- Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105090203
作品紹介・あらすじ
黙して語らぬ民衆の本音を知りたければ、酒場のトイレで落書きを見ることだ。一九五七年、三十歳のガルシア = マルケスが「壁」以前の東西ベルリン、旧富裕層が生き腐れるライプツィヒ、対照際立つプラハとワルシャワ、冷徹残忍のアウシュビッツ、世界最大の村モスクワ、ソ連軍事介入の傷跡深いブダペストと、記者魂で駆け巡った九十日を作家魂で物語る。現在を考える暗示に満ちた十一のルポルタージュ。
感想・レビュー・書評
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●1950年代のドイツ、チェコ、ウクライナ、ロシア、ハンガリーの様子を記録したルポルタージュ。
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http://library.koutoku.ac.jp/CARINOPACLINK.HTM?IS=9784105090203 -
鋭い観察眼を持つジャーナリストの書く文章であると同時に、海外特派員のコラムのような読みやすさもある、1950年代後半の東ドイツやチェコ、ポーランド、ソビエト連邦、ハンガリーについてのルポタージュ。ガルシア・マルケスはソ連を旅をしながら、スターリンの作り上げた組織は、“カフカの小説に描かれている世界と細部に至るまでまったく同じ”だと思ったそうだ。当時の街や人の描写から、社会主義とはどういうことかを考えるきっかけになった。20世紀のドイツとソ連についてもっと知りたい。
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ガルシア・マルケスの小説を読んだことがないのに、この本を読もうと思ったのは「東欧」旅行記だったから。最初はちょっと上から目線みたいなもの(同情?)が気になり、読み進められるか不安に思ったが、それにも慣れ、面白く読めた。
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新聞で書評を見て即買い。
1957年30歳のマルケスが東欧とロシアへ行って書いたルポルタージュ。
スターリンとレーニンの霊廟に行った「スターリンは赤の広場の霊廟で悔悟の念を抱くことなく眠りについている」の最後の一行、「何よりも強く印象に残ったのは、透明でほっそりした爪のついている、女性のそれを思わせる繊細な手だった。」ってのを読んで唸る。 -
東京新聞2019217掲載
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1957年、著者が小説家として名を馳せる前の三十代はじめに、鉄のカーテンの向こう側、東欧〜ソ連を旅した記録。スペイン語圏で改めて出版されたのを機に邦訳のはこびとなったらしい。みんなジャック・ロンドンを読んでいる。スプートニクが打ち上げられた年。