すべての見えない光 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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感想 : 133
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  • Amazon.co.jp ・本 (526ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901295

感想・レビュー・書評

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  • 中盤から最後までは一気読みしてしまった。長い時間を経たささやかかつ壮大な物語で、読み終わった後の余韻が大きい。「誰かがいたということ」「人の存在の記憶」は、それを覚えている人が生きている限り、空中を漂って残るものなのだと思う。
    時折、はっとするほど情景の描写が美しい。原書を読みたくなった。

  • アンソニードーア「すべての見えない光」 http://www.shinchosha.co.jp/book/590129/ 読んだ。おおおお超絶よかった。。今年2冊目の今年の1冊。こんなに美しい物語を一年の終わりに読める幸せったら。今年の読書はこれで終わりたいと思ったほど(次のを読んでるけど)人としての尊い美しさ。小道具も好きだし(つづく

    ラジオ、街の模型、宝石の言い伝え、ドビュッシーの月の光。強さや賢さや慈愛や、弱さへの後悔も含めて、人としてのあらゆる尊い美しさが凝縮されてる。緊迫の場面や感動の場面を書く、比喩を排除した短文の積み重ねもすばらしい。全体的に食べ物の描写が強烈。いやー読書を堪能した。いい本(おわり

  • アンソニードーア「すべての見えない光」 http://www.shinchosha.co.jp/book/590129/ 読んだ。おおおお超絶よかった。。今年2冊目の今年の1冊。こんなに美しい物語を一年の終わりに読める幸せったら。今年の読書はこれで終わりたいと思ったほど(次のを読んでるけど)人としての尊い美しさ。小道具も好きだし(つづく

    ラジオ、街の模型、宝石の言い伝え、ドビュッシーの月の光。強さや賢さや慈愛や、弱さへの後悔も含めて、人としてのあらゆる尊い美しさが凝縮されてる。緊迫の場面や感動の場面を書く、比喩を排除した短文の積み重ねもすばらしい。全体的に食べ物の描写が強烈。いやー読書を堪能した。いい本(おわり

  • 時間、場所、人物が交錯しながら、物語を成していく。
    クライマックスまでは冗長とも思えるが、伏線であり、読み応えがある。
    禁じられた遊びを思い出した。静かな反戦小説

  • 第二次世界大戦中の、敵国同士の盲目の少女と少年兵の物語。それぞれ交互に語られていき、次第に引き込まれていく。翻訳文学なので読みづらく取っ付きづらいものの、それでも一気に読んでしまった。まず、くどいくらい美しい情景描写。と同時に、人物像も際立っている。マリー・ローズの優しく、そして周囲を明るくさせる微笑ましい姿・そして持っている強さに感動したかと思えば、ヴェーラーの聡明さ、そして弱さとそれへの葛藤を持ちながらの優しさも心に沁みる。そんな心情の描写も素晴らしい。タイトルは光を失った少女と、またラジオを通した交流とその輝き、また最終章にあるような、人の心が光となって漂っているという様々な意図が見える。名著。

  • 盲目の少女は、誕生日に父親から本をもらう。海底二万里。指で文字をたどり、ノーチラス号に乗り、ネオ船長と共に海底を旅する。戦争が、彼女を本と別れさせる。そして、再び読み始める。誰かに届くように、電波に乗せて。その声を聞いた少年は、少女を見つけ出す。少年は、ずっと昔から、ラジオでその声を聞いていた。仕掛けのある模型の家、魔法の宝石、鉄の鍵。たくさんの貝殻、波の音、海の風。飛行機が飛び交い、爆弾が落とされても、どこまでも静かな物語だった。

  • 綺麗な言葉で、綺麗な雰囲気で、綺麗な少年少女が描かれた美しい物語だと思う。
    洋書だけど全然読み難くなかった。

  • 一気に読みたい気持ちと、読み終わるのがもったいない気持ちが混じりあい、一息ついては読み、を繰り返して結局1日半で読み終えてしまった。
    盲目の少女、マリー=ロールの世界の描写は読者にも街を立体的に読ませてくれた。
    ドイツのヴェルナーと、フランスのマリー=ロールの描写が交互に繰り返され、徐々に、でも気づいたら深く物語に引き込まれていた。本当に素晴らしい作品。

  •  目の見えない少女マリー=ロールは、第二次世界大戦の戦火が迫る中、博物館に勤めている父親と一緒に、郊外に住む叔父を頼ってパリを脱出する。
     一方、ドイツの炭鉱町に妹と住んでいる孤児のヴェルナーは、通信技術の腕を買われて軍隊に入隊させられる。

     見えない糸でつながっていた二人の運命は数年後に、フランスの片田舎の町サン・マロで交錯する。ドイツ軍に占領されたサン・マロを連合軍が奪還しようとする1944年8月の数日間と、二人の決して幸せとは言えない生い立ちがフラッシュバックのように交互に描写される。
     その合間に、幻のダイヤモンドを追い求めるドイツ軍曹長の妙な執念が実を結び、登場人物たちの運命を一点に集約させていく。
     廃墟と化した街でマリー=ロールとヴェルナーが出会って過ごす時間はあまりにも短く、すぐに別れの瞬間がやってくる。むごたらしい戦場と人々の確執の中で起こったこの奇跡の時間は、いつまでも読者の胸の中に残るだろう。

     あの大戦を描いた最近の小説によくあるように、本作品でも現代における後日談が生き残った人物によって語られるのだが、過去を切り取って単純に懐かしむのでも悔やむのでもなく、美しい余韻を感じさせてくれるものだった。

  • たくさんの章に分かれた珠玉の断片が織りなす繊細で美しい抒情詩であり,起こりうる未来への不安を孕んだ叙事詩でもある.生き生きした生命力を持つ盲目の少女マリーと優しい心を隠して生き延びるドイツの少年ヴェルナー,主人公の二人がいつ出会うのかとハラハラしながら読み続けた.また,周りの人物が魅力的で,父親やエティエンヌ,妹のユッタ,鳥の好きなフレデリックはもちろん,パン屋のおばさんまでみんな素敵だ.そして,奇跡のような出会いと別れ,マリーの幸せは読みたかったけれど,ここで終わってもらっても良かったかとその後を読んで感じた.
    全編に「月の光」が流れていて,読み終わっても音楽が鳴り止まない感じだった.

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