日本国民であるために: 民主主義を考える四つの問い (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037917

作品紹介・あらすじ

今、この国で感じる息苦しさの正体を暴く――誰も書けなかった画期的論考! 「電車で割り込みをされたとき、あなたは何を思いますか?」――誰もが日常で出会う違和感は、国家の成り立ちにまっすぐつながっている。シンプルな問いから出発して「民主主義の原理」を追究し、憲法の成立過程に分け入るとき、戦後日本のあまりに特異な姿が浮かび上がる。――「今、この国で、あなたは日本国民ですか?」

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  • 電車を待つ列への割り込みから民主主義を考える。身近なことから本質を探る試みだ。最後は日本国民であるためにどうすればよいかという問いになる。「日米安保」と「憲法九条」がセットである中で、憲法を「今」「ここ」で捉えなおすことに他ならない。

  • 崇高な課題を取り上げた本である.一見平易な文章が続くが内容はかなり論理的なものでかなり読むのに苦労した.結論としては,日本国憲法の前文を元の英文に即して,代名詞を忠実に訳したp.127の「私たち日本の人民は....」が私が日本国民でであるための方法だとしている.277頁に渡って様々な議論をしていたが,日米同盟の必要性,自衛隊の合憲,憲法9条改正の3つの命題に対して右翼勢力,左翼勢力,左翼からはみ出した新勢力の立場を事細かに分析している第3章の「日本はどんな国家なのか」が良かった.

  • 2016/9/20

  • 【版元】
    「電車で割り込みをされたとき、あなたは何を思いますか?」──誰もが日常で出会う違和感は、国家の成り立ちにまっすぐつながっている。シンプルな問いから出発して「民主主義の原理」を追究し、憲法の成立過程に分け入るとき、戦後日本のあまりに特異な姿が浮かび上がる。──「今、この国で、あなたは日本国民ですか?」
    http://www.shinchosha.co.jp/book/603791/

    【目次】
    はじめに [003-013]
    目次 [015-019]
    凡例 [020]

    第一章 国家はなぜできたのか 023
    1 「基本的人権」とは何か 025
    人間の「自然」の姿/「自然権」とは何か/ホッブズの人間/ロックの人間/自然権は抑圧すべきか、庇護すべきか/「理念」としての社会契約/ヴァージニア権利章典からアメリカ独立宣言へ/日本国憲法の「人権」
    2 「立憲主義」とは何か 048
    社会契約を破ること/法律に違反していなければ何をやってもよいのか/「抵抗権」の意味/「公共の福祉」とは何か/なぜ「立憲主義」が必要なのか/「違憲」と「非立憲」/「責任の観念」/国民に求められるもの
    3 二つの「私」 070
    「私的な私」と「公的な私」/二つの「私」の関係

    第二章 民主主義とは何か 077
    1 統治する者と統治される者 079
    「王権神授説」から「社会契約説」へ/カントの民主主義/民主主義の定義/「国民」の二つの意味/「私たち一人一人」が主権者なのか/立法権と行政権/国会議員は何を「代表」しているのか/代表制と民主主義/誰が民主主義を「独裁」にするのか
    2 「一般意志」とは何か 103
    常に正しい「意志」/一〇〇分の一より強力な一〇〇分の一/一般意志とは誰の意志か/個別意志、全員の意志、一般意志/言語と一般意志/一般意志は個別意志に先行している
    3 「構成する力」と「構成された力」 119
    誰もしたことのない取り決め/契約と取り決め/「事実問題」と「権利問題」/主権は分割できない/民主主義の逆説/「構成する力」と「構成された力」/「産出する自然」と「産出された自然」/「立法者」と「独裁者」/「立法者」とは誰か/自分で自分に投票するのは「ずるい」のか

    第三章 日本とはどんな国家なのか 149
    1 「みんな」と「私たち」の暴力 150
    会社のルール、教室のルール/「みんな」と口にすること/「みんな」と「私たち」の暴力/「小さな違い」
    2 「右」でもなく、「左」でもなく 158
    「平和安全法制」をどう考えるか/賛成も反対もしない/何に賛成し、何に反対しているのか/反対する人はどんな立場か/自衛隊と日米同盟をめぐって/討議の場はあるか/一つの仮想実験/「右」と「左」/反対しないのは悪いことか
    3 日本の主権はどこにあるか 182
    奪われた言葉を取り戻すために/日本のジレンマ/いかにしてジレンマは回避されてきたか/憲法九条と日米同盟/日本国憲法の成立過程(1):マッカーサーが手にしたもの/日本国憲法の成立過程(2):マッカーサーの統治/日本国憲法の成立過程(3):誰が新憲法を書くか/日本国憲法の成立過程(4):マッカーサー・ノート/日本国憲法の成立過程(5):戦争放棄条項の変遷/日本国憲法の成立過程(6):「交戦権」は誰が与えるか/日本国憲法の成立過程(7):天皇の勅語に込められたもの/「天皇主権」から「国民主権」へ/天皇とマッカーサー/主権なき主権者/天皇とは誰なのか/民主主義の原理と「私たち」の暴力

    第四章 日本国民であるために 231
    1 「日本国民」とは誰か 233
    「国民」であるとはどういうことか/歴史研究の危険/日本国憲法に刻まれた傷/「権利問題」として見ること/誰が謝罪を求められているのか
    2 日本人は「無責任」な国民なのか 245
    日本の主権は変化したか/ノモス主権論/民主主義の「心構え」/日本国民に課された「責任」/天皇という「無」/「無責任の体系」
    3 日本国民であるために 262
    日本国憲法前文/「信約」とは何か/言語行為論から/日本国憲法の「私たち」/日本国民であるために

    文献一覧 [278-284]
    あとがき [285-286]

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著者プロフィール

1972年、東京都生まれ。1996年、東京大学教養学部教養学科卒業。2005年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。岩波書店を経て、現在、講談社勤務。専門は、言語論・思想史。著書に、『フェルディナン・ド・ソシュール』(作品社。和辻哲郎文化賞、渋沢・クローデル賞)、『エスの系譜』(講談社、のち講談社学術文庫)、『言語起源論の系譜』(講談社。サントリー学芸賞)、『日本国民であるために』(新潮選書)。

「2019年 『いつもそばには本があった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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