谷内六郎 いつか見た夢 (とんぼの本)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106022999

作品紹介・あらすじ

生誕100年! あの「週刊新潮」表紙絵より名品73点をたっぷり紹介。生誕100年記念、とんぼの本『谷内六郎 昭和の想い出』待望の増補改装版。川端康成をして“昭和の夢二”と言わしめた、稀代の抒情画家を知る決定版です。日本中で愛された、あの「週刊新潮」表紙絵1335点の中から、名作30点をあらたに厳選掲載。懐かしいのにとっても斬新、愛とユーモアに満ちた世界とその人生に迫ります。

感想・レビュー・書評

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  • 「いきもの」の情景 横須賀美術館で特集展示 | 横須賀 | タウンニュース
    https://www.townnews.co.jp/0501/2021/08/20/587960.html

    谷内六郎 表紙絵ギャラリー|新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/taniuchi/

    谷内六郎、谷内達子、橋本治、芸術新潮編集部 『谷内六郎 いつか見た夢』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/602299/

  • 10月10日の日曜美術館は谷内六郎さんだった。生誕100年だそうだ。生涯を通しての紹介。なんとこの本が図書館の新刊コーナーにありさっそく借りてみた。

    谷内六郎さんというと週刊新潮の表紙絵で見知っている。大正10年生まれ。普通なら徴兵どんぴしゃりの年代だが、幼少時から喘息もちで、小学校を卒業すると小さな電球工場に働きに出る。町工場づとめと病気治療の繰り返しで、戦争末期には相模原海軍工廠に徴用もされた。

    本には谷内氏の文もかなり紹介されている。週刊新潮の絵には文がついていて、それも紹介されている。文も画と同様ほのぼのとやさしい。それを読むとその絵のモチーフの由来が、なるほど、という感じにわかる。

    「妹のいた風景」という文では、育ったのは世田谷あたりで、氏の育つ大正末から昭和初期には自然豊かな所だったようだ。氏の絵にでてくる小川や林は世田谷の原風景かもしれない。「戦争中に十五、六の少女の内に昇天してしまったボクのたった一人の妹が、ボクに絵を描かせてくれるのかと思っています。」と書いている。

    表紙は「蝶はいつもストロー持参」(週刊新潮1965年5月29日号表紙)

    2021.8.30発行(とんぼの本) 図書館

  • 本書の中で橋本治が書いています。「しかし、いくら目をこすっても、谷内六郎はすごいのである。すごいくせに、それは週刊誌の表紙だから、ある程度の時間がたつと、まとめてチリ紙交換に出されてしまう。谷内六郎の絵をゴミとして放出してしまう自分が、なんだかとんでもなく贅沢なことをしているような気分になった。それは本当に贅沢なことなのだ。日本人は、谷内六郎を、平気で毎週消費していた。」言われて見れば「週刊新潮」は、「昭和」という気分をパッケージにした商品だったのかもしれません。中身の「黒い事件簿」のようなドロドロとしたスキャンダリズムと表紙の甘くて切ないノスタルジーのバランスは絶妙でした。 欲望と叙情を食い散らかして、時代は成長の坂道を駆け上がっていたのでしょう。そして、上るべき坂道を見出せない今、振り返ると、谷内六郎の絵(そして、言葉が…いや、人生そのもの…)が、「商品」としてではなく「アート」として、時代の心を揺さぶるのだと思います。先日放送された日曜美術館で、今をときめくアートディレクター佐藤可士和が学生時代、谷内六郎の文庫版の画集に支えられたみたいな話をしていたのが、すごい新鮮でした。でも、かけ離れたような2人のアウトプットは、少年のようなピュアなヒューマニティーという点では共通しているのかな、とも思いました。生誕100年を記念した増補改訂版です。

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著者プロフィール

画家。1921(大正10)年、東京・恵比寿生まれ。10代より新聞や雑誌に漫画やカットを発表する。1955(昭和30)年、第1回文藝春秋漫画賞受賞。翌年の「週刊新潮」創刊から表紙絵を担当し、人気を博した。1962年、第17回芸術祭奨励賞受賞。1981年に59歳で没するまでに描いた表紙絵は1300余点。表紙絵以外にも、挿絵や装幀、絵本、広告、福祉活動など幅広い分野で活躍した。2007年、横須賀美術館に併設して谷内六郎館がオープン。

「2016年 『昭和という たからもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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