- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105072315
作品紹介・あらすじ
全ヒト必読! 30億年の進化の果てに獲得した「奇跡のシステム」その全貌に迫る。ほぼ同じDNAをもつ二人が、何もかも異なるのはなぜか。毎日5個もの細胞が癌化しているのに、なぜ簡単には死なないのか。生命体とウイルスのちがいとは――。医療・医学の最前線を取材し、7000
感想・レビュー・書評
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人体についてのあらゆる情報を集めた本。
ページ数が多く、興味を引くエピソード、文献、インタビューなど、盛りだくさんで、一つ一つの章の内容を細かく覚えていないくらい程だが、好奇心を満たしてくれる本であることは確かだ。
人の嗅覚に共通する受容体が、全種の受容体の半分程度であることで、人それぞれ嗅いでいる匂いの感じ方が違う点は興味深かった。
思いやりのある医者に治療された患者は、重い合併症を引き起こす割合が低いことや、長年行われていた治療が、全くの見当違いのことだったり、新薬に関する倫理違反を開発コストの内と考え、違反を繰り返す製薬会社の話などから、
医療や薬のあり方について考えさせられた。
結局、人体で今、分かり得ることなど、複雑な人体のほんの一部のみであるということだろう。
著者は、ジャーナリストであるとはいえ、
この本を執筆するのにかけた労力や時間を想像すると
今後の執筆業からの引退宣言も分かる気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルに惹かれて読みました。人体が備え持つ機能をユーモアを交えて解説。人体を解明することは科学と医学の歴史でもある。人体の精巧で緻密作りには驚くばかり。とくにかく良くできているなあと感心してしまいます。今のテクノロジーをもってしても、人体の不思議、謎を全て明らかにできてないところにもロマンを感じます。改めて、人体って凄い。
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いや~面白かった!
こんなつまらない感想が第一声で申し訳ないけど、それでもそう言うしかないくらいに面白かった。
著者はノンフィクションライターで、その守備範囲も広く、いろいろな分野で著作を発表しているらしい。こんなに私好みっぽいライターなのに、今まで見逃していたとはなんたる不覚。
本書は、人体にまつわるあれこれを、医学的・生物学的・科学的・歴史的等その他もろもろの視点から、そして尚且つ無知な一般人の興味本位を十分に満足させられるくらいに、平易でウィットに富んだ文章でまとめた人体ガイドである。興味本位を満足させるだけでなく、現代社会に対する問題提起にもそれとなくなっていたりする。
そこそこページ数がある(480ページ超)のと、なかなかまとまった時間が取れないのとでかなり細切れに読んでしまったせいもあり、またどの章も非常に興味深い内容がありすぎて、この章のこれが、と、いま端的に挙げられないのがとても残念だし、自分自身が不甲斐ない。とにかくとても私の知的好奇心をくすぐり、満足させてくれた本だった。
人間の始まりからその身体、内臓、脳の成り立ち、病気と人類の戦いの歴史や医学の進歩(もしかしたら人類にとっては必ずしも進歩ではなかったかもしれないことも含めて)、昨今の世界中の喫緊の課題である新型コロナにも関連する話題などなどなど、挙げだしたら結局本書をかいつまんで全部説明してしまうことになりかねないくらい、興味深い話が満載。
図書館の本でなければ、そこここに赤線を引きまくりたかった。こんな時、電子書籍ならあちこち線を引いて、後でどこのどんな表現だったかすぐに確認出来て、自分の知識の蓄積にも役立って、となるのだろうが、いかんせん、端末で読んだものはどうしても本を読んだ気になれないので、なかなか手を出せずにいる。
悩ましい。
とかなんとか言いながら、結局また図書館に蔵書のある著者の別の著作も早速予約したのだけど。
そのうち機会があったら、中古本でいいので本書を手に入れて再読し、あちらこちらに線を引きまくろう!と決意した読書体験だった。
訳者によると、著者は執筆業を引退すると言っているらしい。孫たちとの時間を過ごしたい、と。訳者も「気が変わることを祈る」と話しているが全くの同感。ぜひとも新たな著作をまた書いてほしいものだ。
そして一つ、この訳者の翻訳も、著者の文章の魅力を存分に引き出していて、より一層興味深い読書体験ができたことも付け加えておく。 -
「人体大全」というタイトルに負けない。23章にわたって人体の不思議さを徹底的に解き明かす。どのページのどの部分を取り上げても驚きの連続。進化によってこのような仕組みを作り上げたのは、奇跡中の奇跡だと何度繰り返しても足りないような気がする。
またなぜこのような仕組みになっているのか、わかっていないことが多いことにも驚いた。それでも未知の不可思議さが残っていることで素晴らしさが一層引き立つような気がする。
これだけ面白い本だが、読み終えた片っ端から忘れていくのが残念。 -
人の体について解明されていないことがまだまだ多いのだということを知ることができた。
今でこそある程度治療法が確立している病気も、少し時代を遡れば未知の病だった。
それに立ち向かう先人たちのストーリーが随所に散りばめられているのが興味深かった。
必ずしも偉業を成し遂げた人々ばかりではないところが余計に興味をそそられた。 -
人体の不思議を改めて感じた。日常では存在を意識しない心臓にありがたいと感じたり、脳のシナプスの伝達を想像したり楽しい読書時間だった。
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喫煙すると6人に1人がんになるという表現を反転させて、6人に5人はがんにならないという人体の優秀さが際立つ。
人間自体は不合理さを抱えていながら、不合理なセックス で繁殖すると多様性が生まれて、環境変化に対応できる種が生まれる可能性が高まる。不合理さこそ、合理的な生存戦略か、なるほど。
人体はタフで寛容でもある。ジャンクフードを口に放り込み、煌々と光るディスプレイの前でだらだら過ごすことも許してくれる。心臓発作を起こすことはほとんどないし、喫煙者でさえ6人に5人は肺がんにならない。毎日、あなたの細胞の約5個ががん化していると推定されるが、免疫系がそれをすかさず殺してくれる。わたしたちの体は、ほぼ休みなく、ほぼ完璧な協力態勢で働いてくれる、37兆2000億個の細胞から成る宇宙なのである。
ただし、人体は決して完璧ではない。顎が小さすぎるせいで親知らずが収まらないし、骨盤を小さくしすぎたから、他の動物に比べて出産には耐えがたい痛みが生じる。それでも、わたしたちがいくつかの弱点に打ち負かされずに生き延びてきたことは奇跡だ。あなたは、30億年にわたる進化が微調整を積み重ねた結果、いまこの形で生きているのだ。
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2階書架 : QT104/BRY : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410167215
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人体の本質に迫る記述から、よく調べたなと思える細かな知識まで、幅広い知識量の1冊でした。医学部の臨床講義もこうした切り口でやってくれたら、もっと興味がわくだろう。