戦前日本の「グローバリズム」 (新潮選書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036781

感想・レビュー・書評

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  • 1933年の国際連盟脱退後1940年の日独伊軍事同盟成立の間,日本は国際貿易を推進するため英米と密接な関係を構築していた事実.教科書では習わなかったなあ.意外な事実に驚嘆した.

  • 1930年代は、「大東亜共栄圏」という自給自足の経済圏ではなく、協調外交の下、日本が自由貿易の原則を掲げ、海外にもっとも視野を広げた時代であった。
    かつ、アジア侵攻の結果、国民の海外理解が深化した。
    という、帯に書かれていたような、というような印象は受けなかった。

    むしろ、一部の官僚・政治家、及び知識人は実際そういった視野を持って、なんとか時代の流れに逆行しようとしていたが、国家及び民衆の空気はそんな障害はものともせず、無謀悲惨な結末へ驀進していった時代、という風に見える。

    30年代は世界恐慌でどの列強国も国家社会主義的な体制を推進していたこと、
    加えて当初は反発していた知識人が、全体主義ともいうべき国家運営に徐々に傾倒していく様が印象的。
    さらにそういった人たちが、「東亜共同体」という言葉先行の概念にとらわれ、それが深化した「大東亜共栄圏」という妄想に酔って、浸かってしまう。

    東亜経済調査局付属研究所や、東亜同文書院といった、今でいうシンクタンクの果たした役割ももっと知りたいと思った。

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著者プロフィール

井上寿一
1956年(昭和31)東京都生まれ。86年一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得。法学博士。同助手を経て、89年より学習院大学法学部助教授。93年より学習院大学法学部政治学科教授。2014~20年学習院大学学長。専攻・日本政治外交史、歴史政策論。
著書に『危機のなかの協調外交』(山川出版社、1994年。第25回吉田茂賞受賞)、『戦前日本の「グローバリズム」』(新潮選書、2011年)、『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ、2012年)、『政友会と民政党』(中公新書、2012年)、『戦争調査会』(講談社現代新書、2017年)、『機密費外交』(講談社現代新書、2018年)、『日中戦争』(『日中戦争下の日本』改訂版、講談社学術文庫、2018年)、『広田弘毅』(ミネルヴァ書房、2021年)他多数

「2022年 『矢部貞治 知識人と政治』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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