文学は予言する (新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106038938

感想・レビュー・書評

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  • 『#文学は予言する』

    ほぼ日書評 Day646

    おそらくは最も有名な"ディストピア小説"である、G.オーウェル著『1984』、第1章では、そうした作品を数え切れぬほど例を上げつつ、現代の世相を斬る。著者が巻末で自ら述べている通り、本職は翻訳者の方だが、文学作品への造詣が驚くべきものである。

    第3章では、万葉集から、現代作品までを、一気に机上に広げ、それぞれにおける新たな文学テクニックの進化を見事にまとめ上げる。

    とても本書で紹介される作品を全て網羅することはできないが、特に面白そうなものは、早速図書館で予約してみた。

    最後に、ディストピアものでは、身分階級や差別構造のような主題を扱うものが多いのは事実だが、そうしたことを記述する際に、"「女性は、話が長くなるから、発言する時間を制限すべきだ」と言い放つ、オリンピック組織委員会会長がいた"といった事実に反する記述や(ニュアンスの取り方はともかく、この発言は全文を読んだことがあるが、著者の指摘するような箇所は全くない)、菅政権での学術会議メンバー任命に関する言及等は、やめておけば良かったのにと思うところだ。

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  • 古今の名著と当時の社会を照らし合わせながら読み解き、その作品がのちに現実のものになった事例も指し示す。
    作家の想像力は、世界の行く末をも見通す。
    それはひとえに作品を生み出す過程で蓄積された広く深い知識見識の賜物なのだろう。
    またそれらを踏まえ、「物語」として後世に語り継がれるものを編み出す類まれな力も要るのは言をまたない。
    読みたい本もたくさん増えた。

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著者プロフィール

英語翻訳家、文芸評論家。古典新訳にマーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』、シャーロット・ブロンテ『嵐が丘』、他訳書に、J・M・クッツェー『恥辱』など多数。著書に『翻訳ってなんだろう?』、共著に『翻訳問答』など。

「2020年 『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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