アフリカ: 資本主義最後のフロンティア (新潮新書 409)

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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104091

作品紹介・あらすじ

いまアフリカに、世界中の熱い視線が注がれている。「大虐殺の地」ルワンダは「アフリカのシンガポール」を目標に急成長。マサイ族の生活も携帯電話の普及で一変した。タンザニアやボツワナは、資源をテコに「中進国」への戦略を描く。不幸な歴史に苦しめられてきた豊かなる大地で何が起きているのか。大反響を呼んだNHKスペシャル「アフリカンドリーム」の取材チームが深層に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • アフリカに関しての知識はまったくないので、アフリカの今が知れた。
    ジムロジャースがいっていた、アフリカは中国式の発展を採用するというのが大分現実的になっているのかもしれない。
    つまり独裁を維持しながら、発展していくということ。

    独裁をもう少しやわらかくいえば、中央の統制のもと。ということになる。
    これなら日本も同じといえるだろう。

  • いまアフリカに、世界中の熱い視線が注がれている。「大虐殺の地」ルワンダは「アフリカのシンガポール」を目標に急成長。マサイ族の生活も携帯電話の普及で一変した。タンザニアやボツワナは、資源をテコに「中進国」への戦略を描く。不幸な歴史に苦しめられてきた豊かなる大地で何が起きているのか。大反響を呼んだNHKスペシャル「アフリカンドリーム」の取材チームが深層に迫る。


    主に東アフリカ
    第1章 携帯電話を駆使するマサイ族(ケニア、ウガンダ)
    第2章 「悲劇の国」が「奇跡の国」に(ルワンダ)
    第3章 中国企業アフリカ進出最前線(エチオピア、サンビア)
    第4章 地下資源はアフリカを幸福にするのか(タンザニア、ボツワナ)
    第5章 経済が破綻した国の日常(ジンバブエ)
    第6章 「格差」を経済成長のドライブにする国(南アフリカ)


    様々な事情はあっても発展の道を進んでいるように思える東アフリカ。
    今後はアフリカ大陸内での格差がますます広がっていくことだろう。

  • 読了

  • 本書はNHKスペシャル「アフリカンドリーム」の書籍版。テレビでは出せなかったディープな出来事もふんだんに含まれている。アフリカを知っている人にとっても、知らない人にとっても知的な刺激にあふれた内容になったのではと思っている(まえがきより)、とのこと。
    例えばアフリカ各国の歴史をざっと把握するためにwikipediaを覗いたりしたことはないでしょうか?いわずもがな、そのほとんどでヨーロッパ諸国の植民地支配が影響しており、根源として、それらが様々な争いの火種となっていることが多い。
    そういうことが前提としてあるわけだけど、徐々に新しい時代が始まりつつある。再びまえがきを引用すると、「グローバリゼーションは、これまで先進国がアフリカから資源などの富を収奪するためのものだった。しかし、知恵を絞って新たな人材・情報・マネーを生かせば、グローバリゼーションを順風に変え、自立への追い風に変えることができる。そうしたことに気づき、実現し始めた人々の姿をアフリカの各地で見られるようになった」と。
    こういうのを読むと、そのアフリカンパワーの力強さもそうだし、例えば第三章の「中国企業アフリカ進出最前線」にある中国の貪欲さ、国家レベルの取り組みなどで、果たして日本が彼らと対等に渡り合える何かを持っているのか?と感じざるを得ない。いや、実際には様々な日系企業がアフリカに進出しているのだろうけど、この凄まじいパワーにどの程度ついて行っているのだろうか。そもそもその輪に入る必要があるのだろうか?
    光と闇が交錯するアフリカ。本書だけではなくいろいろ出ているので、それらもあわせて読むと、なお面白いんじゃないのかなと思いました。
    (過去の読書記録登録のため評価なし)

  • Vol.190 9億人の大市場!携帯電話を駆使するマサイ族に何を見る?
    http://www.shirayu.com/letter/2013/000383.html

  •  「9億人の大市場アフリカ」と標榜するには取材範囲が随分限られているが、考える視座を与えてくれる良書。さらりと読み流せる。読み流した後であれこれ思考を広げるにはもってこい。

  • レビュー省略

  • 2010年に3回シリーズで放映されたNHKスペシャル「アフリカンドリーム」の取材をベースに執筆された本。東アフリカの現状をを、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、エチオピア、ザンビア、タンザニア、ボツアナ、ジンバブエ、南アフリカの順で紹介している。
    民族紛争など様々な問題を抱えつつも豊富な鉱物資源をベースに発展し続けているアフリカの状況が理解できた。本書から7年、更に発展しているんだろうなあ。それにしてもアフリカに投資し続ける中国の動きが不気味。

  • これから有望な世界での市場はとなると、アジア、アフリカとなるが、アジアについてはかろうじて語れるものの、アフリカについては無知であった。

    したがって、本書を借りてきた。題名が「アフリカ 資本主義最後のフロンティア」NHKスペシャル取材班である。

    では早速内容を紹介していこう。

    アフリカにとって1960年は記念すべき年だった。ナイジェリア、カメルーン、コンゴなど17もの国がヨーロッパの宗主国から独立を果たし、「アフリカの年」と呼ばれた。

    しかし、アフリカの希望を謳った言葉に反して、独立を果たした国々の現実は過酷なものだった。待ち受けていたのは、紛争、貧困、エイズ、汚職、さらには新植民地主義とも呼ばれる先進国による支配と収奪にも振り回されてきた。

