- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106101977
感想・レビュー・書評
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1. 検察の起訴裁量について
法令と実態が乖離しているような状態で「形式的にすぎる」官僚を批判しているが、検察については法令違反については淡々と職務を遂行すべきだと感じた。世間から特装検察が評価されていた執筆時とは異なり、袴田事件を筆頭に検察への不信も高まっている現在では、「柔軟に」事件に対応したところで「恣意的に運用したのではないか」との疑いをかけられるのは目に見えているし、そのような疑いに市民の目を入れたはずの検察審査会についても良い評判を聞かない。
法令におかしいところがあるのであれば、司法に持っていって判断を待てば良いのであるし、その判断を元に立法が法令を変えるのが筋であるから、検察に柔軟さを求めるのは賛同できなかった。
2. 法令遵守について
法令に限らず、「法令遵守」にある問題はSDGsにもあり、社会に根強く残っているものだと考えた。すなわち、建前においてSDGsという崇高な理念に賛同しているポーズをとり、環境コンサルの助言に従って配慮している形式だけを重視して、その実、「実質的に」持続可能な社会の実現にどのように寄与するのかという問題には直視しない態度が見られる。
このような観点でいうと、世界を滅ぼす、ということにもなりかねない。本書の主張を敷衍すると、地球の構成員一人一人の鋭敏性が地球に「眼」を与えることになるのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コンプライアンスとは、「法令遵守」ではなく「組織が社外的要請に適応すること」。これだ。
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ルールや法律が目的とズレが生じると形骸化されたり、法律の抜け穴になり法律は守ってるけど社会の要請に応えられてない事は世の中にも普段の仕事でもよくある。
法律は守らないといけないが、守る為のルールに生産性を感じない。 -
法律を守るだけじゃなくてもっと能動的に考えようといった話。
法律は相互に絡み合っていて、経済法をやるには色々な法律の理解が必要とのこと。
検察官の方の本。 -
目を引くキャッチーなたいとるだけど、要は「コンプライアンス=法令遵守」ではなく「コンプライアンス=社会的要請への適応」であり、法令だけまもっていても、その法令の背後である社会的要請に応えなければコンプライアンス違反のそしりは免れないということ。
1,2章はちょっとこじつけな感じがするけど、3~5章は社会人として読んでおいたほうがよい。 -
なんかあると審査、検査を強化しよう、となる。また間接業務が増える。いまに間接業務だけになってしまうのではないだろうか?著者の言われるとおり「日本の建築物の安全性を支えてきた」のは「会社の信用と技術者の倫理」(p.80)なんですよね。文系の間接業務じゃない。
まあそうはいっても信用だの倫理というのは文明だから、なかなか一朝一夕には対策が取れない。そこで、本書も背後にある社会の要請ってものをよく考えろ、というメッセージになっている。「常識が大事だよ、常識が…」というわけだ。著者は「本来、人間が持っているはずのセンシティビティ」(p.103)という表現をされている。まあ要するに、よく考えろよ、ということなんですね。だけどよく考えても報われないんだよね。それでも考えろ、と。そういうわけだ。
読みどころはやはり実例が書いてあるところ。バカヤローという表現はとっていないが、困ったことがありますよ、という実例を使った文脈が面白いです。
専門家のバカヤローという文脈がある。法律家ってのは生活にはたいして役にもたたない。そういう専門家だから、面倒なことは法律家に丸投げしていた。それでよかったし、法律家も少ないから偉かった、重宝された、というわけだ。win-winですね。著者は「巫女のようなもの」(p.130)だったとしておられます。
縦割りのバカヤローという文脈もある。法律は個々にあるけれども、背後の価値観ってのはつながっているんだから、「タコツボの中に入ってでてきません」(p.138)というのは困りますよ、というわけだ。例えば企業法にしたって「企業に関する法全体を体系化して『面』でとらえるということ」(p.139)が大事とのこと。その通りですね。専門家ってのはその専門のオブジェクトのほうをキーに考えるんだよな。それをあてはめる相手の側の体系にあてはめないんだよなあ、と思いました。このくだりは賛同しました。しかし、面で捉えるには実体経済に近づかなければならないですよね。そこがイヤなんでしょうね。専門家の人は。そもそも実体経済がイヤだから専門家になった人が多いんじゃないのか?これは私の邪推。
すぐ間接業務に持ち込むっていうところで、法令遵守ってのも、これもまた、わが国を覆う文系の禍いの一つだな、と解釈しました。 -
新潮社
郷原 信郎
むずかしかったなーw
普段新聞を読まない俺にとってはねw
物事には多面性があって、
ありき論や、善悪とか正誤とか、それだけで考えるのは幼いことですよー。
っていいたいんだと思う笑
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意外なタイトルの本、でも書いていることはナットクできる。