監獄の誕生<新装版> : 監視と処罰

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105067090

作品紹介・あらすじ

現代の管理社会の源流となった監獄。その監視と処罰と矯正のシステムに迫る! 肉体に苦痛を与える刑から魂を罰する刑へ――監獄はどのような歴史的社会的な背景のもとで成立したのか。監獄という制度から生まれた人々を監視し管理する技術とは何か。そうした技術はなぜ学校や軍隊、工場にも及んでいくのか。国家権力の集中機構としての監獄を独得の考古学的手法を駆使して捉え、その本質と特徴を解明する。

感想・レビュー・書評

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  • 権力とは、ある社会関係の内部において相手を自分の思い通りに動かす力。相手が抵抗しようとも自分の意思を通す力。マックス・ヴェーバーWeber『社会学の基礎概念』1922

    昔は罰といえば処刑や拷問だったが、今は犯罪者を監獄に隔離し、監視と訓練によって精神と身体を矯正して、”正しい”行いを植え付けようとする。▼パノプティコン。中央に監視塔、囚人からは監視塔の中が見えず、いま監視されているか分からない。緊張。知らず知らずのうちに囚人の意識は調教され、自分で自分を監視してしまう。規律の内面化。外部から直接的に強制するのではない。権力は間接的に働きかけ、他者を自分の思うがままに行動させる。権力は扇動し、誘い込み、唆(そそのか)し、なにかを容易にしたり困難にしたりする。監視塔には見張る人(権力者)は必要ない。現代社会では社会の仕組みそのものが権力。権力の網の目。昔は権力者がいて、死の恐怖を利用して民衆を支配していたが、今は権力はいたるところにあり、人々を無意識のうちに社会規範に従うよう訓練することで、人々の生き方に介入している。 ▼人間は理性的で自由な主体ではない。その時代を支配する権力が生み出した思考の枠組みの中に無意識に囚われている。規格化され、権力に従順に思考するよう無意識に訓練されている。『監獄の誕生』1975

  • 処刑者の身体を焦点とする身体刑から、非行性を規定・再生産し、社会に浸透していく拘束刑・監獄へ。一望監視方式が印象的。

  • 内容を理解できた!とは全く思えないけど、がんばって読み切った努力をここに記す(笑)再読が必要だな。

  • 権力∶他人を支配し社会を回す
    規律・訓練型権力∶人間を規律に従わせ、訓練を施し、社会の秩序をコントロールしようとする力∶道具化し、社会を回す
    搾取の代わりに訓練を施す

    閉鎖空間に閉じ込め、配置する
    時間と行動を制限
    段階的に教育
    組織の歯車にする(換えがきく、意図や考えがいらない)
    →監視と制裁(反復)、試験(恐怖心を煽られる)
    監視があることで規則に従うようになる
    視線の内面化

    監獄が権力を匿名化する、視線の内面化をする
    今でいうとデジタル

  • 監獄の誕生―監視と処罰
    (和書)2010年08月23日 21:59
    1977 新潮社 ミシェル・フーコー, 田村 俶, Michel Foucault


    佐藤優さんや磯崎新さんの本を読んでいて紹介されていました。

    特に佐藤優さんは獄中記で、高評価していた記憶があり読むリストに入れていました。

    ・・・表沙汰にされにくい悪意や・・・

    ディシプリンというものってこういうのを言うのだな。

    監獄・学校・職業・・・・

    宮崎学さんの本を思い出すところもあり、佐藤優さんの本を思い出すところあり・・・柄谷行人さんの指摘しているところもあり・・・そういう意味で知の結節点ともいえる。

    ただ、フーコーさんの本は文体が難解に思える。もっと読み易く書いてくれてもいいのにな。

  • バノプティコンの形式だけについて書かれていると想定したいたが全く異なっていた。バノプティコンは一望監視方式としてわずか30ページで説明されているに過ぎない。しかも刑罰というよりもペストの監視の内容で書かれている。それ以外の部分では、刑罰の種類で身体刑から処罰、規律、監獄とだんだん軽くなる刑罰である。規律については学校における生徒の規律としての係の設定についても書かれていたので、教育についてはこの部分が参考になると思われる。規律と刑罰を一緒にするという考えは日本の教育研究ではないと思われるが、教育の規律の根源は刑罰として同じなのかもしれない。

  • 一応最後まで読んだ。難解といわれる著者のいいたいことにどこまで読み取れたかはなはだ疑問ではある。特に難しい固有用語は使っていないので、読むのは最後までできるだろうが、深いところまでわかった気がしない。

  • 監獄とは、規律・訓練とはなにかという話

  • 10年前にも一度通読したのですが、そのときはただひたすら難解だという印象しか持てず。今回、ちくま新書の重田さんのフーコー本を読んで、全体像をつかんでから、もう一度チャレンジしてみたところ、全体像がつかめたうえで個々の記述を追っていけました。もちろん、それなりに難しくて、スラスラとはいかなかったです。つっかえつっかえ、すこしばかりうなりながらでしたが、楽しく読めました。
    こういう骨のある本を頑張って読むと、本を読んだなあという実感にひたれます。ずっとこんな本ばかり読めたらかっこいいのですが、ぼくにはそこまでできません。とはいえ、年に何冊かは読んでおきたいなあと思います。
    内容について、また、その印象などについても、うまく書くことはできませんが、ばくっというと「具体的記述についてはなんとなくわかるし、なんとなく前後のストーリーはわかるんだけど、全体として何を言わんとしているのか、どんな狙いがあるのかということは霧の向こうにある感じがする」といったかんじかなと思います。【2021年10月15日読了】

  • なるほど面白いと思うが、論述や論証の構造とかスタイルがどうなってるのかよくわからんような気もして、ポモっぽさも感じた。ベンサムのとこはベンサムとつきあわせて読みたいんだけど、フーコーとベンサムで論じるようなのは国内ではあんまりなさそうだ。

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著者プロフィール

ミシェル・フーコー(Michel Foucault):1926年フランス・ポワティエ生まれ。高等師範学校で哲学を専攻、ヨーロッパ各国の病院・研究所で精神医学を研究する。1969年よりコレージュ・ド・フランス教授。1984年没。主著に『精神疾患とパーソナリティ』『狂気の歴史』『臨床医学の誕生』『言葉と物』『知の考古学』『監視と処罰』『性の歴史』がある。

「2023年 『ミシェル・フーコー講義集成 2 刑罰の理論と制度』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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