地球からの発想 (新潮選書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106001536

感想・レビュー・書評

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  • 50年前の本である。古本屋で見つけて、積読していたものを読んでみた。うーん、いま言われていることと全く違うことが書かれている。読まない方がいいかとも思ったが、歴史を知るという視点で最後まで読んでみた。何が書かれているか。それは地球が寒冷化している、氷期に向かっているということ。それを何とか食い止めようとしている。南極の氷を切り取って、タグボートで引っ張り、南極大陸と南米大陸の間の海峡に埋め込み、海流の向きを変えようとする計画。あるいは、南極の氷をオーストラリアに運んで乾燥地帯の灌漑に利用するという話。そして一番の驚きは、日本海側の冬の大雪を減らすためにと、5000m級のヒマラヤ山脈を削り、2000mくらいにまで低くする。そうしてインドからのあたたかな空気の流れをシベリアに送り込む。さすがにこのアイデアは荒唐無稽、お金と時間がかかり過ぎるということで無理だという結論に達している。しかし、いずれにせよ、自然を人間の力で何とかしようという思いが見える。気候工学というのはいまでも考えられているのだろうか。子どものころ、人工的な雨が降るという話を聞いたことがあった。あれはどうなったのか。クライトンの「恐怖の存在」でもこういうテーマが取り上げられていたが、どうも人間のおごりのように思えてならない。それに比べると、空気爆弾はともかく、気球で太平洋横断なんて計画は楽しい。梅棹エリオさんが熱気球を飛ばそうとしたとき、お父さん(梅棹忠夫)の紹介で著者に相談に行っていたのだった。そういう話を読んだ覚えがある。しかし、この50年で何が起こったというのか。寒冷化から温暖化へどこでどうなったのだ。それとも、クライトンが言うように、地球温暖化は冷戦後、人々を恐怖で支配するために作られたものなのか。救いになるのは、ところどころに登場する中谷宇吉郎先生のエピソード。なんともほほえましい。

  • 水3

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