- Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106022920
作品紹介・あらすじ
アイヌ文化の深層に迫る、初のビジュアル入門書! かつて、文字文化を持たなかったアイヌが、代々語り継いできた精神と伝統を、現在の語り部たちの「言葉」を丁寧に聞き取った紀行文と、守り継がれてきた儀式や聖地、そして北海道の大地に宿るカムイを求めて撮った美しい写真で紹介。今に生きるアイヌの魂を探す旅。
感想・レビュー・書評
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早朝のすきま時間、たまたま子供が事前学習用に図書館から借りてきていた本が置いてあり、ぱらぱらとめくってみた。
北海道の静謐な写真、アイヌ語の説明と共にアイヌの人々の精神性が語られ、しばし読み耽ってしまった。
アイヌの人々にとって、火は大切なカムイ(神)。
アペフチカムイと呼ばれ、人間の訴えや願いを他のカムイへ仲立ちしてくれると考えられている。
火の粉がパチパチって飛ぶ。あれは新聞記者みたいな役目だと言われ、いろんなカムイのところへ飛んで行って、祈りの言葉を知らせるからだという。
確かに、焚火やキャンプファイヤーなど、あの音を聞いたり炎のゆらぎを見ていると癒される。
「ハウルの動く城」でもカリシュファーは火の神として、いや火の悪魔?として重要だ。
「アイヌは文字文化を持たなかった」とか、
「アイヌとは「人間」を指す言葉。カムイに対し、また他の生命に対し、人間としてどう向き合うか。狩猟民族が捉える「人間」という言葉の意味は重い。」
など、静謐な写真と共に語られるそれらの言葉は、いろいろ考えさせられた。
早朝に読むのにぴったり。
他、印象に残ったところ。
「イノンノイタㇰと言われる祈りの言葉。通常アイヌ語で唱えられる。ほとんど意味が分からない言葉が続くなか、ふいに「自然環境」という日本語が、耳に飛び込む。どうしても「自然環境」という言葉がアイヌ語に訳せないという。
人によっては、「自然」というアイヌ語は無いとさえ言われる中、それでもあえてその言葉をいれなければならないほど、環境への危機感が増している。」
明治の同化政策時代についてや、そういう事実があったことの勉強にもなったし、こうやってその文化の魅力を写真と言葉で伝えてくれる本を作ってくれるのはありがたい。
アイヌは嬉しいときも悲しいときも歌い踊る。
「踊りは祈りに等しい」
「アイヌ ネノ アン アイヌ (人間らしい人間)」とは何かを、ひととき思い出させてくれるような本だった。 -
ウポポイで購入。苫小牧から大洗までのフェリー内で、大海と陸地を感じつつ読了。
今いる各地のアイヌの方々の、様々な儀礼を通じ、アイヌ文化や思想に触れられる。自分の思想とは違う思想を持つ集団であるんだと改めて強く感じる。
和人との争いや同化政策については、簡単に。。。
写真が多くてわかりやすいんだけれど、美しさや壮麗さを強調されてるのかもしれないし、そうでないのかもしれない。
著者の個人的感想のコメント分が、意図的のようにも誘導的のようにも、なんだか引っかかるのがキズ。
先住民族であるアイヌの方々の文化や思想をよく知ることは、この世界で生きている・生かされている自分の生き方にも、影響を及ぼす。
感謝する。
私も土に還りたい。 -
これは限りなくパンフレットに近い形態の本で、私の求めているものではなかった。
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『図解アイヌ』で見知ったアイヌの風習その他をカラー写真で味わえた。わがふるさとヤウンモシリ(北海道)は美しい。
アイヌ語の後のカッコに日本語訳をいちいち添えてくれる親切さも有難い。
いったん喪われかけたアイヌの伝統が後世にリレーされているのは心強い。