀のアルジャーノン?

     シングルファーザーと母の遺伝と読める少し精神的に不安定な息子。脳内で母の感性が体感できるようになる高度技術にて、状況は改善方向に。しかし、それがなくなると…。

     たしかにこの展開はアルジャーノンだ。作中にもアルジャーノンを読む場面が登場する。宇宙生物学者である父の話としてちりばめられた宇宙論は限りなくハードSFであり、、なぜ人類は孤独なのかといった問いも語られる。

     でも、メインテーマはSFではないように読める。妻と息子をと研究を失った父の慟哭が心に残る長編だと思う。

  • たった一人で死にゆく生き物たちのために戦うロビンがあまりに純粋で胸が苦しくなった。実験が行われる前でも、彼は十分聡明にみえたのに。父と息子の物語が好きだ。ずっと二人で星を探索しながら暮らしていてほしかった。

  • 最近、海外の小説との相性が悪い。 
    今回もまったく合わず55ページで挫折。
    辛い読書は嫌なのでさっさと次行きます

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著者プロフィール

1957年アメリカ合衆国イリノイ州エヴァンストンに生まれる。11歳から16歳までバンコクに住み、のちアメリカに戻ってイリノイ大学で物理学を学ぶが、やがて文転し、同大で修士号を取得。80年代末から90年代初頭オランダに住み、現在はイリノイ州在住。2006年発表のThe Echo Maker(『エコー・メイカー』黒原敏行訳、新潮社)で全米図書賞受賞、2018年発表のThe Overstory(『オーバーストーリー』木原善彦訳、新潮社)でピューリッツァー賞受賞。ほかの著書に、Three Farmers on Their Way to a Dance(1985、『舞踏会へ向かう三人の農夫』柴田元幸訳、みすず書房;河出文庫)、Prisoner’s Dilemma(1988、『囚人のジレンマ』柴田元幸・前山佳朱彦訳、みすず書房)、Operation Wandering Soul(1993)、Galatea 2.2(1995、『ガラテイア2.2』若島正訳、みすず書房)、Orfeo(2014、『オルフェオ』木原善彦訳、新潮社)、Bewilderment(2021)。

「2022年 『黄金虫変奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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