- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105090135
作品紹介・あらすじ
町中の誰もが、充分に知っていた。しかも誰もが、他ならぬ犯人たちでさえ、なんとしても阻もうとしていたのだ。その朝、彼が滅多切りにされることを。ただ一人、当の彼だけを除く、誰もが…。運命という現実。その量り知れぬ糸模様の全貌に挑む、熟成の中篇。さらには、人生という日々の奇蹟。その閃光を、異郷に置かれた人間の心に映し出す、鮮烈な十二の短篇。
感想・レビュー・書評
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ラテンアメリカ文学。
短編はトスカーナやそれ以外の地域もでてくる。
血生臭く、怪しげで想像を超えた世界に誘われる。
『聖女』の不思議さ。
予告されたはもう一度再読しよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『予告された殺人の記録』は読後に解説で実際の事件をモチーフとして書かれたことを知り驚いた。共同体による意識の連鎖が殺人事件を呼び起こす、知りながらにして歯止めをかけれなかった、いや敢えてかけなかったのは、無意識ではなく確信犯的。宗教的戒律とマチズモ社会が根ざす集団的狂気がいかにも泰然と罷り通る群像劇にぞっとしながら、可笑しみある人物描写やサイドストーリーで物語としてのエンタメ性を膨らませるのは流石のマルケス。『十二の遍歴の物語』は幻想と悲哀の混合が驚くほど美しくて、どれもこれも一話ごとに深い余韻に浸った。
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「予告された殺人の記録」
めくるめく読書体験。読んでいて、目が物語を追いかけている感覚になった。体が引っ張られる。耳が街の喧騒を聞く。そこここに人が。まるで自分が作中人物の一人になったよう。
生々しい情報量に圧倒されるも、全く読みにくさはなく、物語はとてもスムーズに進む。時間は前後し、人は入り乱れるが、事件そのものは驚くほどブレない。ただ、誰もが導かれるようにその事件へと突き進んでたどり着く、そういう印象である。
これがマジックリアリズムというものか、と思った。すごい体験だ。
「十二の遍歴の物語」
「予告~」に圧倒されたため、どうもこちらの印象は薄い。登場人物の造形がきれいすぎるというか……あまりリアリティを感じられないものが多かった。 -
「予告された殺人の記録」は再読。大量の水が排水口に吸い込まれていくのを見守るような読み心地で、あらためて構成の緊密さに感じ入った。アンヘラだけが運命にからめとられずに済んだような気がして救われるのだけれど、どうもサンティアゴ・ナサールに真剣に同情する気持ちにならないのはどうしてだろう。そういう書き方がされている? サンティアゴ可哀想…!という読み手はどれくらいいるのか、興味がなくもない。巻末の野谷さんの解説で、登場人物の名前や出自の設定にいろいろ工夫がされているのがわかる。文庫で読んだ人も、解説部分だけ読んでみては。
『十二の遍歴の物語』。どの話もくっきりと際立っていて存在感がある。意欲と才能を語る力ががっちりと支えていて、とても読みごたえがあった。欧州が舞台だからか、一人ぼっちで何かに向き合う気持ち・明かりを消した寝室で見えない天井をじっと眺めている気持ちになる話が多かった。ガルシア=マルケスは孤独を描くひとだ。最後の最後でばっと光が差すような結末の「悦楽のマリア」、あのあとどうなったんだろう。 -
ガルシア=マルケスの世界にどっぷりと浸かっているので、今は客観的に見れない。ほとぼりが冷めても、きっと面白い作品だと思う。
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目の前で起こっているような現場感。マルケスの醍醐味満喫。もっと血生臭いかと予想してましたが、とにかくマルケスの文章がうまいのでスイスイ読めた。
後半の短編もすごくいい。どれもいい。 -
前半は人間が覚えられなくって、あけすけな行動に慣れなくって読む手が進まなかった。
ただ話が進むにつれてなんだこれは。
名誉殺人、名誉殺人を犯す者の名誉を守るために噤まれる口、他者への潜在的な区別と脅え、小さな綻びが繋がりブレーキが掛からなくなって転がり落ちていく。
1度目の死に様、2度目の殺され方の描写が鮮明すぎて鳥肌が立つ。
絶対にもう一度読む、評価は二度目に改めたい。
(途中でほのかに太宰さん宅のかず子/斜陽 の匂いがして、一瞬で別物になる。この本を読んで、かず子が没落貴族として完璧な人格であったというスタンディングオベーションが起こった) -
マルケスは面白い。
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星0
読破できず -
文学