- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106104664
感想・レビュー・書評
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政治家に求める理想像なんて人それぞれだろうけど、私は政治家には「人の話を聞き込む能力」を求めたい。政治に何を求めるかなんて、中々実際の声としてあがるものじゃない。それを研ぎ澄ましたアンテナでうまくキャッチし、あとの詳細は政治家自らが耳を傾け、人々の声を拾っていく。それこそまさに理想の政治家だと思う。
振り返って、この本に登場する親分と言われる政治家はどう? 何百億円を集めた「剛腕政治家」って言われても、ピンと来ない。だから何? その集めたお金で、国民はどれだけ幸せになれたの? もし説明できるのなら納得もできるよ。しかし、震災で生活の基盤を奪われ苦しむ、声無き声をもつ岩手の人たち、東北の人たち、そして日本国中の人たちに対し、親分政治家は人々に見える形で何をしたの?
また、私が苦手とする人間は、次の2タイプだ。
1つが、急に機嫌が悪くなって怒り出し、その原因を探ろうにも、何を言ってるのかすらわからず手がつけられないタイプ。
もう1つが、特定の人物には笑顔で愛想よいが、利害に直接つながらない者や関係がない人には、全く正反対の態度を示すタイプ。
そんな人間は少なくとも私の周囲にいてほしくないし、間違っても政治家になってほしくない。そんな人間が不特定多数の人々の幸福を集約し最大化するような緻密で繊細な仕事ができるわけないから。日本経済や社会が右肩上がりの時代、イケイケドンドンの政治家が幅を利かせていたから、今も幻想があるかもしれないけど。震災を経た今、そんなタイプの政治家が復興に役立たないどころか、足を引っ張るだけってみんなわかってきたはず。
私も「雑巾がけ」の重要さはわかってるつもり。だからいくら雑用の日々でも、そこから日本を底で支える国民の声を聞き取る力が身に付き、国民の幸せにつなげるような発想や視点が得られたのなら、そういう政治家養成システムは外見上がいくら前近代的でも、支持したいと思っていた。
でも本書では、運動部で下級生時代シゴキを受けたOBが「あのときはツラかったけど、今となっては楽しい思い出だよ」とか飲み屋でしゃべってるのと同じ構図が見られただけ。苦労した事実だけで満足してしまい、その苦労の要因を分析し、改善し、自分が政治家になったときには、もっと有効に人の役に立てるようなしくみづくりにつなげたい、という視点が読めない。結局「自分はこんなにがんばりましたよ」的告白本なの、とも言いたくなるような、ちょっとガッカリな読後感でした。
私と同様ガッカリした方には、これも岩手県が舞台の「村長ありき―沢内村 深沢晟雄の生涯(及川和男著)」をお勧めします。カネと権力と威光ではなく、人柄によって、いかに政治家が人を集め政策を実行できるかがわかります。
(2012/8/22)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書は小沢“刑事被告人”一郎の9年間の秘書を務めた石川知裕が精魂込めて尽くした、我が師小沢一郎の評伝。通常この手の本は、メデイアでは語れない聞くことのない「ヒューマンさ」からホロリとさせられるエピソードがあるもの。田中角栄の評伝なんて、そのオンパレードで鼻白む程。本書にも、小沢からの訓示が紹介されるも、いずれも矛盾・説明の無さ・無愛想さに溢れある意味、表裏のない人物であることを知るも、決して魅力的な人物でないことを改めて実感。いくら目を凝らして読んでも魅力さは、ついぞ出じまい。一体、どこに惹かれ秘書となり、今なお私淑する理由が一向に伝わってこない。談志師匠は「修行とは矛盾なり」と喝破した。にもかかわらず多くの弟子たちは師匠へのオマージュは尽きない。逆説的に言えば、小沢一郎の評価って、接した者の判断に大いに委ねられる人なんだと確信を得た。本人が口下手・無愛想を決め込むため、余計にその傾向大である。良い、素晴らしいと拡大解釈する人は政治被告人になろうが、根強いシンパであり続け小沢神話を信奉する。とにかく小沢一郎ほど謎に包まれた政治家はいない。政治家は官僚出身であろうが、党人派であろうが、当選回数に比例して閣僚や党役員を歴任し統治能力を磨いていく。その流れに棹さすかの如く無任所を貫く。私の記憶では自治大臣と幹事長2回やった程度。政策より政局、「戦勝国のための戦勝国による国連」の真摯さを信じる政治家小沢一郎は、今なお青臭い書生論を吐くが、この国難の状況下では、KY・政治音痴ぶりを感じずにはいられず、僕は「すでにお前は死んでいる」と思うんだけど…。
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逮捕の話や、彼の考えを知りたいと思って本屋で購入。
ところが逮捕に関する話はゼロで(裁判中ということもあって)、後悔。
小沢事務所での苦労話が中心だが、電話の取り次ぎや、感謝の大切さ、根回し、読書など、大人として身につけておかないといけないことを思い知らさせてくれる。タイトル通り、基本の「雑巾がけ」の心得が詰まっている。そういう観点で読めば得るものも多いかと。
ただ、あまり自分に刺さるような思いが綴られていないので、政治家として応援しようとまでは思えなかった。