謎解き少年少女世界の名作 (新潮新書 22)

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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100222

作品紹介・あらすじ

十九世紀から二十世紀初頭、資本主義の浸透と身分制度の解体が進み、現在の社会秩序の基礎が確立される過程の欧米諸国で書かれた「少年少女世界の名作」。これを単なる子供だましと侮るなかれ。『十五少年漂流記』に隠された英米仏の領土問題、『宝島』に貫かれているビジネスの過酷さ-。そこには、近代史の真相、民衆心理、社会の根底にあるさまざまな仕組みやカラクリが隠されている。世界の見方が変わる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 昔読んだ名作たちが、経済原理、民族、国家などで解釈。
    「本当の自分さがし」のページでは近代人の無限地獄を知らしめさせる「ピーターパン」まで!
    「最後の授業」も現代の移り変わり行く情勢と併せ解説してもらい、もう一度読んでみたいとしみじみ。
    これらの本を読んで大人になった自分、豊かな少女時代だったと思う。
    今の子どもたちはどんな本を読んで大人になるのかな、読んでほしいけれど…

  • 考えてみたら、これらの少年少女名作なんたらって、
    原作は大半が大人向けだったのよね。
    だから「西遊記」が連載もの?なのであんなに長編とか、
    この本を読んでてなるほど~と思いました。
    他にも、政治とか思想とか、いろいろと・・・。
    なので、大人の目で冷静に読める人対象の本。

  • 本の本

  • ちょっと思い込みじゃ…と思う箇所もあったけど、
    歴史的背景とか政治的背景とか
    昔全く思わなかった背景を踏まえて
    名作の中身をほぐすのは面白かった。
    最近平岩由美子西遊記読んで面白かったけど、
    また名作もの読みたくなった。

  • 2003.6.20 .初、帯なし
    2012.11.14.イオンモール鈴鹿BF

  • 「懐かしの名作アニメ」なんて番組があると、必ず出て来るのが
    「フランダースの犬」の最終回だ。これ、反則だと思うぞ。あの
    シーンは今でも泣ける。何度でも泣ける。

    数年前、原作を手にする機会があったので読んでみた。泣けなかった。
    読了後「働けよ、ネロ…」と呟いていた。

    「フランダースの犬」については極端な例だが、子供の頃に感動した
    名作も大人の視点で読んだら…というのが本書である。

    勿論、「フランダースの犬」も取り上げられている。

    各作品が書かれた時代背景や作家のバックボーンなどを解説し
    ながら、実は領土問題が隠されていたとか、身分制度が取り上げ
    られているとか。

    昔、「本当は怖いグリム童話」みたいな本が流行った。本書もそんな
    感じなのかな。

    でも、同じ戦時下に書かれたからって『若草物語』と『細雪』を対比
    させるのはどうよ?だって、『細雪』はあの谷崎だよ?

    本書は本書で面白いのだが、物語は物語として楽しむ方が好きだな。
    あの時の感動を忘れたくないもの。

  • 途中でやめました。
    へーふーんってかんじ。

  • [ 内容 ]
    十九世紀から二十世紀初頭、資本主義の浸透と身分制度の解体が進み、現在の社会秩序の基礎が確立される過程の欧米諸国で書かれた「少年少女世界の名作」。
    これを単なる子供だましと侮るなかれ。
    『十五少年漂流記』に隠された英米仏の領土問題、『宝島』に貫かれているビジネスの過酷さ―。
    そこには、近代史の真相、民衆心理、社会の根底にあるさまざまな仕組みやカラクリが隠されている。
    世界の見方が変わる一冊。

    [ 目次 ]
    第1章 経済原理と世界戦略(フランダースの犬―貧しかった日本人にとっての「癒し系」 王子と乞食―偽王が偽造される民主主義への批判 小公子―日清戦争後の母子家庭を魅了した夢物語 ほか)
    第2章 冒険の中の家族、民族、国家(家なき子―十九世紀末フランスの正当な統治者は誰か 十五少年漂流記―少年も無縁でいられない英米仏の領土問題 ドリトル先生物語―物語に刻まれた無意識の侵略思想 ほか)
    第3章 「本当の自分」探しのはじまり(ピーター・パンとウェンデー―成長を義務づけられた近代人の無間地獄 若草物語―喜びと恐怖の狭間で揺れる「女の自立」
    野性の呼び声―資本家の飼い犬か、自由な労働者か ほか)

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    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「フランダースの犬」について「芸術家としてネルロの困った性格」として描いた絵の代金を受取らないことが批判されている、と書かれているのは非常に面白かったですね。そう!あの「なんたら文学賞」を貰って賞金2千万円を辞退した水島ヒロを「著述家をバカにしている。」と批判した人がいましたが、同じなんですね。

    文章なり絵なりを売って生活の糧を得ることは当然であるし、高く売ることも才能の一つである、ということが100年以上も前に海外では当り前に考えられていたのですね。

    また「宝島」では契約、約束の重要性が書かれています。ともすれば私を含めて日本人は、「規則や契約よりも人としての道徳が大切であるという大義名分の下、どんな無法も肯定されてしまう。(本書P60)」という感覚から離れられない、尖閣ビデオ公開に対する日本人の感情がズバリそうなのかな。

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著者プロフィール

長山靖生(ながやま・やすお):1962年生まれ。評論家。鶴見大学歯学部卒業。歯学博士。開業医のかたわら、世相や風俗、サブカルチャーから歴史、思想に至るまで、幅広い著述活動を展開する。著書『日本SF精神史』(河出書房新社、日本SF大賞・星雲賞・日本推理作家協会賞)、『偽史冒険世界』(筑摩書房、大衆文学研究賞)、『帝国化する日本』(ちくま新書)、『日本回帰と文化人』(筑摩選書)、『萩尾望都がいる』(光文社新書)など多数。

「2024年 『SF少女マンガ全史 昭和黄金期を中心に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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