    アフリカには必ずしも、「希望」、「友愛」、「尊厳」をもたらさなかった。

    ところが、今、アフリカにはこれまでない新しい風が吹き始めている。21世紀に入ってグローバリゼーションが加速度的に進み、これまでなかった、人材・情報・マネーの流れが生まれ、アフリカを動かしているのだ。

    1994年に民族の対立で100万人が虐殺されたルワンダでは「アフリカの奇跡」と呼ばれるほど目覚ましい復興を続けている。

    その復興を支えているのが、ルワンダの発展を見越して海外から祖国に帰国してきた“ディアスポラ”と呼ばれる優秀な人材だ。

    9億人の巨大市場に期待を寄せる世界のマネーは、伝統的な生活を送ってきたマサイ族の伝統も変えつつある。携帯電話の売り込みは熾烈を極め、マサイ族のほとんどが携帯電話を駆使した生活を送るようになったのだ。

    資源の現場でも、新しい現象が起きている。二エレンが初代大統領になったタンザニアは「21世紀のゴールドラッシュ」とも呼ばれる金採掘ブームに沸いているが、そこでは資源メジャーと地元の採掘業者との力関係が変わりつつある。

    これまで資源メジャーの支配に甘んじていた地元の業者が、インターネットを駆使して金の世界市場での相場をチェックして、もっとも高く金を買ってくれる所に販売するようになった。

    インターネットのお陰で小さいながらも自立できるようなったのだ。タンザニア政府もこのような地元の業者を育成することが国の将来につながると考え始めている。

    ボツワナでは、巨大企業デビアスに対して、国が主導権を持って交渉できるようになった。交渉の材料としたのは、ダイアモンド原石の残り少ない埋蔵量と世界市場の動向という情報だった。

    世界に張り巡らされたネットワークから得られる情報を武器にすることができれば、弱者も強者と対抗する力を持つことができるようなる。

    グローバリゼーションは、これまで先進国がアフリカから資源などの富を収奪するためのものだった。しかし知恵を使って、新たな人材・情報・マネーを活かせばグローバリゼーションを順風に変え、自立への追い風に変えることができる。

    そうしたことに気づき、実現した人々をアフリカの各地で見られるようになった。もちろんアフリカから、貧困、紛争、汚職などが消え去ったわけではないが、今、確実に新しい時代への胎動が始まっている。

    エチオピアでは、今携帯電話元年を迎えている。(注・この本が刊行されたのは2010年)
    2年前まで携帯電話を使えたのは、人口の1%以下にすぎなかったが、2010年のはじめには10倍に急増。国内で使われている携帯電話端末も600万台を超えている。

    この急ピッチの通信インフラの整備の立役者が中国でも有数の通信機器メーカーZTEである。鉄塔の建設から、アンテナや通信機器の設置、調整、メンテナンスまで、通信ネットワークの整備のすべて一社独占で請け負っている。

    都市部から3000メートルを超える山間部の農村にいたるまで、日本の3倍の広さの国土全域に通信ネットワークを完成させようとする巨大プロジェクトだ。

    ZTEの寥永康副社長は言う。「独占的に一国の通信ネットワークを建設するのは世界初の挑戦です。大きな困難をともなう巨大な事業ですが、中国とアフリカの将来を占うプロジェクトですから、失敗は絶対に許されません」

    南部の山間部を整備を担当する荊恒揮さんはこういう。「ZTEはどんな環境のきびしいところでも一級の技術者を大量におくりこんでいます。それが現地との信頼関係につながっているのです」

    給料が2倍になるエチオピアで3年がんばれば、中国でマイホームを買うときの頭金が貯まるという。

    荊さん曰く「妻にいい暮らしをさせるため頑張りますよ。自分だけなら中国で稼げばいいけどね」

    彼らにはどんなに厳しくともアフリカにこなければいけない理由がある。2010年中国の大卒者は670万人。既卒者も含めると800万人になる。これらが労働市場に流れ込んでくる。彼らのうち定職に就けるのは、その半分だという。

    アフリカでは、欧米の現場とは違って、車両の整備や、鉄塔の建設工事もすべて自力でカバーしなければならない。一方のアフリカ諸国にとって一流の技術者が大量に現場レベルにまできて仕事をしてくれることは、自国の人材育成、ひいては技術移転につながるというメリットもある。

    このように携帯電話の普及でアフリカ人の生活が一変したと前半で述べたが、携帯電話が使えない国でも、それを実現するために国家を挙げて海外から投資を呼び込んでいて、アフリカと投資国がWin-winの関係になるのだ。

    ここに書いたことは、本書のほんの触りにしか過ぎない。アフリカの経済情勢を知りたい方は是非本書を読んでほしい。

  • 久しぶりのアフリカ!
    移民のパワーに関して良く考えてたよねー。ということを思い出す。

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著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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