水道の文化: 西欧と日本 (新潮選書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106002489

感想・レビュー・書評

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  • 1983年刊。著者は京都府立医科大学教授。

     日本と欧州の上下水道に関する比較文明史・比較都市論、比較技術史論の書であるが、勿論、水道に関係する感染症史、水運史・治水史も加味されている。

     欧州各都市によって違いが大きく、副題の日欧異質論もそう単純でないことは確かなようだ。
     しかし、大きく言えば、
    ① 都市が生み出す人糞処理の循環体制が進んでいた日本←水田稲作と麦作+牧畜に適した平野草原の多少、
    ② 原水を、まゝ飲料水として利用してきた日本とアルコール入りを飲料にしてきた欧州との違いが、上水道政策の違いに反映してきた
    と解釈できそう。
     また、
    ③ 下水処理施設ではなく下水道の完備を優先した欧州と、下水道の前に処理技術と設備拡充に奔走した日本という違い、
    ④ 比較的大型船舶が利用可能な水運を維持できる平地大河の欧州(→高汚染)と、急峻な河川の日本という違いも認められそうだ。


     ただし、実際、上下水道の意義を把握し、現代の体制に移行したと言えるのは、一部の例外を除き、日欧問わず戦後(1960年代)だという点は、戦前憧憬へのアンチテーゼといえそうだし、対感染症など公衆衛生面における近代の勝利とも言えそうだ。
     実際、下水道普及率が戦前期から大阪(東京よりも)は高かったらしい。が、郊外・近隣県なら汲み取り式が多かったのは、自らの少年期の体験からも首肯できそう。

  • 古い本だが講義のネタ本だったなあと懐かしくなった。今でも変わっていないのは確か。しそうは変わらない部分なんだなん。

  • 2009/
    2009/

    『読書の軌跡』阿部謹也より(2/17)

    この著者の本の二冊目を読もうと思っています。
    ヨーロッパ大陸では水道水源を地表水ではなく、湧水や地下水に頼る傾向が強い、ということ。

